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公式企画参加してみた⑨ なろうラジオ大賞6

君はにゃんこの寝言を聞いた事があるか?

作者: モモル24号


緋野(あけの)君はにゃんこの寝言を聞いた事があるかい?」


 唐突に質問してくる由和(よしかず)先輩。にゃんこは可愛い。だけど今じゃないでしょ、その質問。


 今日は憧れの先輩の卒業式だ。ボクは勇気を出して告白しに来た。伝統(ベタ)の第二ボタンを貰う為に。近くの公園まで散歩しながら、機会を伺う。


「先輩‥‥ベランダに迷い込んだ猫ちゃん、メロメロですね」


 寝言の話は寮の二階、先輩の部屋で飼う迷い猫の話だろう。先輩のルームメイトが猫アレルギーで文句を言っているのを見たことがあるよ。


「猫もさ、お腹見せて寝るし寝言を言うんだぞ」


 照明の当たる屋内プールのように、キラキラした目で当たり前の事を言う先輩。相変わらずマイペースで、野良猫ちゃんが気を許すくらいの安心感があるのだ。


 先輩の額の傷はトレーニングのせいではない。寝ている猫が近づく気配にびっくりして引っ掻いた傷だ。


「夢の中で、何か思い出したんじゃないですか」


「夢を見るのか。それは初耳だ」


 嬉しそうに笑う先輩。変人だけどやっぱ好き。鳥人大会では残念ながら優勝出来なかった。でも先輩達と知恵を出し合って折った紙飛行機はボクの宝だよ。


「来年こそ優勝しろよ。僕は会場を一望出来る観覧車の中から、君達の活躍を見守るよ」


 簡単に達成出来ない事は良くわかっている。それでも鈍い先輩の心遣いは嬉しい。


「その日はお弁当用意しておきますね。カレンダーに忘れずに大会の日を記入しておいて下さいね」


「わかってるさ。緋野君の弁当は旨いからな。今から楽しみだよ」


 はぁ、駄目だ。この人これっぽっちも恋愛感情がない。


「そうだ。君に伝えたい事があるんだった」


 鈍感な先輩からまさか告白? 私はドキリと脈打つ胸を抑えて由和先輩の言葉を待つ。


「僕らが卒業すれば部屋替えになるよね? にゃんこの世話は緋野君に頼むよ」


 ん⋯⋯今、先輩何て言った?


「先輩⋯⋯ボクを誰だと思ってるんですか」


「緋野君だろう」


「あの、ボクは女子寮だから男子寮のにゃんこの世話は出来ませんよ」


「⋯⋯」

「⋯⋯」


「えっ? 君は女の子だったのか? ボクって言っていたから‥‥」


「だと思いました。制服姿で校内で会っても知らんぷりでしたもん」



 ────ボクはそう言うなり先輩の胸ぐらを掴み、ボタンを引き千切った。


「先輩、今までありがとうございました。大学へ進むまで、待っていて下さいよ」


 真っ赤になった先輩。多少は意識はしてくれていたのかな。


 ちなみににゃんこは女子寮で世話する事になったよ。

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― 新着の感想 ―
後輩の真意にも正体にもピンと来ていない鈍感力全開の先輩に意識して貰うには、確かにこれ位の積極的な対応が必要になってくるでしょうね。 自らアウティングするに至った緋野君の恋路が上手く行くと良いですね。 …
読者から一言。 ボクって言っているからBL物  キタ━━━━(゜∀゜)━━━━!!  ってワクワクしてたのに騙された。 騙されたけど面白かったです。
ボタン引き千切り∑(゜Д゜)これは、にゃんこどころじゃないぞ(°▽°)笑 ワクワク!ドキドキ! 先輩は鈍感そうだから、ちょっと強引なくらいボタン引き千切りくらいがちょうどいいのかもですね( ^ω^ )…
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