第28話 第五種目、騎馬戦
横一列に、六組の騎馬が並んだ。
50メートルほど先の距離に、相対するように、敵団の騎馬も並んでいた。
遂に始まるんだ。
本番が。
練習の成果をみせるんだ。
そして遂にその時はきた……
ピーーーー!!
ホイッスルと同時に
「行くぞ、みんなぁぁぁああああああ!!!!!」
全員が走った。
大声を出しながら、ただ相手の八巻目掛けて走り出す。
そして正面の一騎との激突が始まる。
「ハチマキよこせやぁぁぁぁぁ!!!」
すさまじい声を発しながら、俺目掛けて走ってくる。
そして、すぐにでも手が届きそうな距離まで近づいた。
俺は相手のハチマキを取ろうにも、相手の攻めが激しすぎて、防戦一方となっていた。
「くっ………」
「おいどうしたよ!守ってばっかじゃねえか!」
……そんなにいうなら。
「機会を待って幸一!相手の挑発に乗っちゃだめ!」
……攻撃しそうだった。
シエルの言葉は、いつも俺を助けてくれていた。
ほんと、感謝してる。
だけど、今は……
「っ!幸一、だめだって!」
攻撃をする時なんだ!
「は、バカが!」
そう言うと相手は、俺が攻めた途端に引き、守りを固めた。
「はぁ!?」
俺は叫んだ。
そして同時に、後方からきていた別騎の存在を知った。
いや、というより……
その騎馬は既に、俺の真後ろにいた。
「お疲れ!!」
そう言って相手騎馬の手が、ハチマキへ振り落とされた。
ピーーーーーーー!!
それは何度も聞いた、あの『敗北』宣言だった。