第17話 解答①
投稿が遅れ、本当にすいません。
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俺は、数字が減った要因の仮説を立てた。
一、傷を見た人間と、能力が共有されてしまうから。
二、数字自体を術者が好き勝手に変えられるから。
三、俺が知らぬ間に5000文字程喋ってしまっていたから。
とはいえ、三の可能性は極めて低いだろう。
俺は結構喋られないように意識していた。
紙に書くなどの工夫も凝らした。
それでこの減り方はさすがにおかしい。
だとすると一かニだ。
一、の可能性は高い。
なにせ、数字が減ったのは長良に相談してからだ。
そして俺はその時丁度、長良に傷を見せてしまっていた。
つまりはそれで、長良が話した文字数分も減るようになってしまった可能性が高いという事だ。
そして、二もない気がする。
二、ができるならとっくに俺は数字を0にされているはずだ。
だから二もない。
とすると、必然的に一、しかなくなる。
一、が傷を見ている間だけの効果ならいいが、ずっと続くのであれば恐怖でしかない。
「どうするべきか……」
俺はひたすらに悩んでいた。
焦りも見え始め、冷静な判断ができなくなっていた。
今すべき事は……何なんだ?
どうすることもできずにいた。
そうしてそのまま、一週間が経過した……
俺はその間、長良に相談する事もなく、ただただ一人で孤独に戦っていた。
いや、本当は逃げているだけなのかもしれない。
俺はきっと、このまま死んだら後悔する。
そして、長良やシエルを恨むだろう。
巻き込みやがって、と。
だけど俺はあいつらに相談しない。
プライドとか、そういうのじゃなく、ただ単に巻き込みたくないだけ。
能力の詳細も分かってないまま、他と会うのはダメだ。
そう、俺は一週間、誰にも会っていなかった。
学校にも登校せず、家ではひたすらにゲームか睡眠の二択。
そんな毎日は、はっきり言って楽しくなかった。
俺は、矛盾していた。
一度言えば終われる。
相談するだけで終われる。
それでも俺は、何もしない。
案外俺は、まだそんなに心を開けていないのかもしれない。
「何、辛気臭い顔してんのよ?」
無心でひたすらゲームをしてた時、突如そんな声が聞こえてきた。
「アンタ、能力は?」
そう言って背後から現れたのは、今や友達といえるであろう女、シエル・ブラッドだった。
「……虚言」
恥ずかしい能力名を、俺は明らかにした。
いや、まずそれ以前に、なんでシエルが俺の家にいるんだ。
「何恥ずかしそうにしてんのよ、その名前をつけたのは、あんたでしょ?」
その通りだった。
「虚言」なんて能力名をつけたのは、俺だ。
自分でつけておきながら、その能力名を恥ずかしく思っている。
なら最初から違う名前にしろよ、という話だ。
「……うるさい」
だが頑固にも俺は、そう弱々しく反論した。
とはいえ、この反論に意味はない。
「……で、何しにきたんだよ」
俺は本題へ移るよう、そう問いかけた。
「もちろん、あんたを連れ戻しに……いや、違うわ」
シエルは、自身の発言を自ら否定した。
その答えはきっと、言い回しの異なるものなのだろう。
「あんたに、自主的に戻ってきてもらいにきた」
予想通り、言い回しの問題だった。
「どっちにしろ、俺を戻しにきたってことじゃんか……」
「いいから着いてきなさい!」
そう言い、シエルは俺の腕を引っ張った。
そしてそのまま、俺は引っ張られるがまま、外へ連れ出された。
◇◇◇
「まずは、その髭をなんとかするわよ!」
そうして連れこられたのは、美容院だった。
「ついでに髪も良くしちゃいなさい!男は身だしなみから大事なのよ!」
そのまま流されるようにして髪を切られ、俺は────
「………何故こうなる」
坊主になった。
「さっぱりしていていいじゃない!結構似合ってるわよ!」
この無責任で無頓着な感じがシエルだ。
久しぶりに連れ回される気分に、俺は浸透していた。
「……それで、本題だけど」
と、急にかしこまった様子で、シエルが話しだした。
「こんなで、あんたを……幸一を戻せるとは思ってない。だから、まずはこの件の真実を知ってもらいにきたの」
この件の真実?
真実もなにも、俺がただ偶然、謎の能力者集団に絡まれて危うい目に遭っているという事実に過ぎない。
それに真実もクソもないと思うが……
「あんたのその胸の傷……能力によるものじゃないの」
「……はぁ?」
どういう事だ。
だってあれは、突然出て、数字とか色々書いてあって、それこそ能力以外の何ものでもないはずだ。
あんな芸当、人間技じゃ不可能だ。
「ありえないだろ。あれは能力じゃなきゃ不可能な芸当だ」
「えぇ、そうよ。でもそれは、幸一の話の中では、でしょ?」
「……どういう事だ?」
理解できない俺に、シエルは真実を告げる。
「私達には見えないの、その傷。いや、それ以前に……そんな傷は元々、無いのよ……」
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