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【第一部完結】あと7日で断罪とかマジですか? ーヤンデレ幼馴染と走る断罪回避RTAー  作者:
あと7日で断罪とかマジですか!?ー断罪回避RTAー
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【1000pv突破記念番外編】お前の隣を奪えたら【過去編・ミカエル視点】

「ミカの幼馴染、婚約破棄しかけたんだって?」


急にかけられた声にびくりと体を震わせた。

教本から視線をあげて、前方の机に腰掛けた級友を見る。


「らしいな。詳しいことはしらねぇが」


「ふぅん。ま、お前相手にされてねぇもんな」


「喧嘩売ってんのか?」


そいつは悪びれる様子もなく、にやにやと笑っている。

腹立つ顔してるなこいつ。


「いや、別に。だってお前リリアのこと好きだろ?」


「はぁ!?」


さらりと飛び出すその発言に思わず固まる。

なんでバレてんだよ……!


「顔赤いぞ? お前リリアのこと見過ぎなんだよ。名前呼ぶ時のトーン全然ちげぇし。ま、あいつ可愛いよな。気持ちはわかるぜ?」


そいつは机に肘をつきながらケラケラと笑った。


気持ちはわかる、だと?

その一言にぐっと眉根が寄る。


「リリアに変なことしたら許さねぇからな」


「声ひっく。ていうかすげぇ顔してんぞ、お前本当にわかりやすいな」


そいつはどこか呆れた様子で、乾いた声をあげて笑った。

……本当に性格悪いなこいつ。


「誰のせいだと思ってんだ」


吐き捨てるようにそういうと、やつは眉をひそめる。


「いや、まさかそこまでとはな。お前誰とも婚約しねぇし、そうだろうとは思ってたけど」


「婚約は……別に、気がのらねぇだけだ」


ふっと目を逸らす。


どんな女と話してもリリアの顔がちらつく、なんて流石に言えねぇ。


「気が乗らないだけ、ねぇ? いいか、愛ってのは奪い取るもんだ。欲しいもんは力づくで奪う、それが強者ってもんだろ?」


口の端を不敵に吊り上げる。その顔は、完全に悪役のそれだった。


もし俺もこれぐらい自分本位でいられたら、今頃は……。

いや、やめよう。俺らしくもない。


「お前発想が物騒なんだよ。俺はリリアが幸せならそれでいい」


「幸せじゃねぇから婚約破棄なんて話が出るんだろ。いい加減現実見ようぜ?」


「現実? んなもん見なくてもわかるだろ」


結局婚約破棄は未遂で終わってる。あいつはまだデービットの婚約者のままだ。


それに認めたくねぇが……デービットを見るあいつの目には、まだ確実に熱が宿ってる。


何で婚約破棄なんて話になったのかがわからねぇほど、強烈に。


それを思い出すたびに、腹の底からどす黒い何かが湧いてくる。そんな事を感じていい立場じゃねぇはずなのに。


「お前本当に真面目だな。……これは忠告だ。後悔だけはしねぇようにな」


俺を見つめるその瞳には先ほどまでのおちゃらけた雰囲気はない。


「……わかってるよ」


後悔という言葉が俺の心を掻き乱す。何か大事な事を忘れているような、そんな気分になった。


『愛は奪い取るもんだ』


そのセリフが、ぐるぐると胸の中で渦巻く。


もし奪えたら、リリアの隣にいるのが俺ならば。


どうせそんな都合のいい未来は来ないのに、そんな妄想だけが脳を満たしていった。

お読みいただきありがとうございます!

皆様の反応が励みになります!


ブクマ5ごとに番外編を追加予定です✨

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