第3話 恐竜と細胞
敗者室 そこでは負けた者が檻へと収容されており、そこには壊染と全王に生き返らされまだ眠っている怪間がいた。空田と立花が壊染と話していた。
「息巻いてあの化け物に挑むから負けるんだ」
「感情のままに動いた結果だな」
「……」
空田は立花に言う。
「それと……バレてないよな?」
「ああ。我々の目的のためにもこの計画は密かにやる他ない。Bブロックの生命には勝ってもらわなくては」
「『リーク情報』が本当なら全王を倒せるかもしれない」
「……試合が始まる」
「十戦士のNo.3 激歴竜人……強いぞヤツは」
「だがもう一人はアレだ。この勝負わからないぞ」
五王VIP席では憎怒が言う。
「実物ですね。害虫はどれほどまでに抵抗するのか……」
「あの怪物を倒せるとは到底思えんがな」
「始まります」
音無が会場に立って言う。
《さぁ!始まりました!第3試合!人類の始まりはアダムとイヴと言われておりますが……我々は原始人から進化し今を生きている!そして!古代のモンスターがこの世界へと蘇った!!》
東門から現れたのは2メートルある短パン一丁の大男であった。
《最凶の古代の生物といえば何か?ティラノサウルス?否!メガロドン?否!それは原始人お呼ばれていた人間?否!否!否!この漢こそが人類史上獰猛で最凶の生物!》
「グルル……グオォォォ‼︎】
すると大男は身体が変形し蜥蜴の皮にティラノサウルスのような頭をし、手と足の大きい生き物へとなった。
《五王に仕える十戦士のNo.3!!狂戦士!!恐竜人間こと!恐竜王 激歴竜人!!》
【グルル……喰い殺す!!クソ種族共!!】
茨城王国 恐竜王 激歴竜人(27)
《そして!!古代の遺伝子に立ち向かうは!医学界にて君臨し、数多くの人間の命を救い!日本…否!全世界で病人達の希望と呼ばれたこの男だ!!》
西門から現れる女顔で白衣を着た男が白衣のポケットに手を突っ込み現れた。
《彼は認知症の母親を救うべく…能力者の血を身体に取り込んだことにより…能力者へと生まれ変わった。希望と呼ばれるようになったのは人を救ったからか?否!彼は我ら人類の最終進化系と呼ばれているから他にない!!人類の頂点に立つ漢!!細胞王 細末怜!!》
石川県 細胞王 細末怜(31)
「ほう。コイツが激歴竜人……古代の遺伝子か。これは医学の役に立ちそうだな……なぁ!この試合が終わったら細胞と血……あと脳のサンプルも取らせてくれ!」
【喰い殺す!!】
「ダメだ…頭の中も蜥蜴並だ」
《古代の遺伝子対遺伝子の最終進化系!旧世代と新世代!!目の離せない戦いが今幕を開ける!!第3試合開始!!》
ゴングがなると同時に激歴は勢いよく走り出し細末に攻撃を仕掛けると細末は激歴の拳に向かって拳を振るう。しかしパワー負けして右腕が折れてしまった。細末は一旦下がり腕の様子を見る。
「ありゃ…こりゃ骨砕けたな」
【喰殺!!】
「念力」
激歴が細末を食い殺そうとするが念力により喰い殺すことが出来ずに逆に激歴は大きく口を開け始めた。
【がっ!?がが!!】
「大したことないな……お前を殺して次の全王と戦田の戦いの研究をしないといけないんだよ……悪く思うなよ」
実況席の実況と解説は言う。
《なんだ!?怒り狂う激歴選手の動きが止まった!?》
《細末選手の能力は細胞進化》
細末怜 能力 細胞進化
詳細 人間の身体に存在する全ての細胞を進化させることができる。
《細胞進化?何もしていないのに激歴選手の動きを止めているけど…》
《人間の脳は普段から10%ほどしか使われていない。だが彼は自らの脳を進化させたことによりそれを100%引き出すことができるのです》
