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被害者の会

「今日集まって、貰ったのは他でもない。

 この馬鹿について議論をしようと思う。」

そう言って、ベルラインは、椅子に括られたカルディナを指

さした。

聖騎士団で初の女子会を開催するとの知らせを受け、のこのこと

一番乗りでやってきたカルディナは、速攻でお縄になってしまった。

「酷いじゃないですかあ。」

「貴様は、黙ってろ。今回は男性陣には遠慮してもらってるので、

 我々、女性団員だけだ。思う存分議論してくれ。」

「あの、私が、まだギルドに所属して間もないころなんですけど、

 カルディナさんは親身になってくれて。」

「そうですよ、私がこんな目に合うのが間違ってます。」

縄に縛られたカルディナが抗議する。

「でも・・・密着というかボディタッチが酷いんです・・・。」

「・・・。」

押し黙るカルディナ。

「私もプライベートナンバー教えてとか、メルアド教えてとか

 しつこくて・・・。」

「・・・。」

「私、思うんですけど。カルディナさん誰かに似てるなあって、

 考えてたんですけど・・・。会社のセクハラ上司に似てるんです。」

「それは、私も思った。」

「中身が剥げおやじと変わりません。」

「そうそう。」

次々と相槌があちこちで起こった。

「酷いっ!いたいけな女性に、剥げおやじなんて・・・。」

どうにか抗議するカルディナ。

「中身は、セクハラ親父となんら変わらんな。」

「べ、ベル様まで・・・。」

「皆が苦痛に思ってるようだったら、何らかの対策をこうじようと

 思ってるのだが?」

「ベルさん、それには及びません。」

「そうですね。」

団員たちが頷く。

「会社のセクハラ親父と思えば、私達慣れっこなんで、今後は各自で

 対応できます。」

「そうよねえ。カルディナさんはベルさんに次ぐ古株だったから、

 ちょっと遠慮してたんだけど・・・。」

「セクハラ親父と思えばw」


「ぐがああああ。あんなに親切にしてあげたのに、皆酷いっ!」


「手握る位なら許せるけど、私、胸触られたことあるし。」

「油断してたら、キスしようとしてくるよ。」


「おいっ・・・。」

ジト目で、ベルラインは、カルディナの方を見た。


「・・・。」

何も言えず、黙ってるしかないカルディナ。


「とりあえず皆、プライベートナンバーやメルアド等は、教えない事。」

「「「はいっ」」」


「これは、黒き戦士たちのカザミから、受けた忠告なんだが、彼女は、

 カルディナのリアル先輩らしい。以前、家にカルディナを泊めた時、

 寝てるカザミにキスをしてきたそうだ。」

「最低っ!」

「外道ですね。」

「あぶなっ。私もう少しでメルアド教える所だった。」

「しかも舌を入れてきたらしい。」

全員が、口元を手で押さえ、気持ち悪い顔をした。

「さ、さすが、百合姫・・・。」

「本当に腐ってますね・・・。」


「酷いっ!私ばっかり!腐ってるのだったら、もう一人いるでしょっ!」

カルディナが抗議の声をようやくあげた。


「別に腐女姫は、私たちに実害ないし。」

「そうそう。あっちは正当な腐り方だもんね。」

「むしろ王道だし。」


「くっ・・・。」


「じゃあ、いいな。カルディナは、セクハラ親父対応をするという事で。」

「「「はーい。」」」

結論が出た。


「ちょっといいですか?」

一人の女子団員が、手をあげた。

「構わんぞ。」

「百合姫の事じゃないんですが・・・。」

「なんだ?」

「最近、ベルさんが一部団員や、他のギルドの人間を贔屓してるんじゃ

 かいかと・・・。」

雲行きが変わってきた。

「えっ・・・。」


「そういや私、ベルさんと最近出かけた事ない。」

「私も。」

「私もっ!」

「ベルニウムが大幅に不足してますっ!」


「ベルニウムって・・・。」


「私もベルニウムが足りないなあ~。」

にや~っと笑うカルディナ。


「ま、待て皆。ここにいる団員の殆どは、もう中級者以上だろ?

 私が同行する必要などないと思うが?」


「私たちは、一緒するだけでいいんですっ!」

「そうですっ!」

「こういう女子会も定期的に開いてほしいです。」

「そうよねえ。教会なんかいつも楽しそうだし。」


「わ、わかった・・・。同行については、ローテーションを考えておこう。

 女子会については、私の独断で決めるわけにはいかないので、

 定例会議の議題に上げておく。」

「「「よろしくおねがいしまーす。」」」


「ベル様も大変ですねえ~w」

椅子に縛られたまま、ニヤニヤ笑うカルディナ。


「貴様の名前は同行者リストから外しておこう。」

「ひ、酷いっ・・・。」

カルディナにとっては、死刑宣告のようなものだった。

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