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サイド:とある病人の憧恋歌 後編

最後の戦いも無事に終わり、ついに私の手術の日程が決定した。


「というような日程になります。」

主治医が日程の説明をした。

今日は日程説明と言う事で外科の先生も居ない。

私と両親と主治医だけだ。

「先生、手術して私は何年生きられるんですか?」

「へ?」

困ったような顔をする先生。

「いや、何年って言われても・・・。」

答えようがないらしい。

「この手術って延命手術ですよね?」

私は、ズバリ聞いてみた。

「もちろん。」

「・・・」

あれ?

「手術っていうのはね。延命するために行われるんだよ。」

拡大解釈されたらしい。

「私、聞いたんです。父と先生の電話を。」

「へ?」

主治医はとぼけたような顔をした。

「電話・・・私と沙羅ちゃんのお父さんが?」

「何を言ってるんだ?沙羅?」

父まで聞いてきた。

これだから大人は・・・。

「もうどうしようもない。諦めてくれって電話してたでしょ。」

私はズバっと言ってやった。

「私がか?」

父はあくまでとぼけるつもりらしい。

「あなた、学校の先生とのでは?」

「あ、ああ、あれか・・・」

なんだか、話が変わってきた。

「沙羅には黙ってたんだが、学校へは休学届けを出した。」

父は、何を当たり前の事を?

1年以上も休むんだから、当たり前でしょ。

「なんとか、今の同級生と一緒に進級出来るように頼んでみたんだが。」

・・・。

「でも先生、私が後何年生きれるかわからないって。」

「何年と言われても・・・。事故とか違う病気で死んだりもするから、

 医者でも、そんな事は・・・。」

私の言い方が悪かったのだろうか?

以前、あの人に「貴様はコミ障だ。」と言われた事が・・・。


どうやら、私は、まだまだ生きれるらしい。

手術も順調に終わり、苦しい薬事療法とリハビリが始まった。

なんで、点滴が痛いのよっ!

この点滴を打つと全身がヒリヒリと痛む。

体内のウィルスを弱らせるためらしい。

リハビリも、今までベットで寝てたツケが回って、凄く厳しいものだった。

体力が全然なくて、何度もくじけそうになった。

その度に、あの人の姿が浮かんだ。

【なさけないな。貴様はその程度かっ!】

【いつも、いつも上から目線で頭にきますわっ!】

私は、そう心の中で答えて、立ち上がった。


父に頼んでゲームは続ける事になった。

正式版がスタートして、私は、恐る恐る名刺リストを開いた。

私は5人としか名刺交換をしていない。

そして、5人全員を確認した。

「よかった。」

直ぐにでも連絡を取りたかったが、当時の私はさすがにアレ過ぎた・・・。

「反省しないとですわ・・・。」

とりあえず、私は、野良PTに参加しレベルを上げる事に専念した。

このゲームは、レベルアップでのステータスアップは一切ない。

スキルポイントだけだ。

職業によっては、Lv1の人とLv50の人が戦っても大差ない場合がある。

が、私のような僧侶は、スキルポイントが無い事には、回復魔法が覚えられない。

「みんなに会うのは、ある程度スキルを覚えてからですわっ。」

でないと、あの人にも顔向けできない。


ある日私は、ギルドが実装されるという話を聞いた。

ギルド申請には、5人の仲間が必要らしい。

あのメンバーが浮かばない事はなかったが、私としては、不遇な扱いを受けてる

僧侶をなんとかしたいという思いの方が強かった。


落ち込んでる僧侶っぽい人をたまに見かける事がある。

私でさえ、野良PTで、

「お前のせいだ。」

「僧侶は使えない。」

だの、言われる事が多々ある。


自分から話しかけた事はないけど・・・。

「こ、こんにちわ。」

「こんにちわ・・・。」

「どうかしましたの?」

「私、僧侶の才能ないって。」

「誰がそんな酷い事を?」

「野良で・・・。」

「許せませんわ。私、僧侶のギルドを作ろうと思ってますの。」

「僧侶のですか?」

「ええ。よろしければ一緒に立ち上げてみませんか?」

「私でいいんですか?」

「もちろんですわ。」


そうして、初めてのナンパというものにも成功して、

私はギルドを作る事が出来た。


「サーラさん、僧侶だけでは、レベル上げが・・・。」

みんなの心配がそこにあった。

「心配ありませんわ。私こうみえて顔が広いんですよ。」

「さすが、サーラさん。」

みんなが安心する。


さて困った。

どうしましょ・・・。

今更メールするのも・・・。


そんな時、一番ウザイ奴からメールが。

【ギルドを立ち上げた。久々に皆で集まらないか?】


あの人も来るかしら?

こないでしょうね・・・。

恐らくカラットさんも。

まあいいわ、ウザイ奴でも壁になりますし、

シンゲンさんなら力を貸してくれるでしょう。


そうして、私は、昔の仲間達との会合へと向かった。

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