ゲーム過去編「女子会2」
「うちの男たちって、女性に対してガサツ過ぎない?」
ここは、眠れぬ教会のギルドルーム。
黒き戦士たちのカザミが、言った。
「そうですか?紳士な方ばかりで、皆に好評ですよ?」
眠れぬ教会の副GMの一人が言った。
副GMと言っても、現在はGM一人と副GM五人の6名のギルメンしか
居ない。
「ということは、私たちギルメンにガサツって事か。」
「しょうがないでしょ?私たち昔は男キャラだったし。」
そう答えたのは、黒き戦士たちのアスナだった。
「お二人とも男キャラでやってたんですの?」
サーラントが聞いた。
「まあねえ。昔のオンラインゲームってさ、男が女キャラやるのも
多かったけど、女性が男キャラってのも多かったのよ。」
「そういうものですの?」
「まあ、VR機と違って、平気で性別偽れるからねえ。」
「そうそう、女キャラ同士で仲良くなって、片方がリアル女性って
わかるとストーカーとか、なったりしてね。」
「ああ、あるねえそういうの。」
「???」
サーラントには、さっぱりわからなかった。
「ゲームキャラに惚れるんですの?」
「みたいよ?」
「サーラちゃんもない?あの人のリアルは、どんな人だろうって、
気になる人?」
ふと、サーラントは考えて、一瞬ベルラインの事が思い浮かんだ。
「い、いえ。特には・・・。」
「私も、前のゲームではストーキングされた事があります。」
ルビアが言った。
「ル、ルビアさんも?」
サーラントは、心配そうに聞いた。
「無課金のゲームだったんで、直ぐに辞めちゃいました。」
「それが正解よ。下手に関わると碌なことないからね。」
「そうですよね。」
「教会で気を付けた方がいいのは、サーラちゃんかなあ?」
「そうですね。でも大丈夫です。サーラさんは、私たちが守ります。」
5人の副GMが強く頷いた。
「な・・・。」
サーラントとしては、むしろ自分が守る立場でありたかった。
「でもまあ、このゲームは運営のトップが女性だから、そういった面は、
安心かもねえ。」
「運営のトップって女性なんですか?」
ルビアが聞いた。
「βの時にゲームマスター参加のイベントが何度かあってね。
チーフって女性が、そういう輩は即排除するって、物凄い剣幕で
言ってたわ。」
アスナが答えた。
「ああ、あれねえ。男性陣は、みんな引いてたよね。」
「へえ、βって運営の人も居たんですね。」
「今も居るけどね。」
「ああ、あの人ね・・・。」
「えっ、運営の人が居るんですか?」
「運営の人というか、元ゲームマスターの一人かな。」
「そんな人が?」
「サーラちゃんの方が詳しいんじゃない?」
「へ?そんな人がおりますの?」
「ありゃ?サーラちゃんってカンピオーネと知り合いなんじゃ?」
「カラットさんですか?冒険仲間ではありますが、ゲームマスターでは、
なかったですよ?」
「カンピオーネって呼ばれるようになった理由は知ってるよね?」
「ええ、デュエル大会で何度か優勝したからでは?。」
「βの時にね、デュエル大会の優勝者とゲームマスターが戦う余興が
あったのよ。」
「もしかして、カラットさんが圧勝したとか?」
「そうそう。私たち、ちょうど見に行ってたからねえ。」
カザミが言った。
「ゲームマスターが、正式始まったら、絶対リベンジしてやるって
涙目になってたよね・・・。」
アスナが言った。
「正式版始まって、デュエル大会ってありましたっけ?」
「2回あったかな。」
「2回ともカラットさんが優勝したと聞いてますの。」
「そうだね。」
「ゲームマスターの人は?」
ルビアが聞いた。
「無冠の帝王って聞いたことない?」
「ああ、あります。マルスって人でしたっけ?」
「そう。β時代は闘神だっけ?(笑)」
「カザミ、笑っちゃ悪いでしょ?w」
「アスナだって、笑ってるじゃん。」
「カラットさんは別格ですの。私、冒険仲間ですが、補助魔法どころか、
回復魔法すら掛けれた事がないんですの・・・。」
「えっ・・・。βのドラゴンの時は?」
「勝手に回復してましたわ。」
「全方位のブレスなかったっけ?」
「どうやら、死角があるようで、死角に入ってポーション飲んでました。
私は、後衛ですんで、行動が全部見えてましたの。」
「すごいなあ。私、3回挑んで3死してるんだけど・・・。」
アタッカーのアスナが言った。
「私たちも、カラットさんとご一緒することがありますが、サーラさんから
無視しといていいって言われてるので、無視してます・・・。」
ルビアが言った。
「ガルフがあれは、別格って言ってたくらいだからね。」
「このゲームは、プレイヤースキルの比率が高いからねえ。」
「そうなんですよ。私たちもサーラさんに追いつこうと日々頑張ってます。」
「僧侶も大変よね。うちのボルヴィスなんて、βで即ジョブチェンジ
だから。」
「えっ、ボルヴィスさんって、僧侶やってたんですか?」
「10年、回復やっといて、無理だからね。」
「アイツさ、女キャラだったしね。」
カザミが言う。
「そうそう、今思うと笑えるよね。」
おっさんくさいボルヴィスの女性キャラがイメージできず、
教会の面々も、可笑しくて笑ってしまった。




