Phase:2
「いたいた、マシロくーん!」
「あっ!伯父さん」
「待たせちゃったかな?」
「いえいえ、今着いたばっかりです」
デートか!いや、デートではないんだが、
「よしよし、あとの荷物は郵送だっけ?」
「はい」
「じゃあ行きますか」
「おおー!これがVRポッドですか、思ったより大きいですね」
確かに、VRポッド二台で空き部屋の半分は埋まってるからなぁ(ちなみにVRポッドは一台で畳2畳分くらいのスペースをとっている)、まぁ家はそんなに狭い訳じゃないから気にするほどでもないんだけどね。
「どうする?もうやっちゃう?」
「え?いいんですか?」
「まぁ他にやることもないしね、とりあえずキャラ作ってチュートリアル終わるぐらいまでやってみたらいいんじゃないかな、終わったら一回集合しよう」
「おお、マシロ君のプラントも円盤型かぁ」
「伯父さんのも円盤型なんですね」
あの後、マシロ君はキャラ作成とプラント見学が終わると伝えておいた座標にワープしてきた。
にしてもプラント越しの会話ってのもなんかアレだなぁ・・・
「PX?これあっちのプラントと行き来って出来ないのかな?」
『はい、ラズール様、プラント間の行き来自体は双方の合意があれば問題なく行えます』
へぇ~、じゃああっちのプラントに行ってみるか・・・
「マシロ君?そっちのプラントに跳べるみたいなんだけど許可だしてもらっていいかな?」
「あっはい!え~と、これかな?あ、出来たみたいです」
よし、じゃあ転送盤に乗って・・・
「あ、伯父さんだ、アバターあんまり変えてないんですね」
「あぁ、マシロ君も大して変わってないのね」
マシロ君のアバターは髪の毛が白になってるのと目が赤くなってるくらいで、他は特に変わっていないようだ。
「あんまり変えると動きづらいっていわれたんで」
「やっぱりか」
互いにフレンドの登録を済ませる、これでゲーム内でも連絡し合えるな、よしよし、
「マシロ君は名前もそのままなんだね」
「どんな名前にしたらいいかわからなかったので、伯父さんは・・ラズール・・ですか、なんかかっこいいですね」
「あはは、まぁテキトーにつけただけだよ」
『ラズール様』
「うおっ!」
マシロ君が驚く、うん、やっぱりビックリするよね・・・
『ラズール様は今後マシロ様と行動を共にするのでしょうか?』
「あー、どうする?」
「伯父さんさえ良ければ一緒にやりたいと思います」
『ではプラント同士のドッキングをされたほうが良いかと思われます』
「え?これ合体できるの?」
『はい、同型のプラントであれば可能です、プラントをドッキングさせると機能の拡張や物資の共有化などの機能に加え、効率も上昇しますので長く行動を共にするのであればしておいたほうが宜しいかと』
なるほど、じゃあやっておいたほうがいいのかな?
「ドッキングは解除も出来るんだよね?」
『もちろん可能です』
「ならやっておいたほうがいいんじゃないかな」
「ですね、やっておきましょう」
『では』
うちのPXがマシロ君の生活補助用マキナと通信を始める、と、プラント同士が移動しあって下面同士がくっ付いたようだ、マシロ君のディスプレイにドッキングの様子が映し出されている
『ドッキング作業、完了致しました』
「あの、伯父さん」
「ん?なんだい?」
「さっきから気になってたんですが、伯父さんのマキナって喋るんですね」
「え?マシロ君の喋らないの?」
『ラズール様、マシロ様の生活補助用マキナはPXタイプですが型番は106です、音声発生機能は501型以降の機能ですので、改修作業をしない限り喋ることは出来ません』
「あ、そうなんですね、あれ?でも初期選択のときはPX型はこれしかなかったんだけど・・・」
「あぁ、それ多分僕はランダムでやったからじゃないかな」
「え!そんなのあったんですか!?」
「うん、下にスクロールしたら出てきたよ、なんか危なそうだったからランダムはマキナだけにしといたけど」
「僕もすればよかったですかね」
『マシロ様』
「はい、なんでしょうか」
『現在工房にある資材を消費することでマシロ様のマキナを603型までアップデートすることが可能ですが、いかが致しますか?』
「603っていうと君と同じ?」
『はい、当プラントに存在するマキナの情報は取得済みですので、工房と資材さえあれば複製も可能です』
「へー、便利だな、やってもらうといいんじゃないかな、結構便利だよ、603型」
「あっ、じゃあお願いします」
『では工房まで付いて来て下さい』
うちのPXに連れられて工房に跳ぶ、プラントは同型なのでマシロ君の工房もうちとほとんど一緒だ。
『ではマシロ様のPX-106型の改修作業を開始させて頂きます』
30分くらい経っただろうか、マシロ君のPXも無事603型になったようだ、OSも更新したようでマシロ君は出来ることが増えたと喜んでいる、のだが・・・
見た目も同じになったためどちらのPXかがわかりづらい
「PXさんや」
『『はい、なんでしょう?』』
「あぁ、うちのほうはどっちだ?」
『私になります』
「ふたりとも見た目が一緒だからわかりづらいんだけどどうにかならないかな」
『では私のほうは外装をつけることにしましょう』
「外装?」
「見た目の変わるアタッチメントのようなものです」
うちのPXは工房で外装の作成を完了させると装備した、うん、なんかゴツい装甲みたいなのが付いてる。
あとは名前だな、PXだとふたりとも反応しちゃうし、
「あとは固体名みたいのがあればいいんだけど・・・」
『ラズール様のほうでお決めになりますか?』
そうだなぁ、丸っこいし、星の名前とかでいいかな?
「じゃあ、アルタイル、でいいかな?」
『かしこまりました』
『マシロ様、私のほうはいかが致しますか?』
「う~ん、伯父さんのはアルタイルっていってたし・・・じゃあ、ベガ、っていうのは?」
『宜しいかと』
よし、これである程度不便はなくなったかな、じゃあ・・・
「じゃあせっかくだし他のマキナもみてみようか」
『了解いたしました』
「こっちのも出してみてよ」
『畏まりました』
よぉーし!これでようやくメカニックライフのスタートだ!