当たり?
タイマーは、弟子のヨンペイとローラに連絡をとった。
とりあえず、当たりらしきものを二人に教えるために。
タイマーは、鋼の翼のギルドルーム入室許可の権限を持っていないので、
バラサンのギルドルームで会う事にした。
「でかっ!」
タイマーは、体育館並みの広さのギルドルームに驚いた。
200名以上ギルメンが在籍しているギルドは、巨大なギルドルームが
貰える。
しかも。
「つ、釣り堀がめっさデカいっ!」
鋼の翼の釣り堀とは、月とスッポンの差があった。
「ようこそ、バラサンへ。どうタイマー、うちに来たくなった?」
ローラが言った。
「ローラさん、師匠への勧誘は、入隊待ちしてる人に失礼なんじゃ?」
ヨンペイが釘を刺した。
「あら、タイマーは別格ですもの。皆が納得してくれるわ。」
ローラはそう言ったが、ギルドルーム内に居るギルメンの目は、どちらかと
いうとタイマーに対する敵意だった。
敵意といっても、嫉妬なんだが。
「それはそうと、師匠、今日はどういった呼び出しですか?」
「実は当たりらしきものを確認してね。二人に見て貰おうかと。」
「「!!!」」
ローラとヨンペイは驚愕した。
未だ、何の突破口も掴めてないギルドルーム内の釣りに、当たりを発見したと。
大事件だった。
少なくとも二人は、何か別の要因が必要であると諦めていたから、尚更だ。
二人は、タイマーの両隣に座った。
タイマーは、ゼロテンションで釣りを始めた。
「ラインに小さい当たりが出るから、見逃さないようにね。」
「どういう当たりなの?」
ローラが聞いた。
「ラインが、フワッとしたような小さな当たりが出るから。」
「師匠、頻度はどれくらいです?」
今度は、ヨンペイが聞いた。
「そうだね、1時間に3~4回程度だね。」
「結構、当たりがあるんですね。今まで気づきませんでしたが。」
ヨンペイもそれなりにギルドルーム内で釣りをしている。
制限が無いヨンペイは、休みの日は、タイマー以上に釣りをしていた。
が、そんな当たりは気づく事は無かった。
それから10分後、最初の当たりがあった。
「今の、わかった?」
「「えっ??」」
二人は、はてなマークを頭に浮かべた。
「ラインがフワッとなったよね?」
「いえ、気づきませんでした・・・。」
「全く・・・。」
やはり、判って貰えなかった。
ずーっと見続けてきたタイマーでさえ、ようやく見分ける事が出来るレベルで、
二人なら、もしかしたらと思ったのだが。
「ちなみに師匠は、掛ける事は可能ですか?」
「今の所、無理だね。当たりを見てから、フッキングじゃあ遅いみたい。
前当たりがないかも見てるんだけど、サッパリ。」
独りで、やってても埒が明かなくなったので、タイマーは二人に見せたのだが、
その当たりが二人には、判らなかった。
「ねえ、タイマー。もう2、3回教えて貰っていい?」
「もちろん。」
二人は、その後、強制落ちを食らうまで、ラインを見続けていたが、見分ける
事は出来なかった。




