〈第20.5話〉断罪イベント3日前ー残る謎ー
揺れる光の中、ノートを開く。
転生してから恒例行事となった夜の現状整理。ノートにびっしりと文字が、ページを黒く染めていた。
今日は情報が多くて、少し腕が疲れたなぁ。
息を吐いてハーブティーを口に含む。爽やかなスペアミントの香りが鼻腔をくすぐり、思考をクリアにしてくれた。
深く椅子にこしかけノートを手に取る。
まず、噂の出所は分かった。犯人はデービットだと考えて間違いない。理由は『困ったリリアは自分を頼って戻ってくるかも』という歪んだ愛情。
リリアに愛されなかったというその差だけで、ゲーム内では『悲しい過去をもつ正統派王子』という肩書きだったデービットが、『疎遠になった婚約者に執着する性悪男』になってしまうとは。関係性オタクとしては美味しいけど、自分が巻き込まれるとそうも言ってられない。
ここさえ崩せれば直近の断罪イベントは回避可能だ。だけれど……
細く、息を吐く。
問題はもう一つある。
14歳のリリアは何に怯え、デービットに『守ってくださいますか』と聞いたのか。
あの後使用人に聞き込みをしたり図書館に行ったりしたが、手掛かりと言えるものは一つも見つからなかった。
もし他にヒントがあるとすれば、この部屋の中しかないだろう。何度も探索しようとしたが、頭のキズが酷く痛むためその度に断念していた。……それこそが、『何かある』というヒントだったのかもしれない。
ノートを閉じて、眉間を押さえる。
メアリーちゃんが音声を持ってくるのは明後日だ。明日は一日部屋の調査に費やしても問題ないはず。
順調なはずなのに、どうしてこんなに胸がざわつくんだろう。
この部屋には私しかいないはずなのに、常に見張られてるような気がして。それが、酷く不気味に思えた。
心に広がる焦燥感を振り払うように、私はベッドへ潜り込む。
より良い明日を、迎えるために。
例え明日見つかるものがーーーどんなに、恐ろしい事実であったとしても。
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