魔王来ました
それは、突然のことだった。
俺とハミエルが学校から帰っている時だった。
「ふははは!!お前が、安達ありかだな!」
俺達の前に、タキシードを着て髪をオールバックにまとめ上げた紳士風の男が俺の名前を高笑いしながら言ってきた。
「ありかさん、逃げてください…」
ハミエルがいつもと違い深刻そうな声で言い出す。
「な、なんだよ…」
「ありかさん。あいつは今までのと違います。まだ、まともに戦闘経験を積んでいないあかりさんでは、手も足も出ません。」
「そ、そんな事を言ったってハミエルお前はどうするんだよ。」
「早く!私は、ありかさんを守るのが仕事ですから!」
「はい!逃げるにしろ戦うにしろ決断が遅い!」
俺の真後ろでいつの間にかやって来たタキシードを着た男が耳元でささやく。
俺は、急いでその場を立ち退く。
「そんなに、逃げることなんて無いじゃないか…」
男が俺に向かって歩きながら言ってくる。
「お、お前誰なんだよ!!いきなり現れて!!」
俺がそう言うと男は含み笑いをして自己紹介し出す。
「おっと、これは失礼。私は魔王。魔王ベルゼブブ!!」
魔王って俺に惚れてるだの何だののって!!あいつがか!
俺は動揺しつつも、首に巻いているチョーカーを外す。
「ふははは!!戦いを選ぶか!それは賢い選択と言えよう。何故なら私が貴様を殺すはずがないからな。」
そうだ。あいつが本当に俺に惚れているのならわざわざこんな所までやって来て俺を殺すはずが無い。
「と、言うとでも思ったか!」
ベルゼブブがそう言うと女体化した状態の俺でも目で追えない速さで懐を詰めて俺のみぞおちにパンチを入れられる。
俺はその場に崩れ落ちて動けなくなる。
「この程度のスピードにも追いつけないとは、それでは困るぞ安達ありか!!」
「ありかさん!!大丈夫ですか!私が時間を稼ぎます。逃げてください。」
ハミエルがそう言うと何か呪文のようなものを唱える。光の膜のような物が浮かび上がる。そしてその光の膜がベルゼブブを縛り上げる。
「ははは!その程度の結界で私の時間稼ぎができると思っているのか!」
ベルゼブブがそう言うと光の幕を引きちぎる。
「やはり、私がおもむくには早すぎたようだ。貴様はまず実践を積みちゃんとした戦いができるようになれ!!そう出ないと、私が困るからな。期待しているぞサタンが選んだものよ。」
そう言い残すとベルゼブブは体が無数のハエに変わり消え去った。
何だったんだあいつは、いきなりやって来ていきなりその場を圧倒して行った。
これを、きっかけに俺は戦闘訓練と魔法を覚えることになるのだがこれはもう少し先の話だ。
文書が少なくてすいません。
これから、話が進んでいきます。