鋼の翼よりのお知らせ
「さて困った事になったわね。」
パルコは、鋼の翼のギルドルームで、頭を抱えた。
「どうかしましたか?パルコさん。」
何食わぬ顔で、呼び出されたタイマーは立っていた。
「暫く、最初の村に行かないでくれます?」
「どれ位ですか?」
「2週間ほど。」
「パルコさんは、俺に死ねと?」
「ですよねー・・・。」
パルコは困り果てた。
もう匿名板どころか、公式でさえ特定されている。
「一応、公式の掲示板で、手は打ちますけど、
おかしい輩は寄ってきますよ?」
「女性も?」
「残念ながら100%男性かと。」
「そうですかあ・・・。」
タイマーは真剣に残念がった。
「出来れば2週間大人しくしといてもらいたいです。」
「まあパルコさん、そんなに心配しなくても
大丈夫ですよ。」
パルコは、GMであるヴォルグにも会社で相談していた
「あいつならほっといても大丈夫ですよ。」
とヴォルグこと波田進は、答えただけだった。
「問題だけは、起こさないでくださいね。」
「俺がですか?」
「女性相手じゃ、ないから大丈夫だとは思いますが、
寄って来るのは変な輩ですから、
気を付けてくださいね。」
「了解です。」
大して気にもしてない風にタイマーは、
あっさりと答えた。
VFGXの公式サイトには、井戸端板という掲示板が
存在する。
その中の一つに、ギルドからのお知らせというのがある
これは、各ギルドからのお知らせを発信する為に設けら
れた公式の掲示板である。
その掲示板で、「鋼の翼」からは、初となる書き込みが
書き込まれた。
ギルド「鋼の翼」よりのお知らせ。
当ギルド所属のキャラクターにご質問、ご要望が
ございましたら、まずは副GM宛にメールもしくは、
メッセージをお願いいたします。
メンバーへの直接のアプローチは、ご遠慮頂きます様
宜しくお願い致します。
「何か鋼の翼からお知らせ出てたな?」
「初じゃね?」
「カンピオーネのとこだろ?」
「直接アプローチする奴居ねえよ。」
「おそれおおいわw」
「何故、わざわざお知らせ?」
「お前ら知らんの?」
「???」
{???」
「仙人、鋼の翼だぞ。」
「あっ。」
「そう言えば・・・。」
「それでこのお知らせか。」
「納得。」
「問い合わせ殺到するんじゃね?」
「副GMって誰よ?」
「狂乱。」
「・・・。」
「・・・。」
「もう一人居たろ?」
「おー。」
「誰、誰?」
「カンピオーネ。」
「・・・。」
「・・・。」
「・・・。」
お知らせを出した結果、副GM宛の問い合わせは、
皆無であった事は言うまでもない。




