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今日の終わりに(8月26日)(9)

9

 カードキーを翳す機械に糸奈がカードを翳す。

扉が開き、糸奈が玄関に上がった。

(疲れた。)

リビングに入るドアを開けると、自動でライトがつく。

「お帰りなさいませ。」

「ただいま。」

どこからとなく聞こえてくる女性の声に糸奈が答える。

「1件のメッセージがあります。」

「再生して。」

「畏まりました。」

糸奈が自然な動きでソファーに座ると、目の前に白いスクリーンが現れた。

床に内蔵された機械が、映像を空中に映し出している。

しばらく画面中央で円盤がグルグル回った後、ビデオが再生された。

「糸奈。」

画面に映ったのは優しい顔をした高齢の女性。

「今度はいつ帰って来るの。もうすぐ寒くなるからねえ。体冷やさないように早く帰って来るのよ。また通知表持って帰って来てね。」

ビデオが停止した。

「メッセージは以上です。」

「マイページに保存。」

「はい、マイページに保存しました。」

糸奈がスマホを操作し、耳に当てる。

「はい、松葉でございます。」

「もしもし糸奈です。」

「糸奈さんこんばんは。」

「今お時間よろしいですか?」

「はい、いかがなさいましたか。」

「明日の帰宅の約束の確認をと思いまして。」

「ありがとうございます。さきほどの奥様のメッセージを受けてのことですよね?」

「はい。」

「ご安心ください。明日お越しいただけるということは把握しております。奥様が、糸奈様のご帰宅がいつなのか心配されていらっしゃったので、メッセージを入れてはと私が勧めたんです。」

「そうでしたか。それなら良かったです。体調は相変わらずですか?」

「そうですね、今週はかなり落ち着いておられましたよ。明日お越しいただいた時にゆっくり説明をさせていただきますね。」

「はいお願いします。最後に一ついいですか?」

「はい、なんでしょう。」

「明日何かお土産を持って行こうかと思っているのですが、何かいいアイデアがあれば教えてもらえませんか?」

電話越しに女性が笑った。

「私が何か申し上げなくても、糸奈さんはご存じのはずですよ。」

「そうですが。」

「大丈夫ですよ。いろいろな奥様がいらしても、奥様の好みはあまり変わりませんから。」

「分かりました。ありがとうございます。それではまた明日。」

「はい、失礼いたします。」

電話を切って、糸奈がスマホを耳から離す。

「さてと、お湯はりを開始して。」

「畏まりました。お湯はりを開始します。15分ほどお待ちください。」

糸奈がソファーから立ち上がり、台所に向かう。

「疲れたな。」

戸棚を開けると中に缶詰がびっしりと入っていた。

隣にはレンジで温めて食べるご飯も積み上げられていた。

「明日の帰りスーパー行かないと。」

糸奈がサバの缶詰とタッパーに入った白米を手に取って立ち上がる。

「明日何を持って行こう。」

レンジにタッパーを入れて糸奈がペットを開ける。

「基本的な好みは変わらないって言われても、正直困るんだよな。」

糸奈が小さくため息をつく。

「まあそれならいつも通りあそこのチョコレートでいいか。」

 夕食を終えた糸奈は、定位置のソファーでネットサーフィンをしていた。

「古代モンスターの蘇りか。」

ネットでは昨夜糸奈たちが倒したレッドネックの話題が注目されていた。

「そうか、情報統制でレッドネックということは隠されているのか。」

糸奈の手からスマホがソファーに落ちた。

糸奈が背もたれに深くもたれかかってそのまま眠ったのだ。

 数時間後、糸奈がぱっと目を開けた。

「しまった。」

慌ててソファーから立ち上がり、本が積み上げられた机に向かう。

「この資料は片付けないと。」

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