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そりゃあ釣りしますよ

いつもの場所で、いつもの如く釣りをするタイマー。

世間の騒ぎなど関係ないとでもいう様に。

世の中には、理屈が通用しない輩は、いるもので。

狂乱やカンピオーネには物申せないが、仙人にならと

思う輩は居たりする。

「あんたが仙人だろ?」

何食わぬ顔で釣りをしてるタイマーに男は話かけた。

「ん?俺?」

「ああ。レイドボス釣った仙人だろ?」

「君は?」

「俺は、ギルド【ナイトバスター】のリュウジだ。」

「なるほど、タイマーと言います。初めまして。」

タイマーは、立ち上がり丁寧にお辞儀した。

リュウジは、タイマーの態度に気後れした。

「あ、あんたにレイドボスを釣って貰いたいんだが?」

「討伐するの?」

「いや、そこまで己惚れてない。モンスターリストに

 表示させる為だ。あんたがOKしてくれれば、

 それなりの人数を集める予定だ。」

「なるほど、残念だけど、モンスターリストには、

 載らないよ?」

「えっ・・・。」

「はい、これ。」

そう言って、タイマーは、自分の魚リストをリュウジに

見せた。

魚リストの一番下に、オオカミウオとアシカたんの

名前が並んで表示していた。

本来なら釣り上げた魚はマークされるのだが、

この2種については、釣ってない事になっている。

恐らく倒して始めて、釣った事になるのだろう。

「さ、魚リスト・・・。」

リュウジは戸惑った。

「良かったら、君の魚リスト見せてくれる?」

タイマーの言葉に、リュウジは素直に魚リストを

表示させた。

そこには、何一つ表示されていなかった。

「これじゃあ、寂しいよね?」

全くもってタイマーの言う通りだった。

リュウジにしても目的は、モンスターリストを

埋める事で、ぶっちゃけ、魚リストなんてどうでも

よかった。

「リュウジ君は、釣りした事ある?」

「えっ・・・。リアルなら。」

「ふむ、まあ魚リストの表示が何も無い位だから、

 このゲームじゃあ無いよね。」

「で、ですね。」

もはや、タイマーに完全に呑まれてしまったリュウジ。

「よし、じゃあ釣ってみよう!」

「えっ・・・。」

タイマーは、常にロッドを何種類か持ち歩いている。

ランクの高いものから低いものまで。

その中で、初心者が扱い易いものをリュウジに

貸し出した。



30分後。



「師匠、釣り、めっちゃ、楽しいですねっ!」

「でしょう?」

「鮒も鯉も奥が深いですっ!」

こうして、また一人、弟子が増えてしまった。



レイドレアボス敗戦から、1週間後、連合の

ギルドルームで、副GMのエイトは、ギルメンからの

報告を受けていた。

「なるほど、鋼の翼のお知らせのお蔭で、

 タイマーさんに直接アプローチする輩は、そんなには

 多くなかったと。」

「ですね。それでも0じゃあないですが。」

「ふむ。」

「殆どが弟子入りするか、魚リストと聞いてあっさり、

 身を引くかの二通りで。」

「うちの出番はなかったと。」

「です。」

「まあ、揉め事にならずによかったよ。」

「今後はどうしますか?」

「ローテーション通りで行こう。念のためにね。」

「了解です。皆に伝えておきます。」

「それにしてもさすがに伯爵というべきか。」

「まさに・・・ですね。」


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