生産職とは
VR機の生産職は、辛い。
何せ、バーチャルリアリティだけあって、放置というものが存在しない。
木こりであれば、木を伐採し、坑夫であれば、掘らなければならない。
いい加減にやれば、歪な木材や歪な鉱石になってしまい、
武器や防具に使うことができない。安物素材としてNPC売りするしかないのだ。
リアルで林業や鉱業に従事してる人からすれば、なんでゲームまでそんな事しなきゃならんのよと人気は低い。
バーチャルリアリティのゲームで、メーカーもユーザーも頭を悩ますのが第一次産業だ。
多くのゲームでは、NPCから購入する方法をとっているが、
バーチャルファンタジーGXでは、よりリアルに追及してしまった。
釣りからして、無意味なところに懲りすぎた感がある。
そんな、不評の生産職でも、木こりはまだ居る方だ。
古の昔に木こりのゲームが大ブームになった時代の名残なのだろうか?
(本来は、木を伐採するゲームなのだが、いつしか猪を狩るゲームと化してしまったゲームである。)
炭鉱夫に至っては、壊滅的だ。
暗い洞窟で、黙々と作業するのは、耐えれないと辞めていくものも多い。
古の昔、炭鉱夫のゲームがあり、人々の遺伝子に嫌な記憶を残してる影響があるのかもしれない。
(本来はモンスターを狩るゲームなのだが、炭鉱夫してる時間の方が長いという伝説のゲームが、その昔、存在していた。)
「よう、カンピオーネこっちだ。」
「ヨサクさん、僕の名前は、カラットです。」
陰鬱な森の前で、ヨサクとカラットは待ち合わせをしていた。
「こいつがゲンだ。坑夫の中じゃあNO.1だな。」
「勝手にお前が言ってるだけだろ。
俺はゲン、あんたがチャンピオンの中のチャンピオン、カラットさんだな。
噂はかねがね聞いているぜ。」
「カラットでいいですよ、ゲンさん。今日は無理言ってすみません。」
「気にするな。ヨサクの友人の頼みなら、おやすいもんさ。」
「じゃあいいか、二人とも各自ソロで、陰鬱な森を抜ける。
で、速い敵はカンピオーネが始末するって事でいいな。」
「任してください。」
このバーチャルファンタジーGXは、6人PTのゲームである。
戦闘はシンボルエンカウント制になっている。
シンボルと接触すると、バトルフィールドの範囲が設定される。
円状の範囲になっており、線外に出ると逃げが成功となる。
一度逃げたシンボルが、再び追いかけてくることはない。
ただ、蜂系の素早い敵は、逃げる時に一撃食らってしまう。
で、無防備で攻撃を受けた場合は、高確率で痺れが発生する。
その為、蜂系が多い陰鬱な森は、多くの死者を量産している。
カラットたちが、各自ソロで、抜けようとしてるのは、
シンボルエンカウントの敵の数が関係している。
ソロでエンカウントした場合は、敵の数が1~2匹。
二人だと、2~4匹
三人だと、3~6匹
となってるからだ。
いくら、カラットが強いといっても6匹が全て蜂だった場合は、
全滅する可能性が高い。
このバーチャルファンタジーGXは、戦闘中に支援が出来る。
それもほぼ無制限に。
ただし、支援には何の旨みもない。
金やアイテムドロップも最初にエンカウントしたPTにしか出ない。
つまり、支援者は善意の第三者ということになる。
途中、カラットが何回か、蜂系を退治し、3人は無事に陰鬱な森を抜けることに成功した。