《なるほど……だから彼は人類の最終進化系と呼ばれるようになったのか》
《それだけじゃない。本来なら脳だけ進化させても他の身体が進化していなかったら脳の負担に耐えられないと聞いたことがあります。それを知って細末選手は彼の身体の中に存在する全ての細胞を進化させて耐えられるようになった》
《なるほど……》
細末は激歴の口を裂けるまで念力を使っているが細末は何かに気づき大声で言う。
「みんな!!耳を塞げ!!」
と細末は指示をして細末も耳を塞ぐと激歴は天井目掛けて大声で叫び出す。
【ギャアアアアアアアア!!】
細末は吹き飛び天井もあまりの声量の力に耐えられずに空の彼方へと吹き飛んだ。
人々はあまりの声量に鼓膜が破れた者もいたがVIP席では全王と殺魔だけは平然としていた。
「細末のヤツ…よく気づいた」
「おそらく脳内で予測して気づいたのでしょう。憎怒、大丈夫か?」
憎怒は身体から赤黒い肉片のような物を出し耳を塞いでいた。よく見ると小さな口がいくつもあった。
【憎い!憎いよ!】
【なんでこんな……】
【殺したい…殺したい!】
その小さな口から老若男女の声を出しており、そんな中で憎怒は「大丈夫です」と応えるが殺魔は目を細めて思う。
大丈夫か……相変わらず背筋が凍る能力だ。本当に19歳か?どんなことされたらこんな憎しみを背負えるんだ?
「細末はまだ3の能力を知らないようですね」
「いや、今知ったみたいだぞ」
細末は起き上がり笑顔で言う。
「厄介だな……能力は怒りに関係しているなぁ」コイツ……みるみる身体がデカくなってやがる。
激歴の体長は4メートルを超えていた。
【ぶち殺す!人間の味方は敵!!グオォォォ!!】
《だ、大丈夫か?音無さんは無事みたいだけど……》
《え、ええ……身体が大きくなってますね。激歴選手は……噂通りの能力なら彼の能力は強竜》
激歴竜人 能力 強竜
詳細 ストレスや攻撃を受けると防御と攻撃力が上がり、怒りを覚えると身体が大きくなる。
【人間諸共ぶち殺してやる!!】
激歴竜人の過去
6650万年前 恐竜のいた時代に彼はいた。多くの仲間と共に。
「あっちに食べ物があるよ!」
「リュー!あっち!」
当時彼は仲間からリューと呼ばれており、仲間からも信頼されていた。そして彼のいた部族はある物を信仰していた。それは神でも先代の長でもなく。
台座の前に恐竜の骨と果物の食べかすを綺麗に並べて族長の老人が言う。
「ワシらをこの地とこれらの恵みをお与え下さった。この自然と海と大陸全てに感謝いたします。テラ様」
それは地球そのものであった。当時リューのいた部族の名はテラ族と呼ばれ、地球のことをテラと呼んでいたのだ。彼らは地球を愛し、自然を大切にしていた。
「リューが狩りに出てから俺ら楽だぜ」
「怪我人も出ないしな!」
「何言ってんだよ!みんなで倒したんだからみんなのおかげだ!俺……ずっとここに暮らしたい。この優しい自然に囲まれてみんなとずっと」
当時の激歴はとても幸せだった。当時は心から愛した妻と子どももいた。しかし……全てを奪う出来事が起きてしまった。そう、隕石により全ての生物が絶滅したのだ。だが……激歴だけは生きていた。
1年前 世界中であるニュースが話題を呼んだ。茨城県の地下深くで氷漬けにされた原始人がいたが地下の温度が上がったことにより自然解凍され生きた状態で発見されたのだ。
研究所にて 多くの研究者に囲まれており、そんな中部屋の隅っこで丸くなり考え込む。
誰だコイツらは……何を話している?コイツらの言語がわからない……他所の大陸から来た部族か?俺の家族は?仲間はどうなった?ここはどこだ?
