表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異界諮問官  作者: こっここ
1/9

【第1話】−狩リ−

静かな夜の路地、そこには肉塊が…。

静かな夜の路地。しかし、その静寂は無残にも破られていた。

路地の地面には、信じられない光景が広がっていた。

それは、一度は人だったものが今や肉塊と化して散らばっている光景だ。

皮膚と骨、血と内臓が乱雑に混ざり合い、言葉を失わせるような、生理的な嫌悪感を誘う景色が広がっていた。


周囲には、青白い顔をした警察官たちが慌ただしく動き回り、残酷な現場を確保していた。

それを囲むように集まった人々は口々に囁き、ショックと恐怖、そして奇怪な興味でその光景を見つめていた。


その上を見れば、廃ビルの屋上に誰かが佇んでいた。

その肌は薄紫色で、鱗に覆われており、眼はぐるぐると動き、舌は異様に長かった。

彼の姿は、こちらの世界には存在しない。

人間の形状を持ちながらも、その特徴はまるでカメレオンが人型になったような、異世界人(イ人)だった。


彼はその長い舌を舐め回し、「ああ、この芸術的な破壊力…美しい」と、嗤った。

その目には狂気と自己満足が満ちていた。「これが僕のパフォーマンスだ。君たちはただの材料にすぎない」


「おまえか」と、背後から低い声が響いた。

その声にイ人は一瞬、驚きを隠せなかったがすぐに前進し、振り返り、戦闘態勢に入った。


薄紫色の異形は、皮膚を透明化させた。

彼の姿は夜風に紛れ、あっという間に周囲に溶け込んでしまった。透明化は彼の異能であり、一見するとどこにもいないかのように見える。


男は異形が消えた場所を見つめながら、感覚を研ぎ澄ませた。

背後から忍び寄る気配、そこに一瞬、痕跡が浮かんだ。瞬間、異形の舌が男に向かって飛んできた。


その攻撃は、透明化と舌の双方を組み合わせたものだった。

舌は剣のように鋭く、空気を切り裂いて男に迫った。男はぎりぎりで身をかわした。


しかし、男はひるむことなく、再び応戦の構えをとった。

視界に異形の姿はないが、彼の存在を感じ取っていた。手元にはワイヤーを持っていた。彼の唯一の武器だ。


舌からの次の攻撃が飛んでくる。

男は、その舌が自分を突き刺そうとした瞬間に身を捩り、攻撃を避ける。そして、異形の位置を確認した。


続けて男は、ワイヤーを異形の方向に振りかざした。

ワイヤーは音を立てずに空気を切り裂き、一瞬で透明な身体を縦に切り裂いた。透明な身体が二つに割れ、血が空から噴き出した。


透明化は解け、異形の真の姿が再び姿を現した。

彼は驚きと苦痛で顔を歪め、地上に倒れ込んだ。男は息をついてから、彼の元へ歩み寄り、「終わりだ」と低く呟いた。


通信機から「どうした、コム?」と声が聞こえる。

男は口元にマイクを持っていき、「終わった」と報告した。相手からは一瞬の静寂が流れた後、「了解。待機してろ」と返答があった。


男は街灯の下で、冷たい風を浴びながら静かに待機した。持っていたたばこはに火をつけ、夜空を見つめた。

何か物思いにふけっている顔をした。

「くせぇ。」

男はイ人の血で汚れていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