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逆転転移のカタルシス  作者: ビンセンピッピ
第二章 戦慄の世界
38/139

2-12 『変態と一緒』

「パンツ……って、下着のことだよな?」


「そっ、そうです」


 しかしそれは不思議だ。中田は服を着ている。なのに、何故下着を持っていたのか。

 この下着が、あの液体と何か関係しているのか。それとも、これを使って液体を作るのか。


「あっ、あ、へっ……」


 中田は、開いた口から唾液を垂らした。

 そして不気味な笑いをしつつ、ホットパンツを下ろす。しかし下ろしたが、チュニックのおかげで大事な部分は隠れている。


「ど、どうしたんだ……パンツ穿くのか?」


「いっ、いひひっ……ちっ、ちっちっ、違い、ますっ」


 中田は、大志の胸に身体を預ける。

 そしてそのまま大志を下敷きにして、床に身体を倒した。


「あっ、ご、ごめんなさいっ」


 中田はそう言いながらも、大志の太ももを自らの足で挟む。

 前後に身体を動かすたびに中田の口から甘く荒い息が漏れ、動きも激しくなった。


「あへっ……あっ、あっ、んぁッ」


 中田の目は大志を見ている。しかし、その目が大志を捉えているようには見えない。

 必死に腰を動かす中田の姿は、まるで盛りのついた猫だ。


 太ももが熱い。摩擦熱とは違う熱だ。いつの間にか潤滑油のようなものまで塗られている。あまりに滑りが良くて、大志まで気持ちよくなった。


「なんだ、これは」


 太ももについた液体を手に取ってみる。

 朝の液体と同じだ。しかし今はそれより、このままではズボンにその液体がついてしまうことのほうが心配である。


「ちょっと待ってくれ。この液体は、何なんだ?」


 中田の腰に手を当て、動きを止める。

 しかし、中田の目と息遣いは変わらなかった。そして唾液が垂れてくるのを、手で受け止める。


「む、無知……ですね。舐めて、ください」


「それは勘弁したいな。それより、何があったんだ?」


 上体を起こし、中田を落ち着かせる。

 深呼吸をさせると、乱れていた中田の呼吸もだんだんと落ち着いた。



「あ、あの……ごめんなさいっ」


 ぺこり、と深く頭を下げる。しかし、謝られたいわけじゃない。話を聞きたいのだ。

 大志はズボンを脱ぎ、あぐらをかく。そしてその正面で、中田は正座をした。


「俺が寝ている間に、今みたいなことをしたってことか?」


「そっ、そう、です……」


 中田は足を開き、にへぁと笑う。

 何が中田をそうさせるのか。やっていること自体はよくわからないけれど、胸が少し熱くなった。


「足を閉じろ。なんか、身体が熱くなる」


 大志は視線をそらし、顔を染める。

 こんなこと、理恩の前では絶対にありえなかった。だから、不思議な気分だ。


「あ、だっ、大丈夫、ですよ……」


 中田は視線をそらす大志の手を取り、それを自らの秘部に導く。

 温かく、熱い、そして柔らかなモノが大志の中指を挟んだ。


「何をするんだ?」


「慣れれば、だっ、大丈夫、ですよっ」


 恍惚に顔を染めた中田は、そのまま大志の前に膝立ちをする。

 そしてその豊満な胸に大志の顔を押しつけ、腕でしっかりとホールドした。


「そのっ、ま、ままで……」


 そう言うと、ゆっくり腰が動き始める。

 中田の胸に覆われて見えないが、大志の手の上で中田が動いているのが感じられた。


 視界が遮られた状態で聞こえる中田の吐息は、大志を無性に興奮させる。

 中田と繋がる手とは反対の手が、自然と股間に触れた。しかし何をすればいいか、わからない。


「だ、だめぇっ」


 中田によって、その手は股間から離される。

 そしてその手は顔の真横、柔らかな果実に押し当てられた。


「もう……いい……」


 中田の秘部に触れていた手も、もう片方の果実に押し当てられる。


「あれ……?」


 興奮のせいか、倒されていたことに気づくのが遅れた。

 中田の柔らかな二つの膨らみは、大志を魅了する。


 今の大志には、自制心の欠片もない。欲望の赴くまま、中田の指示のままだ。



「もう、こんなのっ……」


 中田はついにその身を隠していたチュニックを脱ぎ捨てる。そしてその胸を包んでいた下着も取り払った。中田の身体を包み隠すものは、もうない。全てを、そこに晒した。


 大志の心臓は、飛び出そうなほど鼓動を速める。呼吸が乱れ、これではさっきまでの中田と同じだ。

 しかしそんな大志など気にせず、中田は大志の服を脱がす。

 そして下着姿となった大志の身体に、胸を押しつけた。


「どっ、どうっ、ですか?」


「柔らかい……」


 すると中田は、大志の身体を舐めた。

 ザラついた舌の感触が、妙にくすぐったく感じる。


「えへへぇ、れろ、れろ……んんぅ、ちゅっ、ちゅぅぅっ」


「うっ、や、やめっ、ろ……」


 しかし、これ見よがしにさらに舐めた。

 耳、首、鎖骨、胸、腹とだんだん下へと舐めていく。そして太ももの外から内へと舐めた。


「ん、あむ、んぁ……んっ、れろ、えろ……」


「やばいって、さすがに」


