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ハオサーク  作者: 桜前線
3/25

盗賊と村 3

「あなた様が強いのは充分わかっていますが、この盗賊達は単なる下っ端です!! 首領は比べ物にならない程強力で、根城にはまだ何十人も手下が揃ってる! 手を出すべきではありません!!」

「どうかご心配なく。わたしはこの村とはなんの関係もない旅人です。あなた方の反抗とは見られないでしょう」

「ですが―――」


 焦燥も露わに引き留めようとしてくるヤニに、ナチは縄で縛られている男達を示した。男達は既に目を覚ましていて、ナチや村人達を睨んだり脅したりすることに忙しい。


「念の為、盗賊達を壊滅させるまで彼らは生かしておいてください。なにかあった時には取引の材料として使えるかもしれませんし、他にも色々と有用な使い方があるでしょう」

「は、はい。それはもちろん―――」


 盗賊達の処遇についての言葉はひどくあっさりとした調子で告げられた。盗賊とはいえ人間四人、それをまるでモノのように語るナチの声音の平坦さが、逆に恐ろしさを感じさせてヤニは怯んだように表情を固くした。


 しかし、そこで黙っていられなかったのが部屋の隅に転がされた男達である。

 彼らは盗賊、暴力によって奪い取り他人を踏みにじることに良心の呵責をこれっぽっちも覚えない人種である。往々にしてそういった連中は自分が逆の立場になることに我慢ならない。

 おまけに彼らは自分がなにをされたか把握する暇もなく気絶した。そしてナチは今村人達を怯えさせないように極力気配を穏やかにしている。

 よって弱者を嬲り強者に迎合し命を削るような戦いを極力避けてきた、生物としての勘が鈍り切った彼らにとって、目の前の少女は弱弱しい獲物にしか見えない。


「使うゥ!? オイ、なに舐めた口きいてくれてんだ、嬢ちゃんよォ!」

「聞いたか!? この小娘、俺達を使うつもりらしいぜ!」


 凶悪な怒りに頬を歪ませ、男達は口元だけで笑い合った。

 一泊おいて、罵声が部屋を震わせる。


「どんな親に育てられたんだか、俺達の方がまだマシだろうよ!! 女が男を使うだと!? 使って下さいの間違いだろうが!!」

「楽しみにしてろよ、小娘!! 売っぱらっちまう前にゃたっぷりと時間があるからよ! 薬漬けにしてたっぷり躾直してやるよォ!!」

「薬中の淫売になってもまだそんな口が利けるか、楽しみじゃねェか!!」


 ナチは無言で男達に目を向けた。一瞬、異様な威圧感が漏れ出る。

 わずかに細めたナチの眼差しに、下卑た笑いに崩れていた男達の顔が強張った。

 一拍空け、怯んだ自分自身に苛立ったように再び口を開こうとする男達に歩み寄って、ナチは腕を振って袖口から苦無を取り出す。男達の頬を切り裂いた。


「あぉりゃッ! れれぇ……!」

「ぃぇええええ! おあひれあう! あいぃいっれ、えっれぃえぃいいイイイ!」


 頬から鮮血が噴き出して男達の顔にべっとりと赤い化粧を塗りつける。耳までざっくりと裂かれた頬では顎を閉じていることが出来ず、ピンク色の肉の間から虫歯だらけの歯列が覗く。碌に歯磨きもしていない、見ているだけで強烈な口臭が漂って来そうな咥内が真っ赤に染まっていた。

 涎混じりの血を吐き出しながらのた打ち回る男達がなにやら喚いているのを無視し、ナチは村人達に向かって確認する。


「では、わたしは行って来ようと思いますが、なにかありますか?」

「あ、あなたの実力なら森を抜けることが出来るでしょう? 一旦森を抜けて、あの役人よりももっと上の、あなたが危険を冒すことなんて―――」


 今しがた人の肉を切り裂いたばかりだというのに、ナチは涼しげな表情を崩さない。

 いや、最初から彼女はほとんど表情の動きのない少女だった。恐怖の眼差しを一身に浴びていた時も、病の治癒の後子供のようにはしゃいだ村人達に取り囲まれた時も、ソロンの家で村人達の悲嘆に晒されていた時も、彼女はずっと静かな表情を崩さなかった。

