表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【第一部完結】あと7日で断罪とかマジですか? ーヤンデレ幼馴染と走る断罪回避RTAー  作者:
あと7日で断罪とかマジですか!?ー断罪回避RTAー
43/46

〈第32話〉断罪イベント当日ー決別と違和感ー

「……大丈夫。ありがとう、ミカ」


デービットの方をちらとみてから、ゆっくりと手を引いた。


名残惜しそうに眉を顰め、微かに声を漏らすデービット。


「ん……リリア……?」


その表情がひどく艶やかで、思わず喉を鳴らす。


でも、今度は流されない。


「ちゃんと謝れてえらいですね」


優しく微笑みかける。

これは、大きな一歩だ。だからこそーーー


「……でも、ごめんなさい。私、殿下の気持ちには応えられません」


私は、ここで彼と決別しないといけないんだ。


とろりと緩んでいたデービットの瞳が、大きく開かれる。


「え……許してくれるんじゃ……? 僕のこと、まだ愛してるんだろう……?」


困惑し揺れる声。乾きかけた涙の跡が、悲壮感を漂わせている。


喉元まで迫り上がる声を、感情を飲み下す。唇を噛み、肩を揺らす。


「ちゃんと反省するなら許しますし、今も憎からず思っています」


「じゃあ……なんで……?」


小さな呟き声が、胸をざわめかせる。


……なんで、か。


「……私は、貴方を叱れないから。デービット様に必要だったのは、貴方と共に歩めるような女性だったんです」


リリアにはそれができなかった。その結果がこの惨状だ。


「私は弱いから、デービット様を甘やかしてしまいます。でもそれでは、私も貴方も幸せにはなれません」


その証拠に、今も手の震えが止まらない。デービットの悲痛な表情を見るたびに、リリアとしての気持ちが暴れそうになる。


私では、デービットは救えない。


「ぼ、僕……頑張るから。お前に相応しい男になる。お前がいない世界で、僕はどう生きていけばいいんだ……?」


震える声に、ぎゅっと胸が締め付けられる。


でも私は絆されるわけにはいかない。私のためにも、デービットのためにも。そして、リリアのためにも。


「ちゃんと周りを見てください。貴方の周りには、誰がいますか? 今貴方を支えているのは?」


目線を逸らさずに、はっきりとそう言い切った。


「今……?」


こぼれ落ちる言葉。一点にのみ向けられていた虚な目が、ゆっくりと周囲に這わせられーーーメアリーちゃんのもとで、止まった。


僅かに口元がこわばるのが、自分でもわかった。


でも、これでいい。これで……よかったんだ。


口角をあげ、言葉を捻り出す


「ちゃんと、わかってるじゃないですか」


私はメアリーちゃんのことを見つめる。交差する視線の先で、メアリーちゃんはしっかりと頷いた。その青い瞳に、強い決意を宿して。


それを確認してからすっと立ち上がり、顔を見られないよう背を向けて歩き出す。もう、私がいなくても大丈夫だから。


ラファエルはそっと私の隣へ来ると、私の背中をポンと叩く。

デービットを押さえつけていたミカもそれに倣ってこちらへ来る。その指先がそっと、震える私の手に絡む。


「私達……最初から、やり直しませんか? 今度はちゃんと、お互いを見つめて。デービット様と一緒に歩んで行きたいんです」


メアリーちゃんの優しい声を背中に受けながら、会議室の大扉へと去っていく。


扉が閉まる直前に聞こえたデービットの言葉に、私は頬を緩ませた。


これでよかったよねーーーリリア

その呟きに返事はない。ただ温かな気持ちだけが、胸にじわりと広がっていた。


胸に手を当て、2人を連れて歩く私。


その視界の端に、チラリと何かが映った。


黒い、髪……?


振り返っても、そこには誰もいない。


「リリア? どうしたんだ?」


「いや……なんでも、ない」


気のせい、だよね。


そうわかってはいるのに、何故か胸がざわついて仕方がない。


ーーーこれが始まりに過ぎないなんて、この時の私は知るよしもなかったんだ。

お読みいただきありがとうございます!

皆様の反応が励みになりますので、よろしければブクマ&評価お願いします!

ブクマ5ごとに番外編を追加予定です✨


これで第一部は終了となります!


10/19より

お前の全てを奪うまでー俺様元ヤン悪役令嬢は拳で婚約破棄をぶっ壊すー

https://ncode.syosetu.com/n9659lf/

を連載しております。


こちらの作品はディスティニーチェイン2作目時空となっており、読んでいただければより2部を楽しんでいただける内容となっておりますので、よろしければぜひご覧ください。


こちらが連載終了次第、第二部を投稿予定です。

それまでは定期的に番外編を投稿予定となりますので、引き続き応援よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