同棲です
そう、とんでもない1日を乗り越えた俺にはまだ悲劇が待ち受けていたのだった。
俺は、家に帰ってきたのだがここで問題が生じってまった。
「どうしたんです?ありかさん、入らないんですか?」
そう、ハミエルが付いてきてしまっていたのだ!!
ここで、朝のことに戻ろう。
ここまで読み進めてくれた人の中には疑問に思っていた人もいた事であろう。
こんな、朝から騒ぎまくって家族はいないのか、と。
ちなみに、俺の家は2階建ての1軒家、家族は父、母、妹そして俺の4人家族だ。
では何故、朝あんなに騒ぎまくって誰も来なかったかという話に戻ろう。
そう、あの瞬間には家に俺以外誰もいなかったからである。
両親は共働きで朝早くから家を出て行く。妹は真面目で俺と違い優等生だ。なので、学校にも早く行くように心がけているらしい。
しかし、今は違う。親はまだ帰らないにしろ帰宅部であり、俺が通う高校よりも遥かに家に近い中学に通う妹は、とっくに帰っていることだろう。
俺は、恐る恐るハミエルに尋ねることにした。
「なぁ。ハミエルお前これからどこで暮らすつもりだ?」
「何言ってるんですか?そんなのありかさんの家に決まってるじゃ無いですか。いつ、悪魔が来ても対応できるようにしなくてはなりませんからね。」
何の曇もない目と満面の笑みで自信満々に言うハミエルを見て俺は項垂れた。
「けれど、安心して下さい。ご家族の方達には私からきっちりと話しますとも!」
そう言うハミエルを俺は疑いの目でしか見れなかった。
とりあえず、不安は残るものの家の前に立ちっぱなしというのも何なのでとりあえず中に入ることにした。この時間ならまだ親もいない事だし…
「ただいまー。詩織、帰ってるかー。」
俺が、そう言うと
「おかえりなさい。お兄ちゃん。学校どうだった。相変わらずぼっち?」
などと、いう無神経な、返事が返ってくる。
いや、俺、ぼっちじゃねぇーし…本当だよ…
俺の心をえぐるようなことを、いうにも関わらず玄関にまで迎えに来てくれた我が妹、安達詩織なんだこいつ意地悪なの優しいのどっち、お兄ちゃんをあまりいじめないで…
玄関の所まで詩織が来た瞬間、詩織は突然フリーズした。かと思えば、突然鬼の様な形相になりまくし立てたではないか!
「お、お兄ちゃん!!だ、誰、そ、その人!!ま、まさか彼女とかじゃないよね。お兄ちゃんに限って彼女なんて。うん、ないない。」
ハミエルを見て詩織がそう言う。いや、確かに彼女ではないけれどそこまで言われるとお兄ちゃん泣いちゃうかな。心が痛い。
「え、えーとあかりさんの妹さんですか?可愛いですね。あかりさんとは、まだそういう関係では無いですがゆくゆくはそういう関係を目指したいですね。ぐ、具体的にはけ、結婚とか?」
「ちょっと待てーい!そんなの初耳なんだけど何?え!どういうこと?」
俺がそう言うとハミエルは少し照れたような顔をして、俯きがちに答える。
「え、えーと言ってませんでしたっけ?ほ、本当はあかりさんのサポートには、もっと高位の天使が担当に付くはずだったんです。けれど、私が付いたのは私が無理を言ったからなんです。あかりさんの置かれた立場が天界で説明された時があったんですが、その時に資料としてあかりさんの顔が見れる機会があったんです。それで、男の子の顔も女の子の顔も凄くタイプでつまり、言いますと一目惚れです。」
そう言われ、俺は今ものすごく赤面している事だろう。
どうしよう、そんな事言われたらハミエルの顔を当分直視出来ない。
やばい、こんな女の子に面と向かって好きだなどと言われたのは初めてでしかも結構可愛いじゃないか。
などと、俺の脳内がピンク色な事になっていたのだが詩織があまりにも、静かなので不思議に思い詩織の方を見るとなんと我が妹は気絶していたのだった。
※※※
「いや、びっくりしたよ。詩織が倒れていた時はけど、大事なくて良かったな。」
俺がそう言うと詩織は、不機嫌なのかキレ気味にハミエルを指しながら言う。
「お兄ちゃんはこのホルスタインの事が好きなの!私は、認めないんだから!絶対によ!」
「ひゃうぅ」
ハミエルが思わず素っ頓狂な声を出す。 いや、ホルスタインって確かにハミエルのおっぱいはけしからんがってそういう事ではなく…
「い、いやぁ俺も今初めて聞いた事だしな。まだ、分からないと言うかなんと言うか。」
てか、さっきから何故詩織はこんなにもキレ気味なのだろうか?
すっかり、忘れていたのだがこんな会話をしているうちにも時間は過ぎているわけで玄関の鍵が開く音と共に「ただいまー」という声が聞こえてきた。
つまり、我が母親こと安達春子さんが帰ってきたようだ。やばい。何の言い訳も考えていない。
俺達がいたリビングに真っ先とは母さんは入ってくるとハミエルを見て少し驚いた顔をしたと思ったら、顔をニヤつかせて俺をからかうように言ってきた。
「あらまぁ。お邪魔だったかしら。お母さんもうちょっと家の外にいよっかな。いやぁ、ありかも男の子ねぇ。こんな可愛い子捕まえてからに。」
などと、言い出す始末、更には
「詩織、残念ねぇ。大好きなお兄ちゃん取られちゃって。」
なんて、素っ頓狂な事を言い出す。
「お、お母さんバカ言わないで、別にお兄ちゃんなんか好きじゃないよおう。」
妹よ。そんなにきっぱりと好きじゃないなどと言われたら、お兄ちゃん傷つく。
「あ、あのう私ハミエルって言います。あかりさんのお母さんですよね。まだ、そういう関係ではないんですがありかさんとはお付き合いしたいと思っています。そして、お嫁さんになれたらなぁと。それで、この家で暮らさせてぐたさい。」
え、えー!そんな頼み方でいきなり良いよ。とかいう親がいるわけないだろ。
「良いよ。家に住みなさい。」
ってここに、いたー!!
「大丈夫、お父さんも多分良いって言うはずよ。」
なんだ、家の母親は確かにポワポワしてる所があるとは思っていたがこんなにも、常識がない人だっただろうか?
※※※
「ああ、良いぞ。」
我が父こと安達一が帰って来るや否や母さんは嬉しさを隠しきれないかのように父さんにベラベラと話し出したかと思えば父さんもハミエルが家に住むことをあっさりと許可してしまった。
家の親達は、大丈夫なのだろうか?
こうして、ハミエルは我が家、安達家に住まうことになったのだった。そして、俺は我が家族の頭を心配するようになったのだった。