 無表情とは少し違う。穏やかだし、動きもある。感情を殺している訳でもない。なのにその真意を探ろうとすると、途端に深い海を覗き込むような感覚に襲われる。

 まるで人ではないものと向き合っているような気分にさせられる少女だった。


 そんな彼女に慄きながらもヤニは言い募る。

 ヤニの言い分はおかしなものではない筈だ。盗賊達の人数は多く、首領は飛び抜けて強い。少女一人を向かわせてなんとかなるような相手ではない。

 それを遮って村人達の喝采が起こる。


「頼むよ、あいつらに天罰を下してやってくれ!」

「皆の敵討ちだ!!」

「もう好き勝手させねぇぞ!!」

「おい、女の方に向かってそんな―――」


 制止しようとするヤニに、村人達は馬鹿馬鹿しいと言いたげに言い返す。


「大丈夫に決まってんだろ!」

「わざわざ腰の重い連中を引き摺り出すまでもねぇだろうが」

「大体そんなもん待ってたら何時になるかわかりゃしねぇ! それまであいつらに大人しく貢ぎ続けろって言うのかよ!!」

「なぁに、すぐに片付く。ヤニ、あんたが手を出すまでもねぇよ」


 村人達はひどく楽天的だった。彼らの頭にはナチが敗北する可能性など欠片も浮かんでいないらしく、どのように着いて行けば戦いの様子がよく見えるかなどと話し始める始末だ。


「事が終わるまで狩小屋の周辺には近付かないようにしてください」

「あー、やっぱり駄目か! 見たかったんだけどなぁ、あいつらがぶっ殺されるところをよ!」

「それでこそ溜飲が下がるってもんですよ!」


 釘を刺したナチに、既にすっかり勝った気分でいる村人達が残念そうに観戦への未練を口にする。


「人数が多いようなので、村の方へ逃げようとする者もいるかもしれません」


 ナチは不満そうな顔をしている村人達に視線を合わせて言い含める。


「―――危ないので、どうかここでお待ちください」

「あ、あぁ」

「そ、そうだよな。危ないから、な……」

「抜け駆けする奴がいないように、ちゃ、ちゃんと見張ってますんで……」


 ナチに凝視された結果、子兎のように大人しくなった村人達がしおらしく頷く。

 静まり返ったソロンの家を後にし、ナチは狩小屋へと足を向ける。十歩も歩かない内にその背中に声がかけられた。


「待ってください!」


 力強い声でナチを呼び止めたのは家から走り出てきたソロンだった。自分の背丈程もある棍棒を携え、手首には布を巻きつけ、革の胸当てを装着している。


「私も、一緒に連れて行ってください……!!」

「……戦闘になれば、庇いきれるかわかりません」


 再び狩小屋に向かって歩き始めたナチの横にソロンが並んだ。


「わかっています、足手纏いになるようなら見捨てて構いません」

「わたしに任せて、村で待つことはできませんか?」

「私は、この村の村長です……! これだけ村を好き勝手に荒らしまわった連中を、余所からのお客人にだけ任せてのうのうとしていることはできない―――」


 ソロンは棍棒を握りしめる。


「……いえ、これは綺麗ごとです、私は、私の……娘を、エフィを攫った連中が、知らない場所で勝手に死ぬのが許せない!! この手で戦わなければ、私は戦わなければいけない。そうしなければ、私は……私は―――!!」


 ナチは足を止める。足早に歩いていたため、村人達が集まるソロンの家からは既に結構な距離があった。蒼褪めた顔でナチとソロンを凝視していたヤニがふらふらと何処かへよろめき去って行く。


