Phase:14
遅くなりました、すみませぬ
「こっちはポイントに到着しました」
「了解した、作戦通り行こう、敵の長距離タイプは現在狙撃可能ポイントA-15方面に向かって移動中、近距離タイプは先行して進路の確保をしている、あちらはまだプラント内の構造を把握し切れていないだろうし、予定通りバックアタックを仕掛けるぞ」
「了解です」
「アルタイルとベガは引き続きガンビットで追跡をしてくれ」
『『了解致しました』』
今のところ気づかれてはいないようだがもしかすると気づいていない振りをして誘い込まれたりする可能性もある、警戒は怠らずにいこう、油断して負けることほど馬鹿なことはない。
相手選手とは機体スペックでは圧倒している筈だがマシロ君はともかく僕はまだジェミナスを十全には扱いきれてない、大会が終わったら操作系のインターフェースの開発もしていきたいな、それと宇宙戦用以外にもいろんなマキナも作りたいし、アルタイルやベガも改造したい、PXタイプはあれが完成形というわけでもないだろうし、あぁ、作りかけのジャンクマキナも作ってあげないといけないしなぁ、うーん、いろいろな方面の開発を同時にやろうとするとプラントや工房の改造とか効率化もしておきたいな。
やりたいことがいっぱい過ぎて逆に悩んでしまうな・・・・おっと、今は試合中だ、集中せねば。
大会後のことは大会後に考えよう。
どうやら相手はプラントの破損スペースの空間に陣取ったみたいだな、近距離タイプは目立つ真ん中に、遠距離タイプは剥き出しになった通路で警戒を始める、あそこは結構広いから狙撃による援護もしやすいし、狙撃後の移動も楽だ、相手にばれていなければ戦いやすかったかもしれないな。
「マシロ君、僕は正面から近距離のほうに行って気を引く、マシロ君は十分時間を置いてから遠距離タイプにバックアタックだ」
「了解です」
「5秒後に僕が突入する、4、3、2、1、GO!」
ジェミナスのスラスターを噴かして突入する、流石本戦出場者だけあって動きが止まったのは一瞬だったが、僕らにとってはその一瞬で十分だ。
一瞬遅れて相手の2機は行動を開始するが、その前に僕のジェミナスはガンビットを展開し、本体はシールドライフルを発射している。
狙ったのは近距離タイプのほう・・・、確かダイチ選手だったか、コッチに狙いをつけて行動することでパック機の警戒を薄くするのが目的だ、こちらも馬鹿みたいに撃たれてやる理由はないので的を絞らせないよう細かく動きながらダイチ選手に射撃をしていく、ダイチ選手はガンビットとライフルに翻弄されて上手く近づけない。
速さに緩急をつけて、大きく余裕を持って射撃を避けたり紙一重で避けたりなど、回避のパターンも絞らせないように気をつける、出来るだけこちらに意識を持ってきてくれるように立ち回らなければならない。
ガンビットの制御は殆どアルタイル任せだ、僕のやっているのはジェミナスの移動とシールドライフルの操作、細かい姿勢制御なんかもアルタイルに任せているのでガンビットの制御も甘い。
やはり1対2の状況では機体性能が高いとはいえ厳しい戦いになるかっ!
パック選手はコッチの本体より先にガンビットを狙うことにしたようで先ほどからダイチ選手の周りのガンビットに射撃をしている。
ガンビットは機動力や攻撃力の代わりに耐久性は殆ど犠牲にしているので低出力のビームでも食らえば撃墜は免れない。
こちらはアルタイルにかなり頼った操作をしているのでガンビットの操作もマシロ君より断然甘い。
18機あるガンビットの内6機が撃墜され、段々と押されてきている。
ガンビットが減ったことにより残ったガンビットは動きが良くなっているがいつまでもこのままでいるわけにも行かない。
気づかれないレベルで段々とスラスターの出力を落としていく、回避運動をするが段々と避けきれなくなりシールドで本体を防御することで相手に押していると思わせるのだ。
コッチを撃墜しようと夢中になってくれれば言うことは無い。
ダイチ選手は動きが悪くなったのを好機とみて一気呵成に突っ込んでくる、かなり大振りの攻撃で外せば隙できるような攻撃だ、しかし当たればかなりの被害を被るであろう一撃。
スラスターを無理に噴かして逃げたような体勢を取り隙を見せる。
来い!!!
パック選手は撃って来た、今までで一番威力のあるビームだろう、出力はおそらく最大、これで決めるという強い意思を感じる、が、パック選手が撃ったビームは僕の本体に届くことは無かった、シールドライフルを重ねてビームを減衰させることで本体への被害を抑えたのだ、シールドは2枚が貫かれ3枚も途中までは溶けていた、だがそこまでだ。
最大威力での射撃、その大きすぎる隙を見逃すマシロ君ではない。
射撃の瞬間にパック選手の機体は突如後ろから伸びてきたビームに貫かれてその機体を爆発させる。
僕のほうはシールド部分を貫かれた3枚のシールドライフルを切り離すとともにダイチ選手に向けて発射する、攻撃後の隙を狙われたダイチ選手は避けられずにいたが直接当てることを目的としたわけではない。
発射したシールドライフルのライフルパーツに向けて射撃、ガンビットと3本のライフルに射撃されたシールドはダイチ選手の至近距離で爆発。
ダイチ選手に少なくないダメージを与えることに成功したはずだ。
マシロ君も加勢に加わりココで決めるか!
といったところでサレンダーの表示が出現し、バトルが終了となる。
まぁあの状態から逆転は無かっただろうし、機体が撃墜された場合一から作り直さなければならなくなる(設計図があればそれほど苦労はしないが)手間を考えればこの判断は的確であっただろう。
本戦1回戦は個人的には苦戦したが勝てた、残り2試合、何とか勝って優勝したいところだが・・・。
どうしたものか・・・