 中田の手が、大志の下着に手を置く。

 そこは大きく膨らんでおり、異様な存在感に中田は微笑んだ。


「ここ、どうなってるんですか……?」


 小悪魔のような笑みを見せて、意地悪な質問をする。

 そこがどうなっているか。大志にはわかる。わかるが、答えたくなかった。


 そして大志が口を開かないのを見て、中田は下着のゴムに指をかける。


「いっ、言ってくれないと、どっ、ふへっ、どっ、どうなるんでしょう……?」


 中田の口から唾液が垂れ、濡れていた太ももを伝った。

 中田も理性を失っているのか、もう大志でも手におえない。下着のゴムが引っ張られ、だんだんと下着は意味を失っていく。


「何が、目的なんだ?」


「んんぅ、いい……いい、匂いです」


 大志の言葉など耳に入っていないのか、中田の手は止まらない。

 手を伸ばして下着を掴むが、その手を中田に舐められる。


「いっ、一緒に……き、気持ち、よく……」


「どういうことだよ!」


 中田は大志の指を口にくわえ、頭を上下に動かした。

 中田の口の中は温かく、気持ちいい。


「き、汚い……ぞ」


「えふぇ……んっ、ちゅぷっ……ぢゅるるぅぅ、んぷぁっ」


 吸い上げるように指から口を離すと、中田は笑みを浮かべた。

 そして膨らんだ下着の頂点を優しく撫でる。


「こっ、ここ、もっと『きたない』……ですよね?」


 何を言っているのか。大志はわかりたくもなかった。

 そして大志が返事をしないと、中田は膨らみの頂点を咥える。


「だ、ダメだ!」


「……んふっ」


 中田は口の中で舌を動かした。舐められた感触が、下着越しに伝わってくる。

 そんなところを舐めたら、汚いに決まっている。それは中田も自覚しているはずだ。



 その時、ノック音が響く。

 防音になってはいるが、扉をノックする音はしっかりと響くようになっているのだ。


 大志は中田を身体から突き放し、扉へと駆け寄る。

 そして扉を少し開けると、そこには理恩が立っていた。


「理恩……」


「た、た―君……あの、い、一緒に寝てほしくて」


 理恩は意味もなく前髪をいじりながら、呟いた。

 それは大志も望んでいたこと。そろそろ理恩と離れているのも、辛くなってきていたのだ。


「ああ、わかった。でも、今はよしてくれないか」


 理恩は大志の姿を見下ろす。


「もしかして、これからシャワー浴びるの?」


「い、いや、そういうわけじゃないんだが……」


「そんなこと言われたら、気になるよー」


 理恩はわずかに開いていた扉を押し、部屋へと入ってくる。

 大志も、まさか入ってこられるとは思っていなかったので、中田に服を着せていなかった。


「え……なに……?」


 理恩はその場の状況が、すぐには飲み込めなかった。

 全裸の中田。下着姿の大志。脱ぎ捨てられた衣服。


「こ、これは、中田が――」


「あ、そ、そうだったんだ……。真水の次は、中田……。へ、へぇー……」


 理恩の頬を涙が伝う。

 性の知識は、大志よりも理恩のほうが多く知っていた。なので、この状況を、理恩なりに判断したのだ。


「仕方ないよね……。たー……ううん。大志。これからは、そう呼ぶね」


 そして理恩は、出ていってしまう。

 大志には何も言葉が思いつかなかった。胸が苦しくなる。




「ごっ、ごめんなさい……」


 大志も中田も服を着ると、中田は土下座をした。

 しかし大志に土下座をしたところで、理恩が戻ってくるはずもない。


「謝るな。止められなかった俺も悪い。……だから、しっかりと理由を話してくれ」


「はっ、はい。……あれは、一年くらい前です。私は、このスタイルのせいで、いっ、異性から、とっ、とても、いやらしい目で見られていたんです」


 中田は恍惚な顔で、胸を揉む。しかし、大志が睨むと、パッと手を離し、顔も戻した。

 この調子では、話が嘘か真かわからない。けれど、ここは信じるしかない。


「そ、それで、よ、呼び出されたんですよ。校舎裏に」


「校舎裏……?」


 大志の思い浮かべる校舎とは、ここの建物しかない。ここの裏は崖になっており、そこへ行こうものなら、そのまま海へ真っ逆さまだろう。


 中田の話によると、中田の通っていた学校の裏には林があり、校舎裏はその林のせいで、日が全く当たらない場所となっていたようだ。人も全く寄りつかない場所である。


「こっ、校舎裏に行ったら、だっ、男子が、たっ、たたっ、たくさん、いました……。そ、それで、ふふっ、服を脱ぐように、言われました」


 中田は話に合わせて、服を脱ぎ始めた。

 そして脱ぎ終わると、左右の手首をくっつけ、目を閉じる。


「そっ、そして、ぐへへっ、手を縛られました。んふぅ……目隠しも、されました」


 興奮してるのか、吐息が乱れてきた。しかし、まだ説明は続くようである。


「そして、しばらくしたら、んへっ……て、手が自由になり、目隠しも外されました」


「何で興奮してるんだ?」


「わ、私の身体には、し、白い液体が、へっ、へっ、たっ、たっ、たくさんかかってました。ん、ごくっ……と、とっても、いい、匂いでした。それに、美味しくて。もう、虜になりました」