そして多くの実験を受けるも彼は暴れ始めた。狭い部屋に24時間閉じ込められることに耐えられなくなったのだ。
「博士!暴れ始めました!」
「どうやら我々と同じでストレスも感じられるようだね……世間に彼の姿を見せるついでだ。外に出してあげよう」
服を着させられ、外へと連れ出すとマスコミなどが多くカメラを向けていた。
「出てきました!恐竜のいた時代に存在していたと言われていたテラ族です!」
「我々の言葉がわかりますか!?」
激歴は戸惑うも博士が言う。
「わかるかい?周りを見てご覧?これが今の私たちの住む世界だよ」
激歴は周りを見ると立ち並ぶビルが目に入りゆっくりと前へ行くと博士も隣を歩き話し続ける。
「人類は最初は草や石を積んで暮らしていたが……文明の進化でここまで築き上げた。君にとっては馴れない光景と環境だろうが……時期になれ」
「う、ああ……ああああ!ああああ!!」
「おい!どうした?」
激歴は膝を突き泣き出し叫び出した。
激歴はその光景を見てすぐに理解した。大気に漂う排気ガスと二酸化炭素の量。この場にあるはずの木と草地。地球が苦しんでいることに。テラ族である彼にとっては許されなかった。
激歴は急に走り出し博士達も急いで追いかける。博士達を撒き、まだ走り続けるが道中で転び起き上ろうとすると若いカップルが目の前に現れた。
「なんだコイツ?」
「あ!ニュースで見た原始人じゃない!ヤッバ!SNSに載せようっと!」
女の方は写真を撮り、男の方はタバコを吸っていた。それを見た激歴は男の脚を掴み、泣きながら原始人の言語で言う。
「なんで!なんで大地の恵みを壊せるんだ!」
「あ!?なんだよコイツ!」
「応えろ!!なんでだ!?」
「何言ってんのかわかんねぇよ!!」
男が激歴を蹴り飛ばすとタバコを投げつけて言う。
「知能もねぇくせに喋ってんじゃねぇよ!タコ!行くぞ……」
「ちょっと待って!まだ写真撮れてないから!」
激歴は捨てられたタバコを見て思う。
ああ……ここは俺の知っているテラじゃない……コイツらが壊したんだ……「……許……さない」
「撮れた!じゃあ行こっか!」
すると激歴は女の頭を掴み強く握ると女の頭部から血が噴き出た。女は声にならないほどの叫び声をあげると男は激歴を殴りかかるも効いていない様子だった。
「クソ!離せって!」
「許さない!俺たちを生かしてくれた大地の恵みを……ここまで壊した人間を!!」
すると激歴の姿が恐竜人間の姿へと変わり女の頭を握り潰すとその返り血が顔に付いた。男はその姿を見て青ざめて失禁すると涙目で言う。
「の、能力者?」ドチャ
激歴は1発のパンチで男を殴り殺すと周りが言う。
「の、能力者だ!」
「に、逃げろおぉぉぉ!!」
激歴は人々を殺し始めた。すると博士達が現れて博士が戸惑うも言う。
「こ、古代の人間が……能力者!?」
【許さない!!テラのために皆殺しだぁぁぁ!!】
「博士!お逃げください!撃て!撃て!」
その後博士達がどうなったのかは言うまでない。場面は戻り細末の攻撃を受けながらも激歴は攻撃し続けた。
【グオォォォ!!】
細末は一旦下がり受けた傷を治した。
「ふぅーー。これ以上攻撃をすると……俺がやられる」
【なぜ傷治る!?お前!限と同じ!】
「俺をあんな化け物と一緒にすんな」
【限化け物じゃない!化け物人間!テラ壊すヤツ!敵!】
「テラ?……ああ。地球のことか……否定できないなぁ。まぁそれでもなんとかしようと人間達は考えてんだよ。許してやってくれ」
【ぶち殺すぅぅぅ!!】
激歴は突進するも細末は跳び上がり背後に回ろうとする。
「悪いけど軽く気絶して…」
【ディノテール!!】
激歴の硬い尻尾が細末を地面へと叩き落とした。そして激歴は細末を地面がめり込むほど殴り続けた。
【死ね!死ね!死ね!】
《まるで子どもの喧嘩のように問答無用で殴り続ける!!このままじゃ細末は死んでしまう!!》
【死ねぇぇぇぇ!!】
「パイロキネシス」
