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蜂蜜入れすぎカフェオーレ

自分のギルドルームに戻ったベルラインは、カルディナを見つけると

直ぐに声を掛けた。

「少し話がある。」

いつもと違う雰囲気のベルラインに、怖さを感じるカルディナ。

「これは、貴様が撮影したSSだな?」

そう言って、ベルラインは、カルディナ至高の作を表示させた。

「あっ・・・。」

「あの場面で撮影できるのは、貴様とミルミルだけだからな。

 ミルミルは、無断でSSを撮影する人間ではないし、後は貴様しか

 考えられない。」

怒ってるわけではなく、冷静に淡々としゃべるベルライン。

「は、はい。私が撮りました。」

「そうか。」

ベルラインは信頼していたものに裏切られたような溜息をついた。

「SSを撮るなとは、言わない。しかし、同じギルメンであれば、

 一言あっていいのではないか?

 聖騎士団の女性団員では、貴様が一番付き合いが長い。

 それなりに信用していたんだがな。どうやら、私の勝手な

 思い込みだったようだ。」

完全に諦めた、そんな表情でベルラインは言った。

「あ、あの・・・。」

何を言っても、無駄、そんな空気が二人の間に流れた。

「貴様には心底あきれた。悪いが、私との冒険についてだが・・・。」

「すみません。すみません。それだけは許してください。」

何度も謝るカルディナ。

しかし、ベルラインに許す気は無かった。

「いいか、カルディナ。現在の2周に一回の貴様の参加だが、

 今後は3周に一回にする。これは決定事項だっ!」

強い言葉で、断言したベルライン。

超甘くね?

「そ、そんなあ・・・。」

この世の終わりのような顔をするカルディナ。

そんなサイクルになってしまったら、ベルニウムが完全に枯渇してしまう。

カルディナにとっては、死活問題だった。

ガクっと、うなだれるカルディナ。

いつもであれば、ベルラインは、反省してるならと甘々な態度をとるのだが、

今回は違った。

うなだれたカルディナを無視して、その場を離れていった。

【本気で、ベル様を怒らせてしまった・・・。】

心底後悔するカルディナ。

うなだれ、真っ白な灰のようになっているカルディナに話しかけるものは、

居なかった。

頼みの綱のグランマも、この日はONしていなかった。


が、そんな灰と化したカルディナに声を掛ける甘々な奴が存在した。

「どうしたカルディナ、何があった?」

聖騎士団、甘々NO1のギルバルトが声を掛けた。

「だ、団長・・・。私、ベル様を怒らせてしまって・・・。」

カルディナは、一連の出来事をギルバルトに説明し、問題となったSSを

見せた。

「しかし、カルディナ、お前いつからSSなんて撮りだしたんだ?

 SSなんて興味なかったはずじゃあ?」

「わ、わりと最近に・・・。」

「ベルがSSを無断で撮られるのを好きじゃないのは知っていたろ?」

コクリと頷くカルディナ。

「怒ったり、笑ったりするのだって、団員や親しい者の前だけだ。

 それも知ってるだろ?」

コクリと頷くカルディナ。

「まあ、リストから外されないだけマシと諦めるんだな。」

「そ、そんなあ。」

「それか、今後、無断でSSを撮らないというなら、何とかしてやっても

 いいが?」

さすが、ギルド1甘々なギルバルト。

「ほ、本当ですか?それなら私、今後SSなんて撮りません。」

「本当だな。次、こんな事になったら、本当にリストから外されるぞ?」

「はい、骨身にしみました。」

「わかった。」


ギルバルトは、後ろにカルディナを従えてベルラインに話しかけた。

「ベル、ちょっといいか?」

ベルラインは、後ろのカルディナの方を見た。

ギルバルトの背中に隠れるカルディナ。

「貴様の欠点は、その甘ちゃんの所だ。ギルバルト。」

「まあ、そういうな。カルディナも反省しているし。」

「馬鹿か貴様は。」

心底、甘々な団長に呆れるベルライン。

「今後、SSは撮らないそうだ。」

「SSを撮らないのか?カルディナ、その覚悟があるのか?」

ベルラインは、ギルバルトの後ろに隠れているカルディナに聞いた。

「は、はい。二度とSSは撮りません。」

「その言葉、しかと聞いたぞ。約束を違えた時はわかっているな。」

「はい。」

カルディナは、ベルニウム補給し隊のリストから外れる事を覚悟した。

「わかった。その覚悟があるなら、今回は、ギルバルトの顔に免じて

 元に戻してやろう。」

「ほ、本当ですかっ。ありがとうございます。」

心底喜ぶカルディナ。

「だが、覚悟しておけよ。次はないからな。」

「はい。」

「約束を違えた時は、4周に一回だからな。しかと覚えておけっ!」

ベルラインも十二分に甘々だった。

【俺が蜂蜜なら、お前は砂糖だぞっ・・・。】

心の中で突っ込むギルバルト。

もちろん、決して口に出すことはない。


落ち込んでいたカルディナは、元気を取り戻し、颯爽とヨルムンガンドへと

向かっていった。

「こんばんわ。」

挨拶をして、ヨルムンガンドのギルドルームに入ると、ミズガルドとターヤが

居た。

「ミズたん、私、引退するわ・・・。」

「ちょっ、あんた何言ってんのよ?」

「何があったんですか?」

ターヤも心配になって聞いた。

「実は・・・。」

カルディナは、一連の騒動を説明した。


「ごめん、ターヤ、私、胸やけがしてきた・・・。」

「ギルバルトさんは、そんな感じと思ってましたが、ベルさんも甘々

 だったんですね・・・。」

「そりゃあ、今までカルディナを隠してたくらいだし。」

「そうですね。いうなれば、カフェオレに蜂蜜と砂糖を大量にぶち込んだような

 ギルドですね。」

「・・・。」

自分では、厳しいとは思わないが、甘いとも思ってないカルディナは、

返す言葉が見つからなかった。

「まあいいわ。SSを引退するって事ね。」

「そうよ。」

「最初に煽ったのは私だし、何か責任取らされるなら私から助言しても

 よかったんだけどね。」

「えっ!じゃ、じゃあ私の2周に1回を何とか皆と同じように・・・。」

「それってSSが関係あるの?」

「いや・・・ないけど・・・。」

「じゃあ私の出る幕じゃないでしょ?そんな事言う位なら、私も補給し隊に

 入れて欲しい位だわ。」

「・・・。」

「何事もなくてよかったですね。カルディナさん。」

ターヤが言った。

「は、はい。」


こうしてカルディナの短いSS人生は、幕を閉じたのだった。

めでたし、めでたし?

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