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第20話 体育祭

長期の休みすみません。

これからはしっかりと週1〜3の投稿をこころがけていきます。

 俺が学校を長らく休んでいた間に、体育祭の準備はほとんど終わっていた。

 

 そして、俺の出場する種目もどうやら決められているみたいであった。


「よ、数週間ぶり!」


 俺が、ぼーっと椅子に座っていると、親友である沢山信木が話しかけてきた。

 数週間ぶりとは言っても、こいつとはその間もネットでメッセージのやりとりをしていたし、そんな久しぶりという感じはしなかった。


「お前は、俺と同じ騎馬戦に入れといたぜ!」


 信木は楽しげにそう言い、俺の肩をポンポンと二度叩く。

 煽りなのか?煽りなんだなこの野郎。


 騎馬戦といえば、毎年多くの怪我人を出すにも関わらず廃止にされていない超絶危険な種目として有名である。

 

「騎馬戦は五人だろ?他の三人は誰なんだよ」


 他のメンツによって、俺の命を繋ぎ止めれるかが決まる。


「大橋と勝浦かつうら。それとめちゃくちゃやる気満々だった如月さんだ」


 大橋と勝浦、こいつらはいわゆるカースト上位勢。

 運動神経抜群で、顔も整っているという前代未聞の人間だ。

 少しでいいから才を分けてほしいところだな。


 そして、如月。

 その名前だと忘れてたが、コイツの本名はシエル・ブラッド。

 俺と同じ能力者で、運動神経抜群かつ美少女というオールラウンダーである。


 まぁつまるところ、俺以外の全員が完璧人間だってわけだ。


 予め、言い訳というか予報だけは言っておこう。


「……足引っ張ったら悪い」

「安心しろ、その予感しかしないから」


 少しは俺の頑張りを信じろよ!?

 自分で言っときながらだけども!!


「冗談はさておき、俺は支えでゆるーく行くわ」


 支え。

 騎馬戦には、3つの役がある。

 一つが、メインである「騎」

 二つ目が、サブである「馬」

 基本的には、二人の「馬」が「騎」を担ぐのだが、もう一つ役が実は存在する。

 それが、「支え」

 「支え」は二人いて、騎を担ぐ二人の馬の後方にそれぞれつき、傾かないよう重心となり支えるというものだ。

 まぁ、いてもいなくても誤差はないような役割だ。


「いや、お前は騎だぞ」

「………はぁ!?」


 な、なんでなんでなんで!?


「俺が騎って、どう考えたらそうなる!?」


 相手の鉢巻きを奪うという、騎馬戦において基本であり要となる役。

 そんな役を、俺ができるわけ……

 

「頼む!お前にしかできない役なんだ!」


 できるわけ……


「………しょうがないな。まぁ、俺ほどのカリスマにとっては、騎馬戦なんて余裕よ!」


 と、さっきとは打って変わって自信満々な態度で答える。


「それじゃあ、よろしく頼むぞ!」


 というわけで早速、騎馬戦の練習が始まった。

 俺を乗せるのは四人。

 主軸である中央の支えを、信木のぶき

 大橋、勝浦が左右で俺の足を持ち上げる。

 そして後方でシエルが支えをする。

 完璧な布陣だ。

 

 ……完璧かに思えたその布陣には、一人の足手纏いがいた。


「うおっと……!」

「あっぶね!」

「きついきついって!」


 そんな弱々しい声とともに醜態を晒されているのは……


「いやー、悪い悪い!」


 そう、俺だ。

 頭をかきながら、気にしてなさそうに喋る。

 

「……チッ」


 と一瞬、舌打ちが聞こえたような気がした。


「なぁ、ほんとに早瀬川で大丈夫か?」


 こんな俺で大丈夫かと、心配するやつはまあ多かった。

 俺も、やめれるならやめたいし、その意見には同意だった。

 というかまず、本当に俺がやらなきゃダメだとは思わなかったのだ。

 とんだジョークだと、そう思っていたのに……


「大丈夫、幸一ならいける。すごいやつなんだ、こいつは」


 そんな中、俺を褒め称えるやつがいた。

 それは信木のぶき……信木茂のぶきしげるだった。


 何かといつも、こいつは俺に突っかかってきては俺を褒めてくる。

 真意がどうだろうと、とにかくこいつは……良い奴なんだ。


 だから、真意以前に、俺はこいつの期待に応えなきゃならない。

 こんな俺にも、優しく接してくれるこいつには……なにか返さなきゃならないんだ。


 だから俺は……


「………やらせてくれ、騎馬」


 俺は弱々しくも、勇気をもって、そう言った。


 

 


 


  

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