だって怖いやん
そこに現れたのは、黒いミニスカボンテージのいい女だった。二十代後半くらいだろうか?夏菜に負けず劣らずの巨乳と、引き締まった細い足にプリっとしたお尻が大人のセクシーさを感じさせる。
「激しく強い霊力のぶつかり合いに惹かれてやってきたら、黄泉比良坂の者が二名もいたなんてね…」
ミニスカボンテージの女は訳の分からないことを口走る。確かにいい女でセクシー。夏菜は俺から離れ、ボンテージ女に鋭い視線を送る。もっと抱き合ってたかったのに…。
「えい」
夏菜は掛け声とともに、ほぼ全裸が再び白装束姿に戻る。もっと裸見てたかったのに…。
「貴女は何者なんですか?」
「私?さぁ?なんだと思う?」
夏菜の問いに、ボンテージ女がセクシーな笑みを浮かべる。そして手に持った御札をこちらに投げつける。御札の落ちた位置に、何やら魔法陣のようなモノが浮き上がる。その魔法陣から豚のような容姿の怪物が現れた。
「それはオーク。暴力と食欲と性欲しかない低級モンスターよ。倒したら私の正体教えてあげる」
オーク…何だかお決まりのエッチなパターンか?いや、それより嫌な予感の方が大きく感じる。
「うおおおー!」
オークが呻き声をあげる。めっちゃ怖い。でも俺は勇気を振り絞って言ってみた。
「あの…すみません。貴女の正体とか別にどうでもいいんで、そのオークとか言うのしまって帰ってくれませんか?ほんと、すみませんけど…」
俺を除く、その場にいた全員がキョトンとした。オークでさえ呆れ顔だ。そう言えば俺は全裸のままだ。そんな事関係なく、早く夏菜とチョメチョメしたいのだ。ボンテージ女も捨て難いけど。
ボンテージ女は呆れ顔で呟く。
「あのね…戦わないと話が進まないの」
「いやいや、いきなりこんな怪物出されて戦えってむちゃくちゃですよ」
「貴方達には特別な能力があるかも知れないの。だか…」
「いやいや、特別な能力とか無いですって!」
「女々しい男ね!とっとと戦いなさい!」
「ですから~そんなの無理ですって!」
「分からず屋ね!貴方達が転生して生き返るかも知れないのよ!」
「いや~特にこの世に未練ないですし~幽霊の方が便利っぽいし~」
「もう!そのままだともうすぐその女消えてしまうわよ!貴方も時間の問題よ!」
「え?夏菜のこと?夏菜が消える…俺も消える…」
「そうよ!さっき貴方達キスしようとしてたけど出来なくなるわよ!勿論その先も出来ないわよ!」
「そんな…嫌だ」
「ならさっさと戦いなさい!」
「ちょっと考えさせて。その、そんなすぐに夏菜消えちゃうの?」
「しつこいわね!すぐにも消えるわよ!」
「ほんとに?」
「ほんと」
「痛くしない?」
「そんな強いオークじゃないわよ」
「どうしようかな…」
「いったいどうしたら戦ってくれるの!?」
「なんかこう…戦うメリットってか…」
「じゃあ戦ってくれたら転生させてあげるついでに私が全裸になってあげる」
「え!マジで?」
「マジで」
「う~ん、どうしよっかな」
「このままじゃ会話文だけで終わるから、お願いだから戦って」
「それはまずいな」
「なら戦いなさい!」
「うん。話進まないから戦う。約束忘れないでね」
ほんの少しウダウダしたが、俺は男気を見せた。
二十六歳にもなってやっと童貞捨てれそうだったのに夏菜が消えるなんて我慢できない。正直怖いけど戦うしかない。
「やっとやる気になってくれたようね…」
「誠さん…私なんかのために一人で怪物と戦ってくれるなんて…」
話が進んでホッとした表情のボンテージ女と、瞳を潤ませて俺を見詰める夏菜。
えっ、ちょっと待って。てっきり夏菜と一緒に戦うもんだと思ったんだけど…俺一人で戦うの?
俺の股間は縮みあがった。