表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/4

第2話 戦争と略奪

 大阪にある。とあるお好み焼き屋である一家がお好み焼きを食べていた。すると1人の片腕のない男が言う。

「やはり五王は強い……倒せるのか?零?」

Dブロック

無能王 無位零


 すると無位は笑顔で言う。

「わからないけど……負けない」

「……そうか。でも無理はするな。ヤバいと思ったらすぐに降参しろ」

 そう言ったのは先程心配していた。父親の無位隆宗。その妻の無位麗花は言う。

「大丈夫。零は今まで頑張って来たんだもの……それに相手は全員能力者だし」

 そして長女 花と次女 空、三女 凛、四女 叶が順番に言う。

「そうそう。今まで零は頑張っていたことは私達が1番知ってる」

「きっと五王も倒せるって!」

「うん!お兄ちゃん強いもん!」

「絶対負けないから!」

「みんな……うん、ありがとう」


 そして場面は五王のいるVIP席に移る。

「お疲れ様です。限様」

「おう!殺魔!出迎えご苦労!いやぁ……スッキリした!最後はアイツ抵抗もしなかったぜ。鉄松のおかげだな。アイツは?」

「控室でモルモットいじりです。試合の状況は耳にしているそうですが」

「アイツらしいな。次は誰の試合だっけ?」

「戦争王と略奪王です」

「ああ……俺を殺したがっているバカと欲しいものは盗む間抜け野郎か……どちらが負けても俺たちには利しかないな」

「ご最もです。ドームはどうなされますか?」

「あっ。忘れてた」パチン

 指を鳴らすと元通りに戻った。人々は驚くが音無が会場の真ん中へ達言う。

《さぁまだ試合は終わってねぇぞ‼︎戦いの場に終わりなんかねぇ‼︎命を奪い合うこの場所で……現れる略奪者は……この男だ‼︎》

 西門から現れる全身黒い衣装に黒いマントに仮面を身につけた男が現れた。

《彼はさまざまな者を奪ってきた。宝石、金……人の命。彼はなぜ……盗み殺しを続けたのか?そんなことはどうでもいい!とにかくコイツはここに立つべき男だ‼︎相手の命を奪うためにここに君臨した‼︎略奪王 怪間蓮‼︎》

鳥取共和国 略奪王 怪間蓮(37)


「さて……やるか」

《そして‼︎略奪する悪に対するは戦争の英雄であるこの男だ‼︎》

 東門から特殊部隊の制服を着ており、両手でライトマシンガンを持って現れた。

《戦場に降り立った彼の目的は……戦争を終わらせる事。例えそのターゲットが誰であろうがたった一人で戦場を駆け抜け任務をこなす‼︎任務成功率100%‼︎大分国は彼に対して尊敬の意を込め戦争の神と呼んだ‼︎戦争王 戦田紡‼︎》

大分国 戦争王 戦田紡(22)


 戦田の右耳についてあるインカムから男性の声が流れる。

〈対戦相手はわかっているな?気をつけろ。相手は略奪王だ。我々はいつでもサポートに回れるからな〉

「了解した。任務を遂行する……」

《泥棒対軍人‼︎狡賢さと戦闘技術‼︎目が離せない‼︎第2試合開始‼︎》

 ゴングが鳴り響くと戦田は銃を向けた。すると怪間が笑顔で言う。

「撃ってもいいけどさ……周りは一般市民だよ?弾が当たったら大変だぁ……」

「雨弾」

 すると真上にライトマシンガンを乱射する。怪間は笑顔になるが予感が反応して言う。

「スティール‼︎」パッ

 ガッガッガッガッ

 怪間の真上にマンホールが現れ、それを使いガードをした。実況席では2人が解説する。

《怪間はどこからかマンホールを出した‼︎しかしなぜ銃弾が雨のように降ったんだ⁉︎ツッコミどころが多いぜ‼︎》

《怪間は目印や目をつけた物を盗むことができます。そして戦田紡の能力は……アップグレード》

戦田紡 能力 アップグレード

詳細 触れた武器や乗り物を100年先の進化した武器や乗り物へとアップグレードすることができる。

《あのライトマシンガンは追尾機能の持った銃弾へとアップグレードしているようですね。例え敵の反対方向へ乱射しても必ず敵の方角へと銃弾が向かうようになっています》

《マジでか⁉︎最強じゃねぇか‼︎》

《いや、それは怪間も同じです》

 怪間はマンホールを戦田に投げるがしゃがんで避けて銃をリロードしようとするが手が止まった。

 あれ?これのリロードの仕方って……。

「スティール!」

 遠くからライトマシンガンを奪い取り5秒間戦田に向けている間にリロードをした。そして発砲する。

「チッ。ナノシールド」

 腕から粒状のナノボットが数億個現れ2mの盾を形成して身を守った。

《おおっとギリギリ防がれた!しかし戦田がリロードミスするなんて少しおっちょこちょいだな!》

《違う。怪間を盗んだのです。ライトマシンガンに関する知識を》

《盗んだ?知識を?いつ?》

《さっきです》

怪間蓮 能力 盗み

詳細 1km以内にある物に目を付けるといつでも盗める。また目の前にいる対象者の持っている知識を盗む。ただし知識は一つだけしか盗めず他の知識を盗むには知識を他人に移植する必要がある。