すると激歴は燃え上がった。そして細末は飛び上がった。
「超腕力!!」
そして激歴を殴り飛ばして言う。
「簡単に死ねって言うなよ……人の命ってんのは重いんだ」
激歴は起き上がり言う。
【……人間ダメ……テラ様いいのか?死んでも】
「……人間がいなくなっても今の文明じゃ元には戻せない。だから今を生きるしかないんだ。この地球が無くならない限り……人々は生き続ける」
【なぜ人間助ける!?人間!テラ様を傷つけ!人間!絶滅進めている!!】
「……なぜ?世間に疎いな……俺の格好見てわからないか?俺は医者だ」
右手を胸に当てて言う。
「救える命があるからこそ救うんだよ。医者なんだから」
【い……しゃ?】
その言葉に人々は感謝し、涙を流した。人類のために戦ってくれる存在に対して。
《かっ、カッコいい!!なんだよアイツ!!発言がイケメンじゃねぇか!?》
《噂通りの人物のようですね。人の命を救うためならどんな手段も選ばない男。細末怜》
細末怜の過去 3年前
「いらっしゃいませ!」
彼は推薦でトップの成績で医大生になり支援を受けながらバイトと学業を両立していた。その理由は細末が20歳の時に母親が認知症を患ったかはである。
「ただいま」
「怜!こんな時間までどこに言ってたの!?」
「バイトだよ」
「バイト?あなた中学生でしょ!?冗談なら!」
「俺は大学生だよ……母さん。ごめんね帰りが遅くなって」
「え?な、何言ってるの?大学生?そんなはずは……」
年々母親の記憶がなくなりつつあった。それを恐れて細末は日々休むまもなく認知症を調べ上げながら脳外科医を目指して勉学に励んでいた。そんなある日大学にある死体が運ばれたとの情報が入り、彼は無断でその死体のサンプルを盗んだ。
自宅へ帰りサンプルで能力を特定した。
「肉体強化……母さんに投与すれば……肉体だけじゃ認知症は治らないか……なら組織その物を帰ればいい」
健康な人間のサンプルを手に入れ肉体強化のサンプルと混ぜ、さまざまな方法で実験した。3年が経過したある日。遂に完成した。細胞進化の細胞へとそれを自分の頭に注入すると気絶して倒れ込む。目を覚ますと見る世界がまるで違っていた。身体を起こして考える。
……実験は成功。
「うわぁぁぁぁ!!」
すると母親が泣いているのに気づき、母親がいる部屋へ向かった。すると泣きじゃくる母親はおねしょをしていたのだ。
「ママぁぁぁ!!ああああ!!」
「……母さん」
細末は自分の母親を優しく抱きしめて頭に触れると母親は泣くのをやめて落ち着き始めた。
「ひっぐ……あれ?私なんで……泣いてるの?怜?どうし……あれ?あれ!?これって……この歳で?」
「母さん……おかえり」
「え?どうしたの?なんで……泣いてるの?」
「思い出してくれてよかった。俺が誰か……わかるかい?」
彼は能力者となり、母親の脳を進化させて認知症を治したのだ。その後研究資料を見て考える。
本来ならこれを教授に提出しなくてはならないが……悪用する者が必ず現れる。悪用されるくらいなら俺がこの力を使って全人類の病を治す。
彼は能力者として生き、医者としての道を歩んだ。彼は全ての癌を飲み薬で完治する薬を開発し、白血病を1週間の点滴で治す薬物を開発し、さらにはどんなウイルスにも対応できる新薬を開発。世界中が彼に注目した。
とある大学の講義にて
「白血球の10倍の働きをする薬をエボラ感染患者に接種すれば1日で治ります。その反面危険も付き纏い24時間体制の監視が必要になるのです。従って––」
大学生達がヒソヒソと話をする。
「なぁ何言ってんのかわかるか?」
「薬の原料と構成と式でわからなくなった」
「でもよ…後ろを見ろよ」
「あの人達は……」
「マジかよ!」
後ろの席で必死にメモとノート取っている年配の男女や世界各国の外国人、さらには医学界のトップまでもが授業に参加していた。
「アレはアメリカでゴッドハンドって呼ばれている。アレックス・レスキュー。右が中国で多くの患者を救った救・陽。しかも日本医学界の天才と呼ばれた天医正俊!」
