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PV作成

PV作成をする場合、ネタが少なすぎても困るが、多すぎても

困りもんである。

しかもデュエル大会のPVな為、それ以外のネタが豊富すぎて、

PV作成班は、頭を悩ませてた。

「どんなPVを作ってくれるのかしら?」

しかも、チーフの余計なプレッシャーまでかかってくる始末。

「次のデュエル大会まで、時間もあるし、今日はお開きにしたら、

 どうかね?」

開発室長が提案した。

チーフは時計を見て、舌打ちした。

「みんな、急いで帰るわよ。深夜手当は出ないんだからね。」

いい時代には、22時を過ぎたら、悪い時代でも24時を過ぎたら、

深夜手当がついていた。

今では、深夜手当もつかず、24時以降は帰宅しなくては、

ならない決まりになっていた。


次の日も、朝からPV班は、PV作成にいそしんでいた。

全員が自宅にかえり、プロットを作成してきたという勤勉さである。

打ち合わせにより、大元のプロットは纏まり、作成にとりかかった。


15時からの試写には、間に合うことが出来た。

たった3分のPVだが、出来はかなりいいものとなった。

だが、PV班には一つの不安があった。

猫耳チーフの出番が少ない事・・・。

作成時には、運営の仕事があったらしく、一切、口を出してこなかったが、

試写を見たら、ダメ出しされそうな予感がしていた。


「私の出番が30秒なかったら、即やり直しさせてやるわっ!」

颯爽と意気込んで、試写へと向かうチーフ。


不安渦巻く試写会が開始された。


一人の天使が舞い降りた。

そのフレーズと共にローラが登場する。

もちろん、キャラ名等は、表示されていない。

40秒近く使われる登場シーン。


戦う戦士たち。

大会に参加した面々の戦闘シーンが流れる。

一応開始時に、猫耳チーフが、申し訳なさそうに写っていた。

戦闘のメインは、決勝戦が多く使われていた。


突如現れる謎の男。

釣り仙人が颯爽と登場し、クレインを攫って行くシーンが流れた。


会場では、筋書きのないドラマが常に待ち受けている。

そう括って、PVはしめられた。


【即、却下だわ】

チーフは、内心で決めていた。

まずは、お偉いさんたちの評価からだが、上の人間なんて、何もわからず

可もなく、不可もない評価がされるのが日常だ。

チーフが却下すれば簡単に却下されるのは目に見えている。

が、何故か、普段参加しない人間が参加していた。


「いいじゃないか。色々楽しそうで、これでいこう。」

副社長が鶴の一声を放った。

「ですよね。私もいいと思います。」

太鼓持ちの取締役が言った。

「これでいいじゃないか。」

第2事業部長のゴーまで出た。


「・・・。」

もはや、チーフごときでは覆されるものではなくなってしまった。


「てっきり却下するもんだと思ったよ?」

運営のメインルームで開発室長が言った。

開発室長も試写会には参加していた。

「あの状況で、どうやって私が?」

チーフが苛立つように言った。

「しかし、副社長が出席してるなんてねえ。」

「想定外だわ・・・。」

チーフが爪を噛みながら言った。

そして、PV班をひと睨みした。

怯えて下を向くPV班の面々。

「まあまあ、彼らも悪気があったわけじゃあないし、ね?」

「時野の奴はいつ来るのかしら?」

チーフは、いちモニターに当たる気満々だった。

「ら、来週です。」

運営の一人が答えた。

「そう。ふふふ・・・楽しみだわ・・・。」

魔女の様な笑みを浮かべながら、チーフは言った。

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