断章 本当は3話で書きたかったんです
俺は、今日の疲れを取るべく風呂に入ることにした。
朝さんざん騒いだ洗面台に行くのも何だか考え深いものだと1人で勝手に思いながら、服を脱いだ。ここで、俺はある重大な事をすっかりと忘れていたのだった。
大体、おわかりの人は多いことであろう。俺は、うっかりとチョーカーを服と一緒に外してしまったのだ。
俺の全身は光に包まれてあの、魔法少女みたいな格好に……は、ならなかった!目の前にある鏡には今朝見た例の女の子もとい俺が真っ裸で写っていたのだ。
「え!何これ!風呂だから裸とかそういうオチなのか!戦闘の時これだと困るぞ!」
後から、聞いた話だが本当に風呂場で外したからというオチだった。
しかし、今の俺はそんなことつゆ知らず半分ほどパニックにおちいっていた。そこに追い打ちがかかる。
「ありかさん。一緒に入りましょう。」
ハミエルが、裸で洗面台にやって来たのだ。
「おい。ハミエルやばいよ。母さんとか父さん来たらどうするんだよ。」
「お父様、お母様なら先ほど2人で家を出られました。当分は帰ってこないそうです。手紙を机の上に置いていかれました。」
な、なんだと、うちの親は見ず知らずの女の子を家に住まわす許可を与えそのまま、家に出ただと!
「詩織ちゃんはお父様、お母様が家を出たあと倒れるかのごとく寝てしまいました。」
我が妹の事ながらなんと災難な、同情するが金はやらん。
そして、俺はこの後、結局ハミエルと一緒に風呂に入ってしまった。それも、女の子の格好のままでだ。
風呂上がりに なんでさーと正義の味方に憧れる様なため息をつきながら親が残したという手紙を読む。
『お母さんとお父さんは少しの間家を開けます。決して息子、娘そして新しい娘を捨てたわけではありません。
どのぐらいの期間、家を開けておくか分かりませんから。生活費は講座から下ろしてください。毎月ちゃんと振り込んでおきます。
家事のことは、みんなで分担してちょうだい。
P.S.避妊具は、お父さんの部屋の机の横にある棚の1番下の段です。
母より』
いよいよ。家の親は大丈夫なのだろうかと疑う俺であったのだ。
「今日1日でいろいろ起きすぎだろー!!あと、1日の出来事で4話も使ってんじゃねぇー!!」
何故か、俺は最後の言葉を必ず言わなければならない気がした。この言葉、一体なんの意味があったのだろう…。