「人を殺せますか?」

「は……」


 ナチの質問に怪訝な顔をするソロン。


「わたしは盗賊達を皆殺しにするつもりです。法に期待できないのなら、わざわざ生かして捕らえても仕方がありません。だから、盗賊達の一味を一人残らず殺します」

「それは、ええ、その通りですから……」


 ソロンは頷く。感情でも理屈でも盗賊達を生かしておく理由は一つもない。皆殺しにするのは当たり前のことだ。


「ソロンさんは? ソロンさんはどうですか?」

「お任せください。……そもそも、あいつらは人間じゃありませんよ」

「……そうですか。―――では、行きましょう」


 同行を許可する言葉に、ソロンは顔を引き締め森の奥を睨んだ。

 この村は縦二キロ横四キロ程の四角形の形をしている。ソロンの家は村のちょうど中央に位置するので、村を歩いて抜けるには少し時間がかかる。

 ソロンとナチは人気の消えた村を無言のまま足早に歩く。二人の目に村と外を仕切る柵が見えてきた頃、後ろから駆け寄ってくる足音がした。


「あ、あの子、なんで―――」


 振り返って確認したソロンがぎょっとしたような声を漏らす。息を切らして走ってきたのはシーマだった。

 シーマは二人に追いつくと、息を整えるのもそこそこに口を開く。


「あの、―――あたし、―――」

「シーマ、こんなところに来ちゃいけない。今すぐ村の皆のところに戻るんだ」

「はい、おじさん―――でも、あたし、」


 シーマはなにか物言いたげに唇を震わせて、ナチを見た。


「あの………。―――っお気をつけて! どうか無事で帰って来てください!」

「ありがとうございます」

「え、と……それだけ、なんですけど」


 目を伏せたシーマにちらりと見て、ナチはソロンに目を向ける。ソロンは頷いた。


「シーマ、心配しなくていい。この方は強いし、俺だってあいつらに簡単にやられるつもりはない。必ず帰ってくる。ヤニと一緒に待っててくれ」

「………はい」


 シーマは固さの残る表情で切り裂かれたままの服を握りしめ、ナチとソロンを交互に見る。ソロンに優しく促されて、何度も振り返りながら来た道を戻って行った。


「―――もうそろそろ村を出ますが、村を出て歩いていれば盗賊達に気付かれる。私達はすぐに取り囲まれる筈です」

「向こうから来てくださるのですか。探す手間が省けるのは良いことです」


 ナチとソロンの先にある細い道は、鬱蒼と茂る木々に覆われて薄暗く陰っている。










 この世はクソでできている。

 ゲートがそれに気付いたのは何時のことだったろうか。


 ゲートは有り触れた農村で生まれた、有り触れた農民の息子だった。

 朝起きたらまず水を汲んで、ライ麦畑の面倒を見て、何処の村でもあるようにワインを作る為のちょっとした葡萄の木や家畜の世話をする。

 食べ物は薄い粥。少し収穫が良ければ中身の増した粥。粉挽きとパン窯を借りることが出来る余裕があれば、パンを食べることが出来た。


 貧しいと思ったことはなかった。周りは皆似たような生活をしていたし、その中でもゲートの一家は上手くやっている方だったからだ。

 ただ、病に罹った友人の母が金がなくて大した治療も受けられずに亡くなった時、同じ年頃の村の子供がやせ細り、ついには何処かへいなくなった時、ゲートは子供心になんとも言えない悔しさのようなものを覚えたものだった。

 だから村の教会の神父から、ゲートには冒険者になれるだけの力があると聞かされた時、迷わずに村を出ることを決意した。

 十六になったばかりの頃だった。



 冒険者とは、平民にとって身を立てることの出来る唯一の道である。

 力をつけ、のし上がれば貴族と同じような生活をすることだって夢じゃない。

 ゲートは村の領主の娘の結婚式で招かれていた冒険者を見たことがあった。農民上がりだというその男は堂々たる体躯をして、領主に負けないくらい立派な服を身に纏い、客分として領主と対等に振る舞っていた。


 自信はあった。

 ゲートは村の中では飛び抜けて強く、十を超える頃には大人でもゲートに適う者はいなくなっていた。

 村の誰もが見たことのないくらいたくさんの金を稼いで、いずれ村の土地を買い取ることがゲートの目標だった。賃料なんか取らない。パン焼き窯だって水車小屋だって、好きなだけ使わせてやる。魔物が来たら戦って、病にかかる者がいればゲートが癒師という癒しの魔術を行使する女達を呼んで治してやる。



 冒険者となって、ゲートは世の中には食事が冷めただけで捨てる世界があることを知った。

 友人の母の病はいとも簡単に治せるものだったということを知った。

 玩具として奴隷を買い与えられる子供がいることを知った。

 そして生まれながらに決められた、超えられない壁が存在することを理解した。


 貴族とは、王族とは、ゲート達を支配する者達は尊い血の持ち主だという。

 その血に受け継がれるは、山を砕き、雲を割り、雷を切り裂く埒外の力。

 人の身でありながら魔の領域を闊歩する戦鬼。

 蒙昧にして脆弱な民を支配する権利を授かった、現世における神の尖兵。


 救い難い連中だと、ゲートはそう思った。

 ゲートはこの地の多くの平民と同じく、サルヴァトル教の教徒だった。

 人は皆、神によって平等であるように定められている。強い者は弱い者を助ける為に、持てる者は持たざる者に与える為に。

 ゲートの見た領主は確かに村人達よりも抜きん出て強かったが、届かない存在には思えなかった。

 貴族や王族とは神の意志を騙る紛い物に過ぎないのだ。いずれ地獄の底で裁きを受けることになる。

 その筈だった。


 冒険者とは、単なる職業ではない。

 『魔物が跋扈する地を切り開き、人の生存圏を確保する』

 神の尖兵を自負する貴族や王族にとって、それは義務であり存在意義である。

 故に彼らは貴族や王族であると同時に冒険者だった。



 ゲートが連れて行かれた迷宮に隣接した都市。想像したことすらない規模の大都市の外れ、地下深く広がる迷宮で、ゲートが見たのは恐ろしい魔物を造作もなく切り捨てる、自分より年下の貴族の少年の姿だった。


