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ありえない
【嘘でしょ。】
ヨウシは、困惑していた。
相手の強さは対峙した瞬間に感じ取っていた。
が、
繰り出す技、全てが軽く流される。
まるで流れる水が如く。
【ここまで力の差があるなんて、
ありえない、ありえない、ありえない。】
相手からの攻撃は無い。
ヨウシが繰り出す攻撃を淡々と受け流していた。
見ている者からは、稽古の様にも見える。
しかし、技を繰り出す者からすれば、たまったものじゃない。
繰り出す技全てが、受け流されては、相手に打ち込んだ
気にすらなれない。
ヨウシは、自分自身に苛立っていた。
【無段どころか、無級の相手にっ!】




