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夢をみた  作者: 桔梗空
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それはただの夢なのか

夢をみた


私の父と知らない女の人が一人の女の子を挟むように並び、女の子と手をつないで歩いている夢を。

女の子は楽しそうに笑い、父もそれにつられて微笑んでいる。

現実では見たことのない父の初めて見る表情。


そもそも父とは滅多に顔を合わせない。

出張が多く家にあまりいないし、出張が無くても父は帰りが遅く朝が早い。

私が生まれて今まで、父と一緒に外出したのは仕事関連のときだけである。

父が私に向ける表情は嫌悪するように睨む表情のみだ。


初めて見る父の穏やかな顔は、夢の中だが吐き気を感じた。


あの女性は誰なのだろうか。

あの女の子は誰なのだろうか。

嫌な予感がした。

女の子が父に似ている気がした。それに、瞳の色が父と一緒だった。

夢はただの夢である。それでも何かを感じた私は夢だと割り切ることができなかった。

調査した結果、私の父には愛人がおり、二人の間には私の一つ下の娘がいるらしい

写真をみるとその愛人と娘は夢でみた二人であることが確認できた。

相手の女性は父の高校時代の同級生で、二人は一年間ほど交際関係であった。

別れた理由は私の母と父との婚約が決まったから。その際、父は両親に交際している人がいることを伝えたが反対され婚約が進んでしまったらしい。

・・・しかし、この二人、表向きは別れたふりをして裏でコソコソと会っていたのだ。

正確にいうと別れてから連絡も取らず、女性は普段通りに過ごし、父は婚約者と仲良くしているように振舞っていた。その一年後、父の両親が二人の関係が完全に終わったと思い父の監視をやめた。それに気づいた父は少しずつ女性と会うようにし始めた。その行動はバレないようにとそれはそれは慎重で計画的なものであった。

慎重な父は私が調査をしていることには気づいていない。

きっと長らく愛する人との幸せな生活に何も問題が起きていないから警戒心が緩んでいるのだ。

恐らく、現在の父と女性の関係に気づいているのは自分だけだろう。

そして現在の二人は完全に夫婦、いや、家族である。私と母よりも。

報告書には、出張の日数を偽り、その間愛人親子のために買ったマンションで一緒に暮らしていたり、愛人親子に贈り物を常にしていたりということが書かれてある。

父が家にいることは一年間の半分ほど。しかし、家に帰ってくるが顔を合わせることはそれよりも少なく、会話も業務連絡のようなもののみ。


贈り物も父からもらったという記憶は私にはない。

母も結婚してからは父からもらったことはないだろう。

一体私たち親子と愛人親子、どちらが父の家族なのかわからない。

まぁ、父の中では愛人親子が本当の家族なのだろうけど。


父の不倫調査を祖父母と母に報告するか迷ったが、考えた結果報告しなかった。

現在父が愛人親子に使っているお金は父が稼いで父が自由に扱える分のみなので家系・会社そして私自身に不利益を及ぼしているわけではない。


だから、「今は」放っておく。


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