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よく分からん話になってきた

「思ったよりやるわね。合格よ」


拍手を贈りながら、ボンテージ女が言う。俺は金髪ツインテールをなびかせながら、ボンテージ女を睨みつける。夏菜も起き上がり、俺同様に鋭い視線を送る。姉妹は何が起こっているのか混乱しているようだ。神主もこめかみを押さえ、頭をフリフリしてる。意識が戻ったようだ。

俺は夏菜に聞こえないように小声で呟く。


「約束通り全裸…」

「貴女は何者なの!いったい何を企んでるの!!」


俺の呟きは夏菜の叫びに打ち消される。ちっ、心で舌打ちをする。ボンテージ女が話を続ける。


「私の名前はユマリナ。あの世とこの世の境、黄泉比良坂の番人よ。そしてアナタ達はそこに迷い込んだ、死に損ないの存在。普通は有り得ないんだけどね」

「ユマリナさん…でしたけっけ?ちょっといいですか?その、もうすぐ夏菜さんが消えるって…それに俺も…」

「ああ、そうね。まずは肉体と魂を固定させましょう。この耳飾りを両耳につけて」


ユマリナはそう言うと、俺と夏菜に近づき少しゴツイ耳飾りを渡してきた。

黒く艶のある大きな円環。その上部と下部は深い紅色の組紐で結ばれ、円環の内側には、かすかに羽のような白い模様があしらわれている。神秘的な雰囲気を漂わせ、下端には水滴を思わせる淡い青色のしずく型の飾りがついてる。光を受けて淡く輝き、まるで魂の雫か月光を閉じ込めたかのような印象。全体として、雅やかでありながらどこか幽玄な存在感を持つ耳飾り…。紅い組紐の裏側にネジ式のクリップがあり、耳たぶを挟んで装着する感じだ。


「これつけたら呪われるとかないですか?」


ビビりの俺は聞いてみた。だって何だか怖い。夏菜はまじまじと耳飾りを見詰めている。


「それは幽世繋ノ輪(かくりよつなぎのわ)という、あの世とこの世を繋ぐ耳飾りの神器よ。大丈夫だから早くつけなさい。オークとの戦いで力を使って消えかかってるわよ!」


ユマリナは少しイラっとした様子で、強い口調で俺と夏菜に指図してきやがった。確かに俺の身体は薄くなってる。ふと夏菜を見ると、ほぼ透明になってる。


「じゃあ…とりあえず付けてみる?」


コクリと頷く夏菜。俺と夏菜は目を合わせ頷き合い、耳飾りを両耳に装着した。


「うわっ」

「きゃ」


俺と夏菜は眩い光に包まれた。あれ?俺の格好が美少女戦士じゃなくなってる。成人式で着るような上品な和風礼装になってる。白い羽織の下に白い着物、下は黒い袴。羽織は裄が長く、袖は広く落ち感がある。そして両胸には銀糸で(すすき)の刺繍が施されている。


「誠さん格好いいです…」


夏菜が俺を褒める。美少女戦士姿とのギャップ萌えか?そう言う夏菜も少し衣装が変わっている。

頭に白い鉢巻に火のついた蝋燭二本、白装束までは一緒。だが髪にシンプルな桜の装飾がついた(かんざし)に、胸元の半襟部分には淡いピンク色の桜模様があしらわれていて、生地も薄汚れた感じから、高級感ある生地になってる。眼鏡のフレームも、黒から淡い色の桜があしらわれた紅色に変わってる。


「夏菜さんも可愛くなってるよ!」

「そ、そんな…私なんて…。あ、それと夏菜って呼び捨てで呼んで下さって結構です」


照れてる夏菜可愛い。見詰め合う俺と夏菜。いい感じの雰囲気の俺と夏菜にユマリナが割って入る。


「その衣装は幽世繋ノ輪の力と、アナタ達の煩悩のイメージが合わさって具現化された姿。女の方…夏菜だっけ?アナタは呪いの欲望が強すぎるわ。そして男の方…誠は服装に無頓着だから幽世繋ノ輪の力が強く出てる。けど性欲が強くて羽織の背中に『淫』て書いてあるけど」

「え?イン?」

「は、はい。淫乱とかの淫て漢字書いてあります…」


確かに俺は淫だけに夏菜の中にインしたい。けど、せっかく格好いい和装だと思ったのに台無しだ。ちょっと恥ずかしい。


「それと夏菜、アナタの丑の刻参りはやり方、色々と間違ってるわよ。詳しくは面倒だから言わないけど、そもそも呪いの儀式を他人に見られた時点で効力失うわよ」

「そんな…いっぱい呪いたいのに…」


ユマリナの指摘に、哀しげな表情を浮かべる夏菜。どんだけ呪いたいねん。


「もう幽世繋ノ輪を外していいわよ。一度つけたら三日は肉体と魂が固定化されるわ。力の消耗が激しいから戦闘時にはつけるように」


俺と夏菜はユマリナの言う通りに、幽世繋ノ輪=耳飾りを外した。服装が死ぬ直前に着ていたクールビズのスーツ姿になった。夏菜も恐らく死ぬ直前に着ていたであろう、ウエストにリボンを結ぶデザインの白いワンピース姿になってる。眼鏡も黒縁メガネに戻ってる。


「待ってくれ!いったい何がおこってるんだ。ワシ達にも説明してくれ!」


それまで黙っていた全裸の神主が叫ぶ。ほぼ全裸の姉妹もうんうんと頷く。ユマリナはチラっと神主達を見詰めて口を開く。


「アナタはこの神社の神主ね。人間にしては強い霊力持ってるわね。そこ小娘二人も良い潜在能力持ってるわ。じゃあ簡単に説明するわ」


ユマリナは近くにあった石碑に腰掛け、脚を組む。脚を組む瞬間にミニスカの奥からパンティー見えそうだったが見えなかった。残念。


「黄泉比良坂に巨大な煩悩を持つ魂が二人分…誠と夏菜ね。その存在の衝撃で黄泉比良坂を閉じている岩が開いたの。その時に激しい煩悩を持つ怨霊があの世からこの世に逃げたの。その数108。その怨霊退治をアナタ達に頼みたいの」


怨霊退治?俺はユマリナのミニスカに組まれた脚の奥を凝視しながら言った。


「無理です」















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