聖騎士団定例会議
「という事で、来週の土曜日にレイドボスの討伐をする事になった。」
聖騎士団の定例会議で、ギルバルトは幹部たちに報告した。
「おおー、腕が鳴りますね。」
「こういうの本当に久々だよな。」
「しかも大人数で討伐なんて。」
幹部たちは盛り上がっていた。
が、一人。
「私は今回、不参加でも構わないか?」
「はあ?」
まさかのベルラインからの不参加の申し出に、ギルバルトは脳天を
ハンマーで打ち砕かれたようになった。
「じ、時間か日にちが、あわないなら、今なら変更できるぞ?」
ギルバルトの中では、ベルラインに一部隊を任すことが決まっていた。
ガルフと互角の盾能力を有し、指揮能力も申し分ないベルライン。
それだけでも、居ないと困る存在であるが、ベルラインにはガルフ以上に
士気に関わる圧倒的なキャラクター性がある。
ベルラインは参加しませんじゃあ、納得しないギルドが多々あった。
「ふ、副団長、副団長が不参加となると連合が何を言ってくるか・・・。」
幹部の一人が言った。
「そ、そうですよ。連合だけならまだしも、教会からもきっと。」
「ヨルムンガンドからも何か言われそうだよな?」
「聖騎士団が音頭をとってるのに、副団長が居ませんと・・・。」
他の幹部たちからも声が上がった。
「ベル、日時が合わないなら・・・。」
ギルバルトは、再び日程調整の話を切り出したが。
「日程の問題じゃあない。」
「そ、そうなのか?何か問題でもあるのか?」
「気が乗らないだけだ。」
「・・・。」
ギルバルトは絶句した。
「「「・・・。」」」
幹部たちも絶句した。
ギルバルトは頭の中でグルグルと思考しはじめた。
連合の場合。
「ベルは気が乗らないので今回は不参加となった。」
「はあ、何言ってるの?舐めた事言ってると、私達帰るわよ。」
まるで、目で人を殺すかのようにギルバルトを睨むスザンナ。
「さすがにギルバルト主体で、ベルラインが居ないと俺も庇いようがないよ。」
困った顔で言うエイト。
教会の場合。
「ベルは、今回不参加に・・・。」
「3分以内に連れて来てください。」
氷の女王が復活した。
ヨルムンガンドの場合。
「今回、ベルは都合があって。」
「あっそ、私はいいんだけどね。ターヤにはギルバルトから説明しといてね。」
「・・・。」
【まずいっ、ゲームから抹殺される事態に・・・。】
ギルバルトは真っ青になった。
「だ、大丈夫ですか団長。」
幹部たちが、心配して声を掛けた。
今にも死にそうな顔のギルバルトを見て、ベルラインは、少し悪い気がしてきた。
「むう・・・、どうしても私が参加しないと駄目なのか?」
コクコクコク。
死にそうな顔で頷きまくるギルバルト。
まるで人形のようだった。
不気味な・・・。
「少し、時間をもらっていいか?明日には返事をするので。」
コクコクコク。
ギルバルトは頷いた。
その後、ベルラインは、ギルドルームを後にして何処かへ行ってしまった。