 迷宮での探索が予想以上に順調に進み、古参の冒険者にも筋がいいと褒められて、渋る指導係の冒険者を押し切っていつもより深い場所へと足を延ばした時のことである。

 こんな浅い階層にいる筈のない魔物が、倒した魔物の売れる箇所を切り取っていたゲートに襲い掛かったのだ。塵のように吹き飛ばされて壁に叩きつけられたゲートが状況を把握したのは、全てが終わってからだった。


 血が入り込んで霞む目に映った少年は、痛みと衝撃に混乱するゲートを一瞥することすらせず、倒した魔物を無造作に燃やして去って行った。中堅どころの冒険者が徒党を組んで倒すような魔物だったのに、たった一人で迷宮に潜っていた少年は売れる箇所を採取する素振りすら見せなかった。


 実用的な鎧に刻まれた紋章は斧と橙のカレンデュラ。

 その後容赦なく殴り飛ばされたゲートが聞いたところ、貴族だと不機嫌な顔の指導係は言った。

 ゲートの村を支配する木っ端のような領主達とは似ても似つかぬ本物の貴族だった。



 それからしばらく経って、付き添いなしで迷宮に入ることを許されたゲートは仲間を得た。

 アリ。バシル。ニコ。

 三人の仲間はゲートと同じく農村の出身で、当然のようにサルヴァトル教の教徒だった。

 デア・アマデウス。かつて生きたサルヴァトル教の大英雄のようになるんだと、恥ずかしげもなく言い合った。

 自分達には出来ると本気で信じていた。



 冒険者が実入りが良い。駆け出しのゲート達でも、少し慣れれば農村の生活からは考えられないほどの報酬を得ることが出来た。

 多くは怪我の治療や武器、割高な都市の物価、冒険者になる際に作った借金の返済に消えたが、ゲート達は最低限の物で我慢して節約に励んだ。大きな街だ、誘惑は多かったが貧しい故郷のことを考えると自然と欲は抑えられた。


 ゲート達が定期的に故郷にまとまった金を送れるようになるまで、迷宮に潜り始めてから数えて十年かかった。

 それから時折故郷から届く手紙を楽しみに、ゲート達は更に強くなるために迷宮に潜り続けた。



 ゲート達には焦りがあった。

 どの者も村では並ぶ者のいない強さを誇っていた。けれどここではゲート達は取るに足りない、迷宮の中で野垂れ死んでも気付かれることのないような、そんな存在だった。

 ゲート達が十年も生き残ることができたのは、単に運の賜物だろう。

 ゲート達にはそれぞれ夢があった。ゲートが故郷の村を買い取ろうと夢想したように。

 だが、現実は遠かった。大したことがないとゲートが感じた故郷の村の領主、彼があの結婚式で見せた業火を操り剣を振るう技に、十年経ってもゲートは追いつくことができなかった。


 そんな時だった。ゲートの故郷からの手紙が途切れたのは。

 折しも、各地で魔物の行動に異変が起こっていることが、噂に上り始めた頃だった。

 一月経ち、二月も過ぎ、手紙を待って三か月目に入った時、仲間達がゲートの村の様子を見に行こうと言ってくれた。だが、その時ゲート達はギルドに借金があった。冒険者になった頃の借金は既に返済が終わっていたが、前回の送金時に十分な稼ぎを上げることが出来なかったので、ギルドから借りて付け足して送ったのだ。

 当然、手持ちの金も心許ない。

 ゲート達は村へ行く前に一仕事することに決めた。故郷へ帰る時は、立派になった姿で帰りたいという思いがあった。



 その日は最初からおかしかった。歩いても歩いても魔物が出てこない。

 冒険者の数も少なかった。熟練の冒険者のほとんどは、迷宮の異変を不気味に思って早々に引き揚げていたのだ。

 しかしゲート達は魔物を求めて進んだ。借金の利子は日増しに増えていく。なにより、早く村へと行きたかった。他の仲間達も、冒険者になって以来故郷には帰っていない。思うように進まない迷宮での生活から離れて、懐かしい農村の空気に触れたかったのだ。



 ゲート達は魔物を求めて奥へと進み、とうとう足を踏み入れたことのない深層まで到達する。

 そこで唐突に”そいつ”現れた。

 かつてゲートが為すすべもなく一蹴されたのと同じ魔物。冷たい水の色をした針のような体毛と、二股に避けた舌から猛毒を噴き出す怪物。強いて動物に当て嵌めるのなら虎に似ている。


 ゲートは再び地に伏した。

 ゲートの十年は、この魔物の前では何一つ意味を為さなかった。

 霞む視界で、仲間達が戦っているのが見えた。その動きにいつものキレはない。恐怖に浮き立ち、甲高い声で泣き喚きながら剣を振るっている。彼らが逃げ出さないのは勇敢だからではない。立ち位置が悪かったのだ。仲間達が逃げるには、魔物の横を通り抜けなければならなかった。


