プラスとマイナスの作用
ここはゲームの世界。
俺は転生して、魔王になる予定の男になったらしい。
俺が住んでいる村には、ヒロインの女の子もいる。
そのヒロインは後に勇者になる子だ。
モブの主人公を支える予定である。
超絶可愛くて、良い子だ。
できれば敵対したくないので、勇者にならないようにヒロインの邪魔をしたい。
そのため俺は、ヒロイン勇者化イベントをことごとく潰す事にした。
でも、イベントをない事にはできないみたいから、誰かが役割を肩代わりする必要がある。
誰も適任がいないから、俺がやるしかなくなった。
そしたらなぜか俺が勇者になった。
そして、ヒロインが魔王になった。
解せぬ。
とりあえず、世界が終わっては元も子もないので、勇者として活動する。
たくさん人を助けて、多くの人に感謝された。
モブ系主人公にも出会って、旅を支えられて、ヒロインのフラグが消滅した。
そんな事を繰り返したら、魔王城に到着。
魔王となったヒロインと対峙して、戦った。
殺さないように手加減して倒した後、魔王になった理由を聞いてみた。
すると、ヒロインは無茶苦茶承認欲求抱えているタイプだと判明した。
勇者化イベントが起これば、それが良い方向に作用するはずだった。
けれど、起きなかったから変な風に目立とうとしたらしい。
それがヒロインが勇者にならなかった理由だった。
反対に俺が魔王にならなかった理由は、人に対する期待がなかったから。
期待しない事は、見返りを求めない事に繋がった。
だから勇者として活動する時に、それが良い感じに作用したらしい。
しかし、俺が魔王化する時はそれが悪い方に作用し、今の世界に何の期待も抱けないからとりあえず滅ぼそうーーとなるらしい。
世の中、何が作用するか分からないものだった。
ちなみにモブ主人公には世界を救うという目的があった。
ゲームのバッドエンドルートではそれが悪い方に作用して、闇落ちしたモブが他の生き物たちが生きる世界をすくうために、自分勝手な人間は守り切れないからといって、人類滅ぼしてしまうらしい。
勇者になったヒロインが承認欲求こじらせた場合そうなるとか。
俺が勇者になっているこの場合でも、人に期待しないというこっち心の裏側に気づいたら闇落ちしてたかもしれないな。
世の中何がどう作用するか、分からないものだ。