目立つ娘
ー1人、目立つ娘がいる。
その娘はスマホをいじっており、制服姿から女子高生だと思うのだが、とにかく綺麗の1言だった。
ロングヘアーに、色白の肌と、車掌の好みのタイプだった。
ー日曜日の始発で、どこに行くんだ?
不思議に思ったが、彼女の周りだけオーラが、クリアだった。
心も綺麗なんだろうなと想像し、話してみたいと思うのだが、きっかけがなかった。
どうしようと迷っていると、電車が走り出す。
自分も仕事につかなければいけないのだが、その娘だけ気になり、つい声をかけてしまった。
「おはようございます」
娘は顔を上げると、美しくメイクしており、美人度が増していた。
これはGETしたいと願い、更に話しかける。
「始発だけど、どこに行くの?」
「えっと…友達と東京ディズニーランドに行こうと思って」
「あー、なるほど。楽しみだね」
車掌は娘にミニーマウスのカチューシャをしたら、可愛いだろうなと思いつつ、惹かれていく。
「友達はどこから乗るの?」
「1つか2つ目の駅、えっと…何て言ったっけ」
忘れてしまったようで、娘はぺろりと舌を出す。
その可愛さといったから、抱きしめたいくらいだった。
「新幹線に乗るんだよね?」
「は、はい。乗ります。席も指定してあるので」
「そう。それは良かった。JR東日本をご利用いただき、ありがとうございます」
軽く頭を下げると、彼女が大きく手を振ってくる。
「そんな…。今、夏休み中なので、利用しているただけです。いつもは学校まで自転車で通っているというか…」
「自転車? 懐かしい」
自分の学生時代のことを思い出し、遠い目をする。
10代の彼女には、これから色んなことがふりかかるかもしれないが、頑張って欲しいと願う。
「あ、友達だ!!」
駅に止まり、茶髪の子と、やはりロングヘアーの娘が乗ってくる。
「あ、いた…!! 良かった、会えて」
2人はキャリーケースを転がしており、泊まる気満々のようだった。
しかし娘はバックを持っているのみで、不思議だった。
ーどういうことだ?
疑問に思い、娘に話しかける。
「友達はキャリーケースを持っているのに、何で君はないの? しかも制服姿だし。別に構わないけれど、教えてくれないかな?」
「あ、それは…。私の家、厳しくて日帰りのつもりなんです。しかも制服姿なのは、高校生活もあと少しなので、思い出にしようと思って、着たんですけど…。駄目ですか?」
「いや、駄目じゃない。君が合っている」
そう言うと、車掌は他の2人にも目を向ける。
ギャルメイクをしており、娘とは合うような、合わないような、微妙な感じだった。
しかし外見で相手を決めつけるのは良くなく、彼女達は楽しく会話し始める。
「じゃあ、俺はこれで」
客が増えてきたので、去ろうとしたのだが、友達がストップをかける。
「待ったー!! 車掌さん、かっこいいね。この娘を狙っているんじゃないの?」
友達に指摘され、娘は「え」と声を漏らす。
俺は平気な様子で、言い返す。
「女の子が1人でいるから、気になって声をかけただけだ」
「えー、怪しい。ね、皆?」
友達が周りを見ると、娘ともう1人は顔を見合わせている。
3人とも美人の類で、これは俺が試されているのかと判断する。
「お兄さんは君達と知り合いになりたいんだけど…。いいかな?」
「正解。どうする?」
3人は顔を突き合わせ、相談し始める。
車掌は時間を気にしつつ、答えを待つ。
「いいよ、お兄さん。交換しよう」
1番明るい子がスマホを取り出す。
目当ての娘はちょっと困ったような様子だったが、スマホを操作し始める。
「これなんですけど」
「いいの? 本当に?」
娘は2人の顔を見て、うなずくのを待ってから、スマホを差し出してくる。
車掌は心中、やったあと思いながら、スマホをやはり差し出す。
「…よし、これで完了だ」
「はーい!! あたし達も」
「はいはい。ありがとう」
ついでに2人のLINEも教えてもらうと、車掌はうきうきした気分になってきた。
すごく楽しみなことで、早くLINEしてみたくなった。
「よろしくお願いします。じゃあ」
「はーい!!」
3人が頭を下げたので、車掌は歩き出す。
とりあえずは自分の仕事が終わってから、勝負だと自分に言い聞かせる。
ー楽しみだ。若い力をもらおうっと。
そう思いつつ、軽快な足取りで、3人組から離れたのだった。




