Phase:13
遅くなりました・・・すみませぬ
「あ、伯父さん、機体の調整してくれてたんですね」
「あぁ、本戦まであともう少しだったからね、整備不良で負けましたなんてのは嫌だし」
「ベガ?大会本戦まであとどのくらいかな?」
『本戦開始時刻まであと20時間です』
「ならあとは対戦相手の研究とかしとけばいいかな?」
「マシロ様、本戦出場選手の使用機体データと予想スペック、戦術予測データはこちらにありますが」
「ありがとう、ベガ、早速見させてもらうよ」
こっちもベガのデータを見せてもらいつつ、手元では暇つぶしにマキナのパーツで遊び始める
マキナパーツは工房のほうで生産しているのだが、いろいろとジャンクパーツみたいのを作って自分でいろんなものを組んでみるのもなかなか面白い、発想自体はあるけど設計まではいかない・・・と言うようなものは空いた時間にカチャカチャと作ってみたほうが意外といいものが出来たりもするものだ。
今作っているのは拡張型インターフェースになる予定のもので、今まではいちいちディスプレイに表示していたデータなんかを三次元的に空間に表示することが出来るようにするためのものだ、当初は眼鏡くらいのサイズを目指していたのだが、何だかんだ遊んでいたらヒーローマスクみたいな形状になってきてしまっている、まぁ視界を塞いだりはしないのでただただ不審なだけなのだが・・・、これはデザインをどうにかするか、当初の予定通り眼鏡サイズにするかしないとダメかもな・・・
まぁ失敗というわけでもない、デザインや機構なんかは他のものに転用や応用が出来る事もあるので捨てずに取って置いてあるのだが、僕用の倉庫スペースは三分の一くらいは埋まってきている、まぁ捨てないといけない訳でもないし、いざとなれば工房でバラして素材に戻したりも出来るからね、
というわけで本戦始まるまでは機械弄りしてようっと・・・・・・
『さぁ!今回もやってきました!マキナティクスタッグバトルトーナメント!』
『本戦一回戦第一試合は、揚げ子丸選手&ガトーショコラ選手VSヘラクレス選手&クーフーリン選手の対戦となります』
『この試合の解説は、おなじみの、元第五惑星プラント代表、南沢弱士さんと、わたくし、ジャン・カポイラでお送り致します』
第一試合は揚げ子丸選手とガトーショコラ選手がビーム兵器主体の装備、ヘラクレス選手とクーフーリン選手は物理兵器主体の装備と正反対だったが、持久戦になった結果ヘラクレス選手達の弾薬が尽きて降参となり、揚げ子丸&ガトーショコラの勝利となった。
一回戦の第二試合は僕らの番だ、対戦相手はパック選手&ダイチ選手というらしい、
ベガの情報によれば相手の機体は長距離射撃タイプと近接攻撃タイプのチームとのこと、僕らはふたりとも基本のシールドライフル装備にしている、カラーリングが違うので機体の判別はされやすいだろうけど装備も一緒なのでどうということはない、とにかく今回もしっかり勝ちを拾っていこう。
僕らの試合の時間になり、コクピットに入る、データリンクや確認事項はアルタイル任せにした。
本戦になると試合のフィールドも予選とは変わる、予選では遮蔽物はデブリ帯位しかなかったが、本戦では小規模な廃プラントが浮いていて、室内戦も出来るようになっている。
先ほどのヘラクレス選手達はうまくプラント内に誘い込まれて持久戦に持ち込まれてしまっていたが・・・
「マシロ君、作戦案はある?」
「そうですね、相手は狙撃点の確保の為に僕らをプラント内には入れたくない筈です、プラントを遮蔽物にすれば位置もばれにくいですし、撃っても狙撃位置の移動が比較的安全に行えます、それに近距離タイプと鉢合わせするのは危険かもしれませんからね、出来ればこちらが先にプラントに到達して内部にガンビットを走らせたいですね、大会中は本戦のフィールドは変わらないみたいですから、初戦のうちにプラント内部の構造を把握しておいたほうがいいかもしれません」
「わかった、とりあえず最速でプラントに侵入してガンビットで偵察とプラント内部の構造把握、敵機を捕捉したら包囲して仕留めよう、二対一に持ち込めれば比較的安全に倒せるはずだ。」
「了解です」
試合開始の表示と共にふたりで廃プラントに向けてスラスターを吹かせる、プラントのサイズは小型プラントひとつ分くらいで、広くはあるが、内部はギッシリ詰まっているわけでもないため、以外に脆そうだ、細かい通路にふたりで分担してガンビットを走らせてマッピングを開始する、ガンビットには細かい通路のマッピングをさせて、本体では大まかな構造の把握に努める、大体のプラント内構造は僕らのプラントと同じように見える・・・
「アルタイル、僕らのプラント構造とこのプラントのマップデータを照らし合わせて見てくれ」
『・・・参照完了致しました、恐らくプラントの構造自体は殆ど同一と思われますが、大会用に遮蔽物などが追加されていたり、一部の通路が塞がれていたりするようです』
「なるほど、引き続きマッピングは続けてくれ」
『了解致しました』
ちなみにふたりがかりでマッピングをしているのだが、ボクの方はガンビットの操作をアルタイルにまかせっきりにしているのに対し、マシロ君はベガと協力してガンビットの操作をしているため、マッピング速度がこちらより早い、アルタイルのマッピング速度と比べると大体150%程の速度でマッピングが進んでいる、ガンビットの展開図では合計36機のガンビットが蜂のように忙しく飛び回っている・・・
僕はマシロ君と僕の本体の警護役のようなことをしているが今のところ敵機の反応は感じられない
『ラズール様、プラント内のマッピング、完了致しました』
「了解、敵を誘い込めそうな広い空間は・・・ここだな。」
そのとき、索敵範囲内に2つ、赤い反応が表示される
「伯父さん!」
「わかってる、ポイントはこっちで指定するから誘い込んでくれ!」
うまくいくといいんだが・・・