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Phase:9

 「アルタイル、ジェミナスの武装を外してくれ、僕は格納庫からバスター装備を出しておく」

『了解しました』


 ジェミナスの、基本装備であるシールドライフルを取り外し、工房横の格納庫からシールドバスターライフルを取り付ける、換装自体はアルタイルが作業用マキナの遠隔操作により済ませてくれる。僕は接続の様子をディスプレイで見つつ、各所のシステム周りや出力に異常が無いかや、データの整合性のチェックを済ませる。表示されているパラメータや数字を見る分に異常は見受けられない。


 装備させたシールドバスターライフルは6枚のシールドに一枚づつ、バスターパネルいう板状のパーツがついており、2枚以上のバスターパネルを挟むように配置するとパネルの間で高出力のビームが生成されるというもので、最大で6枚同時に組み合わせることにより超火力のビームが撃てるという装備だ。


 現状バスター装備は試験稼動をクリアしたものの出力が絞れず、リソースの食い方が激しかったため要改修としていたが射程と威力は折り紙つきだ、射撃性能試験では3枚以上のパネルを組めば、僕らの作った厚さ100cmのセラミックタイルとカーボン繊維の積層装甲も貫通したのだから型落ちのペラペラシールド1枚で防げる道理はない、射程も下手な長距離ライフルより遠くに届く、唯一弱点があるとすれば6枚を組み合わせるビームを発射すると他のシステムに回しているリソースまで食ってしまうため、撃った後の10秒間は行動不能になってしまうところだが、まぁ先に近接型を処理すれば撃っても大丈夫だろう。


「アルタイル、お前も一度システムに目を通してくれ」

『了解です・・・・・・システムオールグリーン、正常な動作を確認致しました』


「よし、なら大丈夫だ、試合開始まであと何分だ?」

『試合開始までの時間は20分です』

「思ったよりシステムチェックに時間を取られたが間に合ったな、会場に戻ろう」






 『Dブロック準決勝はラズール&マシロ選手 VS 社畜戦士水原選手&ニート仮面選手!』


『この試合の解説は、おなじみの、元第五惑星プラント代表、南沢弱士さんと、わたくし、ジャン・カポイラでお送り致します』


『南沢さん、今回の対戦ではラズール選手達のタッグは不利なのではとの声がありましたが、これは何故なのでしょうか』

『はい、恐らくラズール選手たちのマキナは攻防と平均的な構成ですから、機動力と火力、防御力と射程に役割を分けた社畜戦士水原選手達のほうが立ち回りがしやすいのではということでしょう』

『なるほど』

『しかしカポイラさん、ラズール選手の機体ご覧下さい、彼、この短い時間の中で装備を変えてきました、シールドも先ほどとは少しちがうようですし、あの板のようなパーツがどの様な装備かは分かりませんがなにか策を練ってきたのではないでしょうか!』

『どのような戦いになるにせよ、この対戦もかなり見ごたえのある試合になりそうですね』



「マシロ君、もう乗っておこう、会話はコクピットからの通信でやろう」

「了解です」



コクピットに乗り込むとマシロ君との通信回線を開く


「聞こえるかい?」

「はい、良好です」

「なら作戦のおさらいだ、全武装の使用制限は解禁、フルパワーでぶっ飛ばしてやろう」

「了解です、こちらは前衛のほうを貰いますね」

「あぁ、了解だ」



 今回は相手にムカッと来たのもあるが、全力全開での戦闘がどうなるかのテストにもなる

機体性能がばれる危険はあるが、こっちには換装システムがある、装備の種類が多ければ対策も立てづらいはずだ。


『ではDブロック準決勝!始めさせていただきます!』


 ジェミナスレッドとのデータリンクを構築、接続率は99.8%か、システムも良好、勝てない要素はない




     《BATTLE-START》


 表示と共に転送された瞬間、フットペダルを全力で踏み込む!

先ほどの試合の3倍近い速度で一気にフィールド中央を目指して加速していく、こちらはマシロ君のジェミナスレッドより火力特化の装備のため少し遅い、マシロ君の機体との距離がジワジワと開いていく



 マシロ君を追いかけて機体がフィールドの中央を通り過ぎたあたりでマシロ君のほうのカメラが敵機を捕捉、マシロ君はそのまま捕捉した敵機に向けてスラスターを吹かしていく


 僕の方は少し先のほうにあった大型のデブリにシールドを刺して固定するとアルタイルの演算と合わせて水原の乗るマキナに狙いを定める



 マシロ君のジェミナスブルーが前衛のマキナと接敵しようとした瞬間に合わせて、最大火力のシールドバスターライフルを発射する


 放たれたビーム(すでにビームの太さではない)は射線を遮っていた小型のデブリを一瞬で吹き飛ばしながら水原のマキナに直撃、機体が輝きと共に膨れ上がり、一瞬の後、派手な爆発を見せる。


 前衛のほうのマキナは味方機の撃墜に意識を取られた瞬間マシロ君のライフルとガンビットにより武器とスラスター、センサーやカメラを撃ち抜かれて宇宙に漂う棺桶と化していた、うわぁ、マシロ君も意外とエグい戦い方するのね、あれは逆に辛いでしょ。



 戦闘所用時間は2分18秒、大会新記録と出ている。



 おっと、忘れるところだった、アレをやっておかないと・・・


「アルタイル」

『了解です』


 全周波数に向けて戦闘前の会話を再生する



『わざわざ次の対戦相手様がなんの御用かな?』

『いやいや、大した用じゃない、君らのマキナが木っ端微塵になるのが怖かったら棄権してみてはどうかとおもってね、なぁに、やさしい忠告だよ』


 再生した音声に被せるように通信を乗せる


『 ゴホン! 僕のジェミナスを木っ端微塵にしたかったらもっとマシな機体を持って来いよ、店売りでもない型落ち品のスクラップじゃなくてな』



 かなり悪目立ちしてしまったかもしれないが問題はないだろう、ジェミナスが負ける予定はいまのところないしな



 試合を終えてコクピットから降りると水原ペアはすでにいなくなっていた、まぁアレだけやられてまだ啖呵を切りに来れるようなら逆に凄いとは思ったが、流石にないか




 解説のふたりはリプレイをみながらまるで叫ぶかのように話をしている




「マシロ君、全力で戦ってみてどうだった?」

「そうですね、ガンビットのマニュアル制御がまだ少し甘かったと思います、今後の課題ですね」






 ・・・・え!?あれマニュアル操作!?僕アレやれって言われても絶対無理だと思うんだけど



ちなみに、マシロ君がマニュアル制御で操ったガンビットは18機です、(シールド1枚につき3機)もう彼は人間辞めてますねww

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