 ゲートは違った。ゲートは魔物の背後にいた。魔物は仲間達に気を取られている。

 アリが叫ぶ、ゲート、今だ、背後から突いてくれ。

 ゲートは既に負傷している。万全の状態でもまるで相手にならなかったのに、今のゲートになにが出来るというんだ。

 ニコがゲートを呼ぶ。狂ったように呼び続ける。

 ゲートは焦った。そんなに呼びかけられたら、魔物の注意がゲートに向いてしまう。ゲートは怪我をしている。何故、呼ぶ?

 薄暗い疑念が沸き起こる。まさか、それが狙いなのか? 怪我をしたゲートを囮にして、自分達は逃げようと―――

 魔物が動きを止めた。仲間達をじっと見つめて、そしてぴくりと耳を動かす。なにかを探すような動きだった。

 魔物の頭が動いた瞬間、ゲートは走り出していた。

 魔物と戦う仲間を置いて、背後で聞こえる悲鳴を置き去りにしてゲートは走った。



 魔物が追いかけてくることはなく、ゲートは生きて迷宮を出た。

 しばらくの間怯えながら宿で待ったが、仲間達が帰ってくることはなかった。

 ゲートは新たな仲間を探すことはしなかった。うだつの上がらないゲートと組んでくれる者がいるとは思えなかったし、なにより迷宮に近付くと足が竦んで動けなくなる。

 ゲートはもう、迷宮に潜れなくなっていた。


 ゲートは故郷に帰ることにした。

 ゲートのギルドからの借金は増えていた。組んでいた仲間が死んだ場合、ギルドからの借金は引き継がれる。

 ゲートはまだギルドに冒険者として籍を置いていた。

 冒険者であれば、ギルドから低い金利で金を借りることが出来る。冒険者でなくなったゲートはただの村人だ。とても返せない程に利子は跳ね上がるだろう。

 ゲートは自分と、宿にあった仲間の持ち物を売り払って金を工面した。これで当面の利子の支払いはしのげる。

 だから、村に帰ろう。



 村に帰ったゲートを迎えたのは、荒れ果てたライ麦畑と膨れ上がったヒキガエルのように増築された民家だった。

 冒険者は実入りがいい。村人達が一年働いて稼ぐよりも、ゲートが一月で送ってくる金の方が多かった。

 だから村人達は働くのをやめた。それは村人達にとって当たり前のことだった。強い者は弱い者を助ける為に、持てる者は持たざる者に与える為に。

 農作業などできないほどに肥え太った村人達は、身の周りの世話をさせる奴隷を持っていた。奴隷達はかつての村人達よりも痩せ細っていた。

 村人達は奴隷になにか余計に与えてやろうとは思わない。何故なら村人達は与えられるべき弱者であって、誰かに与える者ではない。


 迷宮に潜れなくなったゲートに、村での居場所はなかった。


 村に戻って二週間後、村人達が彼を売り払ったら幾らになるか奴隷商人に尋ねているのを目撃したゲートは、村中の家という家から金目のものをかき集め、村を出た。

 全て金に換えれば、ギルドからの借金はなんとか返すことが出来た。

 ゲートは証を返還し、冒険者を辞めた。



 ゲートが救うべき村など、もはや何処にもありはしなかった。

 いや、最初からそんなものは存在しなかったのだ。

 この世はクソで出来ている。

 かつてのゲートにはそれがわからなかった。

 この世はクソしかない。

 かつてのゲートは自分はクソじゃないと勘違いしていた。その果てがこれだ。


 だからゲートはクソまみれの世界に相応しく生きることにした。

 この世はクソだ。だからきっと、この世を作った神とやらはとんだクソッタレなのだろう。










 鼓膜を揺らし頭の中で騒ぎ立てる物音に、寝台で眠っていた彼は不快な表情を浮かべて眉を寄せた。寝返りを打って頭から埃臭い毛布を被り抵抗するが、一向に収まらない喧しさと毛布に潜んだ虱や蚤が蠢く不快さが彼を眠りの淵から強引に引き摺り出す。

 舌打ちをして彼は布団を蹴り上げ身体を起こした。

 不機嫌な顔で頭を掻き、周囲を見回す。


「クソ、頭が揺れてやがる。これだから悪ィ酒はいけねぇ……」


 三十そこそこの男である。ざんばら切りにされた黒髪、農民よりも日焼けの度合いは軽く、体格も逞しい。虚ろな茶褐色の瞳には、目に映る全てを馬鹿にしているような嘲笑の色がこびり付いている。顔の造り自体は醜くないが、纏わりつく下卑た気配が台無しにしていた。


