パーティーメンバー決定
「ねえ、クレイン。メンバーはこれで全員なの?」
ミズガルドがクレインに聞いた。
「はい、この5人で行こうと思います。」
「そう、カルディナ、あんた大丈夫なの?」
「へ?」
「もう一回、メンバー見てみたら?」
「えっと、魔僧剣と、新人の先生か・・・。」
ようやくカルディナは気が付いた、盾役が一人しか居ないと。
「む、むむむむ、無理っ!」
「どうかしました?カルディナ。」
クレインがカルディナに聞いた。
「盾役、私一人しか居ないじゃないっ!」
「初心者用クエストですよ?」
「ミミズ舐めすぎなのよっ!」
「ベルさんなら、一人で平気ですよ?」
「誰と比べてんのよ、誰と・・・。」
「聖騎士団から、誰か呼んだらどうなの?」
ミズガルドが、カルディナに提案した。
「そうするわ。」
カルディナは、個人トークで、ギルバルトに話しかけた。
「ミミズ狩り行くんだけど、盾役一人よこしてくれない。」
「・・・。」
唐突な個人トークはいつもの事だった。
今のギルバルトにとっては、ルビアからの個人トークと比べたら、
百倍もマシだった。
「他のメンバーは揃ってるのか?」
「新人入れて5人揃ってるわ。」
「わかった。」
「一人よこしてくれるみたいよ。」
「ベル様来るかな?」
ミズガルドが期待して聞いた。
「居ないわよ。ベルニウム補充し隊で、出てるから。」
「何よ。それ?」
「女子団員が、ベルニウムが足りないって言い出して、始まったのよ。」
「ちょっ、私もベルニウム足りないんだけど?」
ミズガルドが言った。
「あのねえ、私だって2回に1回しか回ってこないんだからね。」
「回ってくるだけいいじゃない。本当ベル様って、女性には甘々なんだから。」
「お待たせした。」
ギルバルト自ら出向いてきた。
「なんで、団長自ら来るのよ・・・。」
カルディナが呆れて言った。
「単なる気分転換だ。」
ギルドルームに居れば、遠慮なしに個人トークが入ってくる。
さすがに外に出てれば、緊急以外で入ってくることはない。
「すまないな。ギルバルト。うちの副GMが迷惑かけてるようで。」
ビショップがゲッソリしているギルバルトに謝った。
「いや、俺のは自分が蒔いた種だ。覚悟はしてた。それよりもそっちこそ、
大丈夫か?無理に協力させてしまって。」
「いや、俺の方は大丈夫だ。それに無理にじゃないから、気にしないでくれ。」
「何、男同士で語り合ってんのよ。気持ち悪いっ!」
一番の当事者であるカルディナが突っ込んだ。
「「・・・。」」
「おばあ様、こちらは、カルディナが所属してるギルドのGMさんです。」
「あらら、それはそれは。カルディナさんがいつも迷惑かけて申し訳ありません。
グランマと言います。」
「ギルバルトと言います。宜しくお願いします。グランマさんは、カルディナと
お知り合いで?」
「私の祖母です。カルディナの薙刀の師でもあります。」
「ク、クレインのお祖母さん・・・。」
ギルバルトは、今までにも自称50代とかいう輩とは出会った事はあるが、
さすがに、お祖母さんと呼ばれる年代には会ったことがなかった。
「あ、あのどうしてゲームなんかを?」
「いえね。クレインに対戦の練習相手になってくれってせがまれまして。」
「な、なるほど。やはり、スキルとかあった方がいいですよね。」
ギルバルトは、スキル取りの為のレベル上げだと自己解釈した。
「いえ、スキルは、どういうのがあるのかよく判りませんし、とりあえずは、
この武器を使いたくて。」
そう言って、グランマはR3の薙刀をギルバルトに見せた。
「R3の薙刀ですか。初めて見ました。」
ギルバルトにしても薙刀を見る機会は、殆どない。
NPC売りされてるのを見る位だ。
それがPC製品となると、レアすぎるにもほどがある。
【薙刀なんて作ってる奴が居たのか・・・。しかし、これだけの物があれば
使いたくなるのはわかる。】
「このメンバーなら、難なくミミズを狩れるでしょう。」
ギルバルトは、周りを見渡しながら言った。
「しかし、わざわざミズガルドがおでましとは・・・。」
「それは、こっちのセリフでしょ?わざわざ、あんたが来るなんて、
聖騎士団って暇なの?」
「まあ、はっきり言って暇だ。」
ギルバルトは、ぶっちゃけた。
「うちもね。暇なのよ。」
現状、未解決のクエストは一つも存在していない。
(開いてない門が一つだけ・・・。)
レベルは55がマックスとなっていて、クレイン以外は、全員が55で頭うちの
状態だった。