「世界でも一眼を置かれた医学の神々と呼ばれた人達だ!」
「22歳で一足先に医者になったエリートって聞いたけど…」
「俺たちも負けてられないな」
「勝てる気がしないが」
「勝てる勝てないかじゃない。人を救えるか救えないかだ。ここにいるみんなは俺と同じのはず。助けられる命がある限り、我々医者は命を投げ出さない」
そう笑顔で大学生達は申し訳なさそうに頷く。その後講義は終わり教授や世界各国の医者達が笑顔で話しかけてきた。
「実に素晴らしい講義だったよ!」
「人類の救世主とはよく言ったものだ!」
「先生!後でウイルス研究施設へ足を運んではいただけないでしょうか!?」
「いえ!それより薬学研究所へ!」
「うん。スケジュールを合わせてあとでそちらへ赴きます」
「先生!あの……実はある患者について相談ごとが……」
女性の医者が自信の無さそうに手を上げて言うと細末は顔色を変えて言う。
「病名は?」
「自己貪食空胞性ミオパチーの患者で……時期に……」
「わかった。患者の元へ」
「え?今ですか!?」
「はい」
するとスーツを着た男達が焦りの表情で言う。
「細末先生!何をおっしゃっておいでですか!?」
「これから王の脳の腫瘍摘出手術ですよ!?」
「5時間後にそちらへ伺いますので、すぐに行きましょう。詳細は移動しながら」
「は、はい……」
「貴様!王より一般市民を優先する気か!?」
「能力者の分際で!」
「関係ない。王も救うし、一般人も救う。さっきも言ったが救える命が目の前にある以上見捨てるつもりはないし。命に価値なんてない。みんな平等だ」
その言葉にスーツの男達は黙り込み医者達は笑顔になり、相談してきた女性は頬を赤く染めた。
彼は医学界の神として医者達に尊敬され、人々に信頼されてきた。
観客席では医者達が鼓膜が破れた者達の治療をしていた。
「鼓膜の修復作業完了です」
「よし。次だ!細末先生の鼓膜回復式に使う道具はまだある!」
その声を聞きながら細末は言う。
「後ろの医者達も同じだ。人を救いたいから医者になった。なった理由はどうであれ……医者は人を救う。人一人に役目を持ちながらな。俺もそうさ……俺は細胞王だからこそ!お前を倒す!ついでにサンプルを手に入れて医学の役に立ってもらうぞ!」
【グルル……グオォォォ!!】
細末は脚の筋肉を増幅させて目に見えない速さで激歴の溝にパンチを入れた。
「猪突猛進!!」
【グッ!?ディノブレイク】
細末は激歴の攻撃を避けて回し蹴りをすると激歴は吹き飛んだ。細末は眉間を寄せて言う。
「お前の仲間は死に、時代は新しくなる。それを受け入れろよ。テラ族はもういない!!お前らの考えは過去の遺物だ!!」
【グルル!!テラ族バカにするな!!】
激歴は更に大きくなり7メートルになった。
《何やってんだ!?なんでわざと怒らしてんだよ!!勝つ気あんのか!?コラァ!!》
《……》
【お前の言う通り!!仲間いない!!でも限がいる!!】
激歴の過去 茨城県で暴れ終わり息を荒くしていた激歴。
【グルル……グルル……】
「へぇ。お前が原始人か。野蛮人だな」
振り返るとそこにいたのは憎怒であった。
【グルル!!】
「迎えに来た。全王限様がお呼びだ。着いてこい。来なければ無理矢理連れて行く」
【グオォォォォォォォ!!】
場面は変わり全王のいる場所へそこに無傷の憎怒が両手両足のない激歴を運んで現れた。全王はため息を吐いて言う。
「俺は連れて来いと言ったんだ。半殺しにして連れて来いとは一言も言っていない」
「無傷で連れて来いと?流石にそれは俺が疲れます。2がうるさいので6を連れてまたスカウトに行ってきます」
そう言って立ち去ると全王は呆れる。そして激歴の身体を元に戻して言う。
「大丈夫か?悪いな。ウチの憎怒が」
【グオォォォ!!】
激歴は殴ろうとするが全王の目を見て怯え始めた。
【グルル……】なんだコイツ!?人じゃない!?なんだ!?