 彼―――ゲートのいる一室は石灰で塗り固めた壁で囲まれている。骨組は木で出来た格子細工だ。ソロン達の家のような粘土よりも一段高価な造りである。

 部屋の中に置かれた寝台は頑丈な木で造られ、その上には羊毛が詰められたマットがしかれている。掛布団は厚みのある毛布。これもまた、農民には手の届かないものだった。この世界の下層階級のほとんどにとって、寝台とは藁にシーツを被せたものか、もしくは藁そのものである。


 ゲートはこの寝台を気に入っていた。寝心地も悪くないし、なにより一人で使えるのが良い。

 虱や蚤は気にしていない。頻繁に入浴などできるのは一握りの人間だけである。ほとんどの人間は産湯につかったきり、一度もお湯に浸ることなく生涯を終える。農村生まれのゲートにとって、身体に虫が湧いているのは取り立てて気にするようなことではなかった。

 部屋の隅には鍵がかけられた木箱。中央にはテーブルと椅子。

 ここはゲートの私室だった。


 ゲート達の根城は広くない。元々ここは農村のちんけな狩小屋だ。ゲートの見たところ、同じような村の中ではそこそこ裕福ではあったものの、それでも農村は農村でしかない。その狩小屋の造りは高が知れている。

 狭苦しい狩小屋を突貫で増築した為、五十人という大所帯のゲート達が暮らすにはとてもじゃないが広さが足りない。


 手下は二つの大部屋で床に雑魚寝。この私室は首領であるゲートがむさ苦しい部屋に詰めこまれた手下に恨めしそうな目で見られつつ分捕ったものである。

 元からあった地下室には奴隷達が閉じ込められている。売ってもいいし、ゲート達が使ってもいい。あくせく畑を耕すよりも余程儲かる仕事だった。

 五十人の大所帯だ。ソロン達の村から金を奪ったところで全員が納得するような配分は出来ない。ゲート達の本業は村から村へと渡り歩く人身売買だ。


 領主とは基本的に領民に無関心なものである。適度に村に人を残し、極わずかな例外の領主が治める領地を避けて通れば、ゲート達が罪に問われることはなかった。元冒険者という肩書があれば手下を集めるのに苦労はなかったし、冒険者や魔物に遭遇しないように気を付けてさえいればゲートに適う者はいなかった。

 コツさえ掴めば命を賭して魔物と殺し合うより余程儲かる。なにも冒険者として命を擦り減らすような生き方などしなくても構わないのだ。

 最後に村を出てからもう五年、これがゲートの選んだ生き方だった。


 そんな訳で、村から村へと渡り歩くゲート達の根城はいつものように雑な造りをした狭苦しい場所である。

 よって億劫そうに寝台から降りたゲートは扉も開けずに声を張り上げた。


「オイ! なにを騒いでやがる!」


 こうすれば手下に聞こえるのだ。

 案の定扉の外から聞こえてくる騒ぎ声がぴたりと止み、控え目な声が扉の外からかけられる。


「す、すいやせん兄貴! ちっと村に行った連中が帰って来ねぇで、おまけに道を見張ってた奴がおかしなことを言い出しやがりまして―――」

「兄貴ィ! ヤバい奴が村の、あのソロンとかいう奴と一緒にいて、それで―――」

「あァ!? どっから入り込んだってんだよ! アホなこと抜かしてねェでさっさと見張りに戻りやがれ!」


 ゲートは扉を開けて外に出た。部屋の扉のすぐ側に情けない顔をした手下が一人、確か今の時間は道を見張っている筈の奴だ。その横に手下が二人。一団の中では古株の連中だ。

 ゲートは古株の二人を手を振って下がらせる。


「で、俺の部屋の前で騒いでた理由を聞かせて貰おうか」


 二日酔いのゲートに不機嫌に促されて、手下は慌てて口を開いた。


「む、村の方から歩いてきた奴らを呼び止めたら、首を切られて、それでかかっていった連中も次々殺されて、あ、兄貴! 早くあいつをなんとかしてくれよォ!」

「へェ、襲撃してきたか。もう刃向かう気力なんざ失せたと思ったんだけどな」


 意外だった。


 家の長、一団の長、村の長、街の長、地域の長、国の長。

 人を束ねる者は総じて”恩寵”と呼ばれる力を得る。

 恩寵の在り方は人それぞれだが、一般的に魔力量が増し、魔術への適性が増し、或いは特別な魔術や資質を得ることもあるそうだ。尤もゲートやソロンのような、数十人の盗賊の首領や農村の村長が得る恩寵は精々が微弱な魔力の増幅くらいしか効果がない。


