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ああ無情、父親なんてそんなもん

「それにしても千鶴ちゃん、よく俺の事わかったね?」

「あんな挨拶する人、他に知りませんっ。」

「そうかなあ・・・。」

「それより、おばあ様。稽古をつけてください。」

「サークルは、どうしたの?」

「今日は、何故か男子部員が全員休みです。」

【逃げたんだろうなあ。】

時野は、なんとなくそう思った。

「薙刀の私と稽古しても、剣道の練習にはならないでしょう?」

「い、色々あるんです。」

「実は、先日、ゲームの大会で負けまして。」

時野が事細かに千勢に説明した。

「あら、まあそれで最近荒れてるのね。」

「荒れてません。」

「でも時野さんと会えてよかったわ。今日の千鶴は機嫌がいいもの。」

「全然、よくないですっ!」

「いやあ。」

何故か照れる時野。

「なんなら、仙人!稽古つけてあげてもいいですよ。」

怒りの形相で、時野に竹刀を向けた。

「い、いやその、俺、そういうのまったく駄目だから・・・。」

「なさけないっ。」

「あら、いいじゃないの?千鶴は、自分より強い男性が好みなの?」

「最低でも自分より強い人がいいでしょ。」

「じゃあ、カラット紹介しようか?」

「むっ!」

カラットの名前を出すと余計に機嫌が悪くなった。


「そのカラットさんていうのが、千鶴が負けた相手なの?」

「ええ。パソコンがあれば対戦見れますよ?」

公式戦の決勝は、Webにアップされる。

もちろん、火柱が上がった時点で、動画は終わってるが。

「興味あるわね。見てみましょ。」

「・・・。」


そうして3人で決勝戦を見ることになった。

「カラットさんは空手を?」

「わかりますか?」

「動きを見ればね。それにしても千鶴、あなたゲームでは突けるのね?」

「・・・。」

「コンパクトでいい突きだけど、突きに頼り過ぎよ。」

「・・・。」

「あら、カラットさんの動きが?」

カラットがステップを踏み始めた画面になった。

「何かするみたいね。」

「凄いですね、初めて見たのに。」

「さっきまで、避けてた突きがかすってるでしょ。何かしてるのねきっと。」

そうして、火柱が上がり、動画は終わった。

「千鶴は、動きを最小限にする為に、あの場に留まったのね。」

「そ、そうです。」

「何かしてくるとは思わなかったの?」

「お、思いませんでした。」

「千鶴の悪い癖はね、相手を過小評価する事よ。」

「前に過大評価するなと、おじい様に教わりました。」

「もちろん過大評価もよくないわ。適正に相手を見極めないとね。」

「で、でも・・・。」

「相手の動きが落ちたのをどう思ったの?」

「疲れか焦りかと・・・。」

「時野さん、このゲームには疲れなんてあるの?」

「ないですね。ちなみに焦るような男じゃないです。」

「で、でも、あんな魔法ずるいです。」

「ずるい?ルールで認められてるんでしょ?」

「・・・。」

「今のままじゃあ、この人には勝てないわね。」

「だ、だからもっと稽古して。」

「千鶴の向上心だけは認めますけどね。

 時野さん先ほどの戦いを見て思ったのだけど、スピードの個人差は

 どうなってるの?」

「全員共通ですね。装備で変わるくらいです。」

「なるほど。カラットさんの方が速かったのは装備の差ということね。」

「そうです。あいつは、魔拳士って職業で、鎧とか着れないみたいなんで。」

「わ、私も軽い装備にすれば?」

「スピードだけの問題では、ありませんよ。相手の方が1枚も2枚も上手と

 いうことです。」

「むっ・・・。」

千鶴は納得していなかった。カラットに負けたのは、フィギア魔法を知らな

かったせいだと今でも思っている。

「いいでしょ。私もVFGXを始めましょう。」

「お、おばあ様。」

千鶴は喜んだ。

「千勢さん、結構な値段しますよ?」

「本体とソフトは、もう、うちにありますから。」

「へ?」

「千鶴がね、どうしても私にやらせたくて、直樹に買わせたんですよ。

 直樹っていうのはね、私の息子で千鶴の父親なんですけどね。」

「千鶴ちゃんのお父さんって、高給取りなんだねえ。」

「最近、毎日仕事終わって直ぐ帰ってくるって、お母さんが喜んでました。」

【きっと、小遣いなくなったんだろうな・・・】

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