表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
恋愛1年生。  作者: 遊民
5/9

また会えた。


〝3番線電車は大雨のため、運転見合わせとなります〟


「ッざけんなよ…」




帰り道、美優の言葉がひっかかっていた。

『…アオ、絶対何か損してるよ…』


私の心と同じ、曇り空。

損?何を?

思い当たるものがない。

「…損なんかするはずないじゃん」


下駄箱から投げるように出した靴が静かな昇降口に大きな音を聞かせる。


部活に行く生徒に抜かされ、ゆっくり靴を履いて立ち上がった。

あぁぁ~…ダルい。

血糖値が下がってる証拠だ。


帰ったら昨日買ったシュークリームを食べよう。


校門を出て、また空を見上げる。

シュークリームの雲を探してるわけじゃないよ?


「…損って…何?」


見つめていた先に、青白い縦長の光がはしる。


…イルミネーション?


ッッッドーーーーンッッ!!!!!


「ッッ!!!」

その瞬間、空が泣いた。




で、今は駅。

あーあ。ズブぬれ。明日も学校なのに。制服乾かさなきゃいけないのに。


ぬれた毛先をくりくり。


周りを見れば私とオソロ状態(ズブぬれ)の学生。部活が中止になったのか?

そして、ギャル。

そして、オッサン。頭は砂漠化→ワカメ化している。


…なんか悲しい。


結局今日も最悪じゃん。

このまま毎日が最悪になるのか?


さっきから座っているベンチ。背中合わせで人がいるのを忘れ、大きくノビをする。

当然、誰か当たった。



ヤベ。


後ろにグルリ。頭をペコリ。

「すみません」


「あ、いいえ。大丈夫ですよ。」



     聞き覚えのある声。

     男の人の声なのに、低くもなく、高くもない、響かない、優しい声。


目の前には、ぬれて若干黒さを増したであろう、茶髪の髪。

聞いていた音楽プレイヤーのイヤフォンをとった大きな手。

以前、私に向けたその笑顔。


「あれ?葵ちゃん?」

「一ノ瀬君…だよね?」



〝またね〟


あの時のまたねって…これのこと?


また、会えちゃった。










評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