表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
45/183

釣りデート

「ローラさん、随分とご機嫌ですね?」

ヨサクがローラに聞いた。

ここは、港町の釣り場。

聖騎士団と野武士の面々も釣りをした場所だ。

今日は、タイマーがカラットに頼まれてセッティングした

釣りデートの日。


「わかります?」

「え、ええ。」

「実は、これ貰っちゃったんですよ。」

そう言って、ローラはアイテムボックスから

ブラッククリスタルロッドを取り出して、ヨサクに見せた。

「ああ、問題のロッドですね。」

「問題になってるんですか?」

「アップライスって釣具屋のサイトに公表されたんですが。

 結構騒ぎになってます。」

「あらら・・・。」

「でも、ローラさんが喜んでくれて嬉しいです。

 そのロッドの材料は、俺と友人が集めたものでして。」

ヨサクはそう言って、頭をかいた。

「堅松樹とライトカーボンメタルが使われてるんですよね。」

「ええ、最前線の武器を凌駕してます。」

「それは、騒ぎになるかも・・・。」

そう言いながらも、ローラは更にご機嫌だった。

「使わないんですか?」

「ええ、川専用に使うといいって、教えてもらいました。」

「なるほど。」

「ようやく川の4層が掴めてきた所なんで、私もこのロッドに

 見合うように頑張らないと。」

「今日は、川でもよかったのに?」

「いえいえ、釣りを楽しんでもらうなら海です。」

「そうなんですか?」

「普通に、川で釣ったんじゃあ鯉とフナしか釣れませんから。」

「自分は・・・。」

ローラと一緒なら何処でもいいと言おうとしたが、恥ずかしくて

言えなかった。

「このゲームの釣りって本当に楽しいんですよ。」

「結構はまってる人いますよね。」

「ええ。」

「ローラさんは釣りのVRゲームとかは?」

「釣りが目的になっちゃうと、ギスギスしちゃうんで、私はやらないん

 ですよ。」

「場所取りとか?」

「ですね。その点、VFGXなら伸び伸びと楽しめるんで。」

「なるほど。」

「でもまあ、私も結構このゲームやってるんですが、最初の川で全部

 釣れるなんて、思ってもなかったです。」

「普通、そうですよね。」

二人は、話をしながら釣りを続けた。

ローラから借りた釣り道具で、釣っているヨサクは、今現在が、

至高の一時だった。

【我がゲームライフに、一片の悔い無し】

昇天してしまいそうな勢いだった。



至高の一時を楽しんだヨサクは、夜になってゲンとあった。

「しまらねえ顔しやがって。」

ゲンが言った。

「う、うるせえ。今日は最高の一日なんだよ。」

「ローラさんは、ブラッククリスタルロッド持ってたか?」

「ああ、めちゃくちゃ喜んでたぜ。」

「そりゃそうだろうな。」

「ライトカーボンメタル錬鋼5本だっけ?」

「ああ。」

「まあ、俺はローラさんが喜んでるから、それでいいんだがよ。」

「気楽なもんだな。こっちは組合から素材の問い合わせが、

 来まくってるっていうのに。」

ゲンが、疲れたように言った。

「今までだって、無視してたろ?」

「まあな。全部無視も出来ねえから、少しは組合に卸すつもりだ。」

「護衛が必要なら、まかせとけ。」

「あほ、カラットに直接頼むわいっ。

 まあデュエル大会前だからな、終わってから少しずつ掘らあな。」

「そっか、いよいよ大会か。」

「まあ大会で、少しは収まってくれりゃあいいがな。」

「どうかなあ?限定戦って盛り上がりにかけてるからな。」

ヨサクが言うように、デュエル大会の限定戦は、盛り上がりに欠けている。

というのも、元GMゲームマスターのマルスが出ないからだ。

完全にカラットの一人舞台になっていて、対抗馬が居ないのが現状だった。

「俺は応援に行けないが、ヨサクは行くのか?」

「いや、俺も時間的に無理だ。」

「とりあえず、頑張れってメールだけしとくか。」

「そうだな。俺たちが応援しなくても優勝すると思うがな。」

「だな。」

二人は、カラットの優勝を信じて疑わなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