 中田の口の端が上がった。

 楽しんでいるのならそれでいいが、中田の行動にはまだ謎が残されている。


「それで、男が嫌いになったのか?」


「い、いえ、そんなまさか。逆ですよ。見てると、つい襲いたくなっちゃうんです」


 そう言うと、中田の手が大志の腕を掴んだ。


「で、でも、あの時のことを思い出して、にやけちゃうんです。だから、目を合わせたくないんですぅ!」


「そうか。わかったから、手を離せ」


 すると、中田は慌てて手を離し、尻を突き出してうつ伏せに倒れる。

 尻なんて、人に向けるべきものじゃない。中田は常識がなさすぎるようだ。


「あぁっ、こんな私に、罰を与えてください! 好きなだけぶって使ってくださいぃっ!」


「さっさと服を着ろ」


 しかし、なかなか動かないので、望み通り一発叩いてやる。

 尻に手の跡が残ったのでやりすぎかと思ったが、中田は嬉しそうな顔で服を着始めた。




「それで、今朝の液体が中田のだとわかったが、何故俺だったんだ?」


「え、えっと……いひっ、そ、そこに、いたから、です」


「つまり、昨夜たまたま中田の部屋で寝たから、俺は襲われたのか?」


 中田は、その問いに首を横に振る。

 そして、手で輪っかをつくり、その手を上下に動かした。


「あ、あんなの、おっ、おおっ、襲ったなんて、い、言いませんよ」


「認めるということか。だがまあ、こうやって中田と知り合えるきっかけになったし、それはそれでよかったのか。理恩のことは、最悪だったが」


 思い出すだけでも、ため息が止まらない。

 そんな大志の手を中田が握る。そして、胸に押し当てた。


「大丈夫? おっぱい揉む?」


「押し当ててから言うな。それと、大丈夫じゃない!」


 手に憎しみと力をこめる。

 すると、中田の胸はぐにゅっと形を変えた。


「そっ、そんな、強く……えへぇ、い、痛いですよ」


「とても痛がってる顔には見えないな。逆に喜んでるだろ」


 大志は中田の胸から手を離し、床に手をつく。


「はぁ……理恩……」


 胸の奥がもやもやとした気分だ。

 大志は身体を大の字にして横たわる。


「も、もやもや、してますね」


 大志の隣で正座した中田が、優しい言葉で問いかけてきた。

 中田なりに、理恩のことは気にしているということだろうか。


「そんな時は……」


 中田の手が、大志の股間を撫でる。少しでも期待した自分が馬鹿らしくなった。


「いい加減にしないと、怒るぞ。どうなるかわからないぞ」


「えっ!? ど、どうぞ、好きなように、いじめてくだひゃい」







「中田はどうにかならないのか……」


 視線をそらされるよりかは、多少だけ話しやすくなったが、それでも会話が続かない。シャワーを浴びると言ってるのに、一緒に浴びると言い始めるし。

 流れで真水とは一緒だったが、今回は身の危険を感じたので遠慮した。


 しかも、中田はまだ部屋にいる。消灯の時間をすぎてしまったのだ。


「早くシャワー浴びて出ないと、中田が入ってきそうだな」


「そのまさかです」


 シャワー室の扉が開き、中田が現れる。

 そしてすぐさま扉は閉められ、逃げ場はなくなった。


「な、なんで入ってきてるんだよ!」


「いっ、いいじゃないですか。きっ、綺麗にしてあげます、から」


 中田の手がわきわきと動き、大志に迫る。しかも、妙に下に……


「あァッ、そこはッ! ダメっ! あっ、あ、アァぁっ! アアぁアァァアあッ!!」




「ほんと、許さないからな」


「つ、つい……」


 中田は床に額を擦りつけ、土下座をする。

 しかし、中田の罪はその程度で許されることではない。


「寝てる間に何かしたら、部屋から追い出すからな」


「えっ、ね、寝たら起きないですよね? き、気づくの、朝ですよね」


「なら、予防のために今すぐ出てもらっていいんだぞ」


「ごっ、ごめんなさい!」


 一応中田も女だ。それを床に寝かせるわけにはいかない。

 ベッドで寝るよう指示し、大志は床で眠る。


「い、一緒に寝ても、いいんですよ。ゆ、床だと寝づらいですよね?」


「絶対に何かするだろ」


 すると、ベッドの上で何かをガサガサとし始めた。

 薄暗い部屋の中では、何をしているかはわからない。


 そして顔を見せたと思うと、着ていた服がなくなっている。


「そうです。今夜は、寝かせませんよ」


「何をする気だ?」


「んふっ……夜の、勉強会ですよ……」



 その夜、大志の性の知識は理恩以上になった。



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