 恩寵について詳しいことは解明されていないが、束ねる人数が多い程、治める土地が広大な程より強い恩寵を得られるという。

 地位を退いた後も恩寵が失せるとは限らない。また、同じ地位を継いだとしても得る恩寵が同じとは限らない。


 謎の多い現象だった。世間では広く神の存在証明だと、世界を創造した神が人を最も愛している証拠だと、自身が創造した世界を人が支配することを望んでいる証だと言われている。

 ゲートにしてみればどうでもいい話であったが。

 ともかく、人を率いる者達がそれ以前よりも力を増すことは確かだった。


 容易く人を屠る魔物や獣が闊歩し、常に生存圏が脅かされているこの世界では、強さが絶対的な意味を持つ。

 村長であるからには村の中でも有数の有力者、それが恩寵を得たのなら他より頭一つ抜きん出る筈。微弱とはいえそもそもが魔力量の少ない農民、それが大きな違いとなる筈だった。

 実際にゲートがこの数か月観察したところ、あの村で最も強い者がソロンだ。次点でヤニという男。

 ヤニはもう戦えない。ソロンも昨日散々痛めつけた。

 戦力となる者をことごとく潰されて、まだ向かってくるとは。

 あの村人達にそんな気概があるとは思えなかったが、侮りだったか。


「お、女が、娘が一緒で、そいつが……!!」

「女ァ!?」

「妙な話でしょう、兄貴? 女ですよ、女。俺達に股を開きに来たってんならまだしも、女がなにするってんでしょうねェ。―――オイ、見張りさぼって呑んだくれてたんじゃねぇだろうな!?」


 身体能力の強化、魔術による攻撃、防御魔術など、およそ戦闘に関するあらゆる適性を持って生まれるのが男。

 女は怪我の回復や植物の成長の促進、金属の錬成などに適性を持つ。

 故に女は戦えない。

 戦ったとしても男に敵うことはない。戦いとは男のものである。

 それがこの世界の理だった。


「ち、違います!! 本当にまずいんですって! ビロンの奴が殺されて、首、首を切られて―――」

「まだ言うか!」

「まあ待て。女ってのはどういう奴だったんだ? 言ってみろ」

「は、はい。見慣れねぇ見てくれの女でして、妙に小奇麗な―――そうだ、貴族! どっか遠くの貴族の女なんじゃねぇかと!」


 古参の男達の胡散臭そうな顔が更に渋みを増す。手下の言っていることは突拍子もないことであったが、言い募る手下の妙に動転している姿が不気味だった。手下は今にも倒れそうな顔色をしてゲートに縋り付かんばかりだ。


「貴族って、おめぇ―――貴族がなんだってこんなとこにいるんだよ!? 大体村に入る道は封鎖してんだろうが。村の外から来たのか? おめぇ、さっき村の方から歩いてきたって言ってたじゃねぇか! 兄貴に妙なこと言ってんじゃねェ!」

「ち、違いますって―――」


 ゲートは古参に叱責されて半泣きになっている手下を見やる。涙と鼻水でぐちゃぐちゃになった情けない顔だ。心底怯えているように見える。この後に及んで嘘をついているとも思えない。なにより―――


「……有り得なくはねぇな」

「兄貴!?」

「あ、兄貴!」

「貴族の娘が一人でふらついてるってぇのは確かに妙な話だが、推測できねぇ訳じゃねぇ。大方サルヴァトル教かぶれの小娘が家出でもしてきたんじゃねェか? その娘、村の連中と一緒に向かってきてんだろ?」

「は、はい。あの、ソロンって奴と一緒に―――あ、け、怪我! そういえばあいつ、あのソロン! 痛めつけてやったのがまるでなかったことみてぇに―――」

「治ってた、か。決まりだな。そいつは貴族の娘だ。俺達の目を掻い潜って村に入り込んだのもそれなら不思議じゃない。なんらかの魔術か、魔道具を使いでもしたんだろうよ」


 才能は遺伝する。貴族や王族といった連中は生まれながらに平民とは違う存在だ。

 全身の火傷、腕は二本ともへし折った、足も片方潰した―――覚えているものだけでも、ソロンの手傷はこれだけあった筈。それをこの短期間で完全に治癒し、戦えるようになるまで回復させた。そして本人も寝込むこともなくこちらへ向かってきている。

 間違いない、その女は平民ではない。


「き、貴族って―――」

「まずいでしょう、兄貴。貴族の娘なんぞに手を出したらどんな仕返しされるか―――」

「いや、でもよ―――もし捕まえられたら……」

「馬鹿言ってんじゃねェよ!! その馬鹿娘の家の連中に地の果てまで追いかけられるに決まってる!!」

「俺達ァその馬鹿娘に目を付けられてるんだぜ!? ここで逃げたって―――」

「ま、サルヴァトル教かぶれの貴族の小娘ならそうなるかもなァ。”正義”とやらを実行するためにそりゃあもう色々やって下さるだろうよ。有り余る金を湯水のように使ってな」


