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学祭終了

「さあ、いきなり盛り上がってきました。

 恐らく男子がランクインしたのは、K大始まって以来かと思います。」

大いに盛り上がる会場。

「続きましては、2位の発表です。得票数2640票。」


「め、めぐたん居なければ勝ってた。」

「めぐたん言うなっ!もしかして俺のあだ名で定着するのかそれ?」

剣持が心配げに聞いた。

「お、俺が言わなくても、て、定着すると思う。」

尾崎に言われ、定着するんだろうなあと、内心で諦めた。


「絶対的センターっ!」


「「へ?」」


「風祭敦子っ!さすが、あっちゃん。1年生ながら、堂々の2位です。」


誰が1位やねん?と尾崎と剣持は首を傾げた。

会場にまばらにいた観客も、首を傾げる者も多かった。


そんな中、学祭実行委員長と未菜だけは、1位が誰かを確信していた。

そう、小っちゃい奴。


「残念ながら、あっちゃんは、お仕事の関係で会場に来ておりません。

 情報によりますと、めぐたんが会場に居るようです。

 よかったら上がってきてくれませんか?」


もちろんMCの呼びかけを剣持は、無視した。

尾崎は、他人のふりをしていたが。


「めぐたんは、恥ずかしがり屋さんなのかな?残念です。

 それでは、気になる1位の発表です。

 得票数、なんと5840票!」


「「お、多っ。」」

「チーたん、来たあああっ」

「千鶴、来たあああっ」


様々な思惑が会場を包み込む。


「第1位 刈茅未菜っ!堂々の2連覇達成です!

 おめでとうございます、未菜さん。」

MCが未菜にマイクを向けた。

「???」

意味が分からない未菜。

「「???」」

意味が分からない尾崎と剣持。

「言い間違えじゃないのか?」

ポジティブな委員長。


「えー、宜しかったら一言、お願いできますか?」

「は、はあ。どうもありがとうございます。」

棒読みだった。

会場から拍手が巻き起こる。

「百合姫、おめでとう~。」

「王子様~。」

「あなたに会えてよかった~。」

男女入り混じった黄色い声援の中、未菜にとってこっぱずかしい声援もあった。


「よかった、本当によかった。」

心底喜ぶ剣持。

「これで、おれのめぐたんは、帳消しだよな?」

「だ、だといいね・・・。」


こうしてミスK大は、無事終了した。

未菜が舞台袖に行くと、花束を持った女性が待機していた。

裏方スタッフ一同が集まっていた。

「おめでとう、刈茅さん。」

そう言って、花束を渡す美人なスタッフ。

「ありがとうございます。」

「一応、これは一年間ご苦労様っていう花束なんだけどね。」

「そうなんですか?」

「私は、1年から裏方やってるんだけど、本当に刈茅さんの活動は、

 素晴らしかったわ。刈茅さんの前のミスK大なんて何もしなかったのよ。」

所詮、名誉職のミスK大。

ノーエントリー制ということもあり、イベントに出演するかしないかは、本人の自由。

しかもミスK大という名目でのイベント出演は、ノーギャラである。

交通費と弁当が出る位だ。

それで、土日が潰されては、たまったもんじゃない。

ミスK大のイベントスタッフは、イベント研究会や学祭実行委員、他文化系サークルが交代で、活動する。

彼らにとっては、好きでやってるから、土日が潰れるのは問題ではなかった。

未菜の場合は、綺麗なお姉さんに頼まれれば二つ返事で受けてしまう為、活動が物凄い事になってしまった。

K大は、職員を含めれば地方の市よりも人口が多い。

その周りには、たくさんの商店街や幼稚園、保育園があるわけで。

商店街に至っては、K大生や職員が出入りしてる為、百合姫は、美人のお姉さんが

頼めば断らないと言う噂は、すぐに広まった。

理由はともあれ、1年間頑張った未菜に対して、スタッフ一同が用意した花束だった。

「本当に一年間、お疲れ様でした。そして、また一年間よろしくね。」

「あのう、よかったらメルアドでも?」

「ごめんなさいね、刈茅さん。私、彼氏いるの。」

「がーーーーん。」

ショックを受ける未菜。

しかし・・・。

「ま、マジでかっ・・・。」

「俺、本気だったのに。」

未菜よりもショックを受けるスタッフが二名居た。

告白する前に失恋してしまったわけだが。

きっと彼らは、枕を涙で濡らしながらも寝る事はできないだろう。


「刈茅、これはマカダミアナッツだ。」

そう言って、委員長が綺麗に包装された箱を渡した。

委員会を含む、裏方スタッフがヒソヒソ話を始める。

「刈茅さんってアレ好きだったっけ?」

「特に好きって訳じゃあないはずよ?」

イベントスタッフとして同行してる人も多く、未菜の好物は皆、知っていた。

「ありがとうございます。」

喜んで受け取る未菜。


実は、千鶴の大好物であり。

千鶴が食べるであろうと見越した上でのプレゼントだった。

裏方、皆のお金で、千鶴の好物を買うとは学祭実行委員長、恐るべし。



後日談。


とある不気味な物理研究室にて、怪しい二人組が何やら話をしていた。

「それにしても、刈茅の得票数はおかしいだろ?」

学祭の監督教授でもある福山が言った。

「一応、調べてみましたが、不正らしいものはなかったです。」

学祭実行委員長の織田が答えた。

「どういう輩が投票してたんだ?」

「2~4年が万遍なくですね。」

「は?4年?」

「ええ。」

「内定組か?」

「そういうわけでも、ないみたいですが。」

「内定貰ってない奴が何やってんだ・・・。」

「まあ日曜日ですし、息抜きでは?」

「しかし、何が人気あるんだろうな?」

「人気ではないでしょうねえ。多分、お礼票とか、そんな感じです。」

「は?」

「色んなイベント参加してますからね。顔は広いでしょう。」

「意外に、ずる賢いんだな、刈茅は。」

「いやあ、本人は、なりたくないみたいですよ?」

「無欲の勝利というやつか・・・。あっちゃんは残念だったなあ・・・。」

「先生は、あっちゃん範囲内でしたね。そういやあ。」

「絶対的センターだぞ?」

「しかたないでしょ?学祭にも来てないし。」

「芸能人だぞ?」

「遠くの芸能人より、近くのガチが選ばれたようですね。」

「これだから、若い奴らは・・・。」

福山教授は落胆した。

これにて学祭編を終了します。

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