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潜入1

朝食を食べた後、和宏は通学中に昔馴染みへと連絡する。

相手は中々出ず、12回目のコールでようやく相手が出る。


『もしもし』


電話に出たのは少し掠れた声の女性の声。

かなり気怠い感じの声でお世辞にも絶好調とは言えない。


「もしもし笹原さん?」


『そうだけど……何よまた何か用?勘弁してよ……こっちは今、二日酔いで頭割れそうなんだけど。

てかアンタ用事以外で連絡して来たこと無いんじゃないの?』


怠そうな割りによく喋るのは職業柄ということもあるのだろう。

相手の女性はは既にどういう目的で和宏が電話したのか分かっているようだ。

それも無理はない。

和宏が用件以外で誰かに電話するなど奇跡に等しい。


「そうだな。少し見張って欲しい所があるんだが、住所は……」


会話の脈絡をバッサリ切って自分の用件を伝えようとする和宏に堪らず相手の女性が待ったをかける。


『待って待って……。アンタ今忘れてるかも知んないけどさ、今アタシ一応、社会人なんだけど……。頭痛いんだから声張らせないでよ……』


笹原は一応という言葉を強調したせいで頭痛に襲われたようだ。


「ただのキャバ嬢だろう……休め」


『休めるか……お気楽な学生様とはご身分が違うの……』


笹原は皮肉を言うが和宏には特にさしたるダメージを与えられない。


「手当ては出す」


『……2倍は欲しいね』


和宏は吹っ掛けるように言った笹原の言葉を正面から叩き潰す。


「3倍出す。これで良いか?」


『……何日よ?』


乗ってきたのか短く聞く笹原に業務内容を通達する。


「金曜までの5日間。見張りは出来ればそこに入る人物まで、無理ならどんな奴が出入りしたかでいい。住所は後でメールで送る」


『あー、乗るんじゃ無かった……厄介事の匂いしかしないね。金に釣られたアタシが憎いよ……』


事細かな内容から面倒事の匂いを嗅ぎ取った笹原は一瞬前の決断を悔やむ。

しかし、和宏はそれに一切斟酌することなくブツリと電話を切る。


サタデーナイトスペシャル……。


そうポツリと呟くと和宏は学校へと足を急がせた……。

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