 この世界の下流階級層の者は、上流階級の者に対して強い畏怖を抱いている。憎悪や嫉妬も当然存在するが、それ以上に自分達が理解できない力を持つ者への恐れが大きい。

 上流階級は、下流階級の者にとってまさに理解の範疇を超えた人外である。


「ど、どうしたら―――そ、そうだ! 殺しちまえば―――」

「殺せるのかよ!? 貴族だぞ!?」

「貴族ったって生き物に変わりはねぇ!! 首切って、心臓抉って、あと、あと胴体をバラして燃やしちまえばなんとかなりやせんか、ね……?」

「そんなことしてそいつの家にバレた日にゃ―――」


 ゲートは壁を殴りつけた。雑な造りの小屋全体が揺れて天井から埃や蜘蛛がぱらぱらと降ってくる。情けない喚き声を上げていた手下共が静まり返ってゲートを見る。


「―――女みてぇな声を出すんじゃねぇよ。馬鹿共が」

「し、しかし兄貴―――」

「そいつは一人だったんだろ? 周りにいるのは村人だけ―――違うか?」

「は、はい。あのソロンって奴だけで、他にはいやせんでした」

「なら決まりだ。貴族の女が一人で出歩くなんてこたァ普通有り得ねぇ。有り得ねぇならそいつは普通じゃねぇ状況にあるってことだ。家出かなんだか知らねぇが、その女の家は女がここにいることを知らねぇ可能性が高い。知ってんなら早々に連れ戻してる筈だ。知ってて放置してんなら、女の家は女を見捨ててるってことだ。なら俺達にゃなんの問題もねェよ」


 手下共が顔を見合わせる。古参二人の顔に徐々に理解の色が浮かんだ。


「なるほど、殺しちまう分には構わねぇってことですかい」

「売っぱらえないのは残念だが……ああ、ちくしょう! 貴族の女だぜ!? そいつが使える魔術だけ考えても目玉が飛び出るくらいの価値があるってのによう!」

「仕方ねぇだろ、生かしておいたら余計な足がつくかもしれねぇ。それに何時家の人間が襲ってくるかわからねぇ貴族の女なんぞ、誰が買い取るってんだよ。そりゃあ叶うことならって思ってる奴は腐るほどいるだろうけどよ」

「だよなぁ……」

「あの……どういうことなんです?」


 古参二人の会話におずおずと割り込んできた手下の顔には疑問符が浮かんでいる。こいつは頭の回転があまりよくない。


「だからよ……ああもう! 貴族の女は殺せってことだよ!! ですよね、兄貴!?」

「おう。生かしておいて様子を見るには危険が大き過ぎる。ぶっ殺せ。貴族とかいう化け物が生き返ってこないよう念入りにな」


 殺したからといって安全になるとは限らないがな、と思いつつもゲートは手下共に嘯いた。

 ゲートの使う魔術はギルドから教わったものだ。碌に魔術の訓練など受けたことのない平民上がりは、迷宮に入る前にギルドで基本的な戦闘の訓練を受ける。

 だがゲートがギルドで得たのは極々基本的な魔術に過ぎない。冒険者になる際に全ての者が教わる魔術と、駆け出しに許されるわずかな魔術のみ。


 聞くところによると、貴族や王族といった連中はそれぞれ魔術を研究する機関を持っているらしい。家に伝わる独自の魔術もあるとか。

 今から殺す貴族の女の家の連中がどんな魔術を使うのか、女が殺された後でもゲート達を突きとめることができるのか、ゲートには正直なところわからない。

 だが逃げたところですぐに足がつく。手下共はともかくゲートは一時冒険者だったこともある。すぐに身元は知れるだろう。

 だからゲートは貴族を殺すという興奮と、そして貴族に対する恐れと不安の入り混じった顔をした手下共に指示を飛ばす。


「てめぇら! 残ってる見張りの連中を呼び戻せ!! 世間知らずの貴族の娘と身の程知らずな村長をぶっ殺すぞ!! 終わった後はこの村の連中を皆殺しだ。一人も残すな、俺らを知る奴は全員殺せ!! その後はこのシケた村からもおさらばだ!!」

「オウ!!」

「殺せ、殺せええぇ!!」

「貴族をぶっ殺すぞ!!」


 手下共が歓声を上げて廊下を走る。彼らが他の連中が屯する大部屋でがなり立てるのを背に、ゲートは自室へ足を向けた。


「―――貴族………ね」




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