すると全王は笑顔で原始人の言語で話す。
「初めまして…この世界の王になる予定の全王限だ」
【……お前言語を話せるのか?】
「この言語で話すのは初めてだがな……それより外に出て思ったろ?自分にはこの世界は住みにくいと」
【……テラ様が泣いておられる】
「そりゃあ人間が森林伐採や排気ガスを撒き散らしてるんだから泣くのは当然だ。いわば人類は地球……じゃなかった。テラを苦しめる寄生虫だ」
【寄生虫?】
「言葉を選ぶのが難しいなぁ……ようは病だ。俺は人間達を支配下に置きたい」
【人間を生かすつもりか?】
「なぁ。このまま滅ぼしてもいいのか?ダメだよな?悪いことをしたらその分正さないと……テラを壊した分は直さないと……そうすればテラもきっと泣くのを止めるだろ?」
【……人間を生かすことで……テラは直る?】
「まずは地球を壊している原因を排除する。ついでに人間の選別だ。生かしてもいい人間と生かさなくていい人間。全世界の人間の……8割殺して残りの2割を奴隷にする。二酸化炭素が増えることも減るだろ?なぁ……えっと名前は?」
【リューだ】
「リュー……これからは俺達の仲間だ。これからは激歴竜人と名乗れ、一緒にテラを直そうぜ!そして俺やお前、みんなの理想の世界にするんだ!」
【テラ様を直す…理想の世界…取り戻せる…もう一度……あの優しい世界へと】
意気投合した激歴は全王と五王の忠実なる部下へとなった。そして細末に攻撃を仕掛けながら考える。
コイツを殺してもっと限に信頼してもらう!!
すると細末は激歴の拳をいなしそのままカウンターを与えた。激歴は一旦下がると口から何か青いエネルギーを集めていた。
「!?」
【ディノブレス!!】
そのまま近距離で細末に当てると細末の身体は半壊していた。
【終わりだ!!俺の勝ちだ!!】
「再生細胞……鉄皮!!」
すると一瞬で元通りになり全身の皮膚が鉄のような色へとなり言う。
「もはや恐竜じゃなくてドラゴンだな……だがお前じゃ俺は倒せない。原始人なんかに」
【グルルオオオオ!!】
すると激歴の身体は体長10メートルに達した。
【俺本気にした!!知らん!デカいディノブレスを喰らわせてやる!!】
「フッ。単純な頭……そういうところは猿と一緒だな」
そう言うと地面に手を突っ込む細末。激歴は再び青いエネルギーを集めた。
【ディノ!!】
「ちゃぶ台返し!!」
そのままくり抜いた地面を口の中へと押し込むと念力で押さえ込んだ。
【んんん!!】
「膨大なエネルギーが口を塞いだ状態で放つとどうなるのか?」
すると激歴の頭が爆発し、そのまま地面へ倒れ込んだ。煙が消えると頭が破裂していた。
「人の命の重さは変わらない。例え君でもね……でも人を殺すのは許さない」
《き、決まったぁぁぁぁ!!勝者 細末怜!!》
第3試合 勝者 細胞王 細末怜
試合時間 10分27秒
決め手 ちゃぶ台返し
VIP席で全王が口に出す。
「所詮は蜥蜴か……No.3がこの程度ならNo.4からも期待できないな」
「期待していいのは俺と2だけですよ。次の試合は……4でしたね。でもって喧嘩を売った1人。具現王」
「ああ。だが魂の弱点はヤツには知られていない。必ず勝ってもらう」