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第22話 本番間近

 あれから何度か練習をし、遂にリハーサルの日を迎えた。

 他の団との初めての対面ということで、緊張が走っていた。

 なにより、他の団の実力がどれほどなのか気になるばかりだな。


 と、そんなことを考えていると早速……


「パンッ!」


 ピストルの音と共に、皆が一斉に走り出す。

 これも競技の一つ、短距離走だ。

 

 競技の順は、短距離走・玉入れ・大縄・綱引き・騎馬戦・リレー、となっている。

 騎馬戦はリレーの前、ほぼ最後で大事な種目だ。

 故に、負けられない。

 最下位なんてとってはならない。

 だから今日、他の団の実力を見極める必要があるんだ……


 そして綱引きが終わり、とうとう騎馬戦となった。


「勝つわよ、あんたたち!」


 リハーサルにも関わらず、シエル達は奮起して叫んでいた。

 まぁ、俺も()()にやりますか……


 一試合に出られるのは五組。

 合図と共に走り出し、正面にいる他団の組とぶつかり合う。

 その間、大将は互いにハチマキを取り合い、取られた瞬間にその組の『敗北』が確定する。

 また、大将が落下した場合の処置は『失格』となる。


 敗北の場合、ハチマキを取ったチームにポイントが入り、両組は場の外に出される。

 失格の場合、ポイントの変動はないが、騎馬は場の外に出され退場扱いとなる。

 つまり人数不利になるということ。


「だから落ちるのだけは気をつけなさい」


 シエルのそんな注意を、正直俺は面倒に感じていた。

 なぜなら、練習を始めた時からずっと、毎日、同じ事を、俺に言ってきていたからだ。

 だから練習でも、そういう意識をもって臨めた。

 ありがたいことだが……


「さすがの幸一でも分かってると思うよ」


 と、ちょうど思っていた事を信木が代弁してくれた。

 気の利くやつだな全く……一言余計だが。


「ふーん、ならいいんだけど」


 舐めきったシエルの態度にムカついたが、今は騎馬戦に集中だ。

 今にもピストルが打たれ、走り出す必要があるもしれないのだから……


「よーい、パンッ!」


 と、やはり開始の合図が鳴った。


 馬の足となる大橋と勝浦の二人は、学年でもトップの運動能力をもつ。

 さすがと言うべきか、スピードは凄まじいものであった。

 だが逆に、そのスピードの抵抗でバランスを崩しそうになったが、なんとか持ち堪える。


 前方には、圧倒的に軽そうなヒョロガリの組がいた。

 

「行くぞ!」


 減速することなく、前の組に突撃した。

 距離にして10メートル。

 俺は相手のハチマキを取るために構えていた。


 一方相手は、周りを何度も見て緊張しているみたいだった。

 これは楽勝だな。


 ハチマキが手に届く距離。

 俺の手が、相手のハチマキを触れかけた瞬間。

 俺は、気がついた。

 

「………え?」


 俺は審判から、『敗北』コールをされていた。


 

 



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