表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
126/183

謝罪

講義が終わり、千鶴は寝ていた(?)大和祐樹を叩き起こし、

1年の女子の元へと強制連行した。

殆どが1年ばかりの教室だが、全員が全員を覚えてるわけでもなく2年生二人が入って来ても目立つことはないのだが。

中には単位を落としてる2年生や3年生も僅かばかり存在する。

それでも千鶴と大和は注目を浴びた。

【まあ、俺はエースだからな、仕方ない。】

口には出さないが、自身が注目されるのはいつもの事なので、

しょうがないと思っていた。


「何あれ?小学生?」

「凄く可愛くない?」

「一緒に居る人はお兄さんかな?」


そんな声が聞こえてきて、大和はズルッとこけそうになった。

もちろん笑ったりはしない。

千鶴は、平常の表情をしていたが。

【これ、怒ってるな・・・。】

大和は、そう感じ取っていた。


「こんにちは。」

そんな中、千鶴は眼鏡の1年生の女子に話しかけた。

既にサークル連から、話は通してあり、相手も用件はわかっていた。

そして、彼女を見た大和は、押し倒したという意味をはっきりと理解した。


「先日は、失礼なことをしてしまい申し訳ない。

わざわざ応援にきてくれていたのに。」

そう言って、腰が90度に曲がるほど頭を下げた。

「あれ?いつもの土下座じゃないんですか?」

【裏番は、1年が一杯いる、この中で土下座しろと申される・・・。】

「いえ、そんな。今ので十分ですんで。」

1年の眼鏡女子が恐縮して言った。

「そうですか?大和君なら、慣れっこなんで大丈夫ですよ。」

【俺のイメージが・・・。】

「本当に大丈夫です。私も怪我してませんし、大和先輩に直接謝って頂いたので、十分です。」

大和は、土下座をしなくてよくなった。

「どうしたの?何この子可愛い~。」

そう言って、他の1年の女子が千鶴の頭を撫で始めた。

この年になっても、祖母や父親、その他大勢から、頭を撫でられてるので、

恥ずかしがることはないが。

「大和先輩の妹さんですか?」

大和の顔は真っ青になった。

「ち、ちがっ。俺の同級生だから。」

「えっ・・・。」

「す、すみません。友人が失礼なことを。」

1年の眼鏡女子が謝った。

「気にしてませんから、大丈夫です。

それじゃあ大和君、私達は帰りましょうか。」

「は、はい。」

大和は千鶴の表情が怖くて顔を見る事が出来なかった。


2年生の二人が去った後、一人の女子が、頭を撫でた女子に忠告した。

「あんた、知らないの?さっきのがK大の裏番こと、井伊先輩よ。」

「えっ・・・鬼より怖いっていう?」

「次から気を付けた方がいいわよ・・・。」

「そ、そうする・・・。」


一年の教室を後にした千鶴は、帰りながら大和に話しかけた。

「何か、おかしなことでもありましたか?」

「ま、まあ1年も悪気があった訳じゃないし、井伊も気にするな。」

「何がですか?」

無かった事にしようとする千鶴。

「い、いえ、何もありませんでした。」

「ならいいですが。」

これ以上は、身の危険を感じたので、大和も無かった事にした。


次の講義の教室に戻った千鶴たちは、ミスコンについて話をした。

「刈茅さん、2連覇無理らしいね。」

香林が言った。

「もし、応援する特定の人居なかったら、未菜に投票お願いします。」

千鶴は、香林と柘植に頼んだ。

「俺は言われなくても、未菜に投票するけどな。」

「大和君には頼んでません。」

「・・・。」

「大和君と刈茅さんって幼馴染なんですよね?」

柘植が聞いた。

「ああ。小さい頃はパーティーなんかで、よく会ってたから。」

「ああ嫌だ。セレブ発言は・・・。そういや大和と千鶴は?」

「赤の他人です。」

「・・・。」

「刈茅さんと千鶴は幼馴染なのに?」

「私は、小中と未菜と一緒ですから。」

「なるほど。大和ってさ子供の時から刈茅さんの事が好きなの?」

「悪いか?」

「き、きもっ!」

「めぐみ、キモイは酷いと思うよ?せめて気持ち悪いって言おうよ?」

「ごめん、柘植・・・。一緒の意味だから・・・。」

ショックを受ける大和だった。

「でもさ、子供のころから百合姫なんて好きになるわけ?」

香林がズバッと聞いた。

「小さい頃から、百合姫だったわけじゃねえよ。」

「小学2年の担任の女性教師が初恋のはずですよ?」

「・・・。」

「ねえ、大和。あんた女見る目ないんじゃないの?」

「昔は、人見知りして、何も話せず、俺の後を付いてきてたんだよ。」

「誰が?」

「未菜が。」

「想像つかないんだけど・・・。」

「昔の未菜は、そうでしたよ?私にとっては妹みたいな存在です。

 今もですけど。」

誰も突っ込まなかった。

いや突っ込めなかった。

どうみても、今は、あんたの方が妹だよとは・・・。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