〈リーダー。いつでも怪間を殺せます〉

「待機」ここでアイツらを使うわけにはいかない。ヤツらにバレる。問題はコイツをどう倒すかだ。殺してもいいなら殺すが…能力者は一筋縄ではいかない。戦争で散々思い知ったからな。


戦田紡の過去 3年前


 銃声が響く中で1人の男が地面に伏せて身を潜めていた。

「ターゲットの植田軍曹を発見。これより始末する」

〈司令室も破壊しろ。偵察兵が今報告しているはずだ〉

「了解……」

 一発の銃弾が司令室の出入り口へと入りそのまま奥へと進むと植田軍曹に命中。

「軍曹!?」

「敵襲だ!」

「ん?おい。軍曹の頭から煙が……」

 一方戦田は武器をしまい鞄を背負って言う。

「目標を始末。司令室も破壊した」

 すると司令室が大爆発した。

〈任務達成だ。すぐに帰還しろ〉

「了解した」

 どんな時も一人で任務を遂行した。もちろん6人のサポーターもいた。

「みんな今回の任務は戦場でターゲット9人の始末だ。内能力者が2人。ソイツらを始末する」

「能力者かぁ……骨が折れそうだな」

「俺たちはアンタに従うぜ。戦田」

「サポートは任せろ」

 彼らは戦田と同じ戦争孤児で親が戦争で亡くなった。この戦争の引き金である五王を殺したがっていたのだ。

 五王の一人 鉄松に負けてしまった戦田。

「ハァ…ハァ…何なんだよ……俺の武器を簡単に壊すなんて」

「それはこっちのセリフだ。そんな改造銃で俺に勝てると本気で思ったのか?反吐が出る」

「このぉ……」

「所詮は弱者……お前ごときが俺に勝てるはずもないだろう?」

「……俺を殺すのか?」

「相手にもならないから生かす。能力者は極力殺したくない」

 戦田は銃を構えようとするが鉄松の腕がブレード化してそのまま戦田の右手首を切り落としてしまう。

「グアァァ‼︎」

「お前なら義手をアップグレードできるだろ?せいぜい九州地方が占拠されるのを黙って見ているのだな」

 そう言って立ち去った。戦田は布で止血を始めて仲間に話す。

「みんな……無事か?おい……」

「戦田……井上の神田が……」

「クソ!……このままじゃ……やむ終えない。武器を横流しするぞ」

「そんなことをすれば国同士の争いが過激化するぞ!!」

「あのクソに渡すよりかはマシだ。やるぞ」

 その後アップグレードした武器を国々へ横流しし、九州地方は鉄松に占拠されずに済んだ。それどころか武器により戦争自体を止めることができたのだ。その結果 戦田紡は五王に目をつけられ、この大会で殺害リストに入ってしまったのだ。

 場面はVIP席にいる全王へと変わり全王は考える。

 アイツのせいで人間達を殺すのに苦労した。武器の物流は拳に止めさせたがそれでも九州は落ち難いかもしれない。アイツの存在は俺たちにとって害悪。殺す必要がある。

 戦田はガトリングガンを組み立ててそのままナノシールドの中央部分に押し込むとガトリングガンが剥き出しそのまま連射撃した。怪間は走り避けながらライトマシンガンを撃つが盾により防がれる。

《手も足もでねぇ!!これはガトリングガンを持っている戦田が有利か!?》

 すると怪間はフックの付いた銃を取り出して天井へ向けて放つとそのまま上へと登っていった。戦田は驚くが怪間はライトマシンガンを10発撃つと弾切れになった。しかしその10発が戦田に命中するも顔を両腕でガードしていたため即死にならずに済んだが、シールドごと後ろへと倒れ込む。

〈戦田!大丈夫か!?〉

「くっ…俺の防弾スーツを……俺の銃で破壊しやがった……許さなぇ……」

 怪間はナイフを出して戦田に乗って突き出すがそれを戦田がナイフの刃の部分を掴んで止める。

「グッ!」

「悪いが……死んでくれ……俺は息子を助けたいんだ」


怪間の過去 5年前

「ヤツを殺せ!我が国の機密文書を盗みやがった!」

 彼は戦争時代に機密文書や人の命を盗んできた。彼は自分の国のためではなく。ただ金欲しさに人間に従ったそれだけのことで人を殺め盗みを働き続けたのだ。

 そしてある一家の家に忍び込みリビングへ向かうとそこは血の海へと化していた。

 俺の他にコイツらの命を狙った者がいたのか。

「うっ……ああ……お願い……息子だけは……」

 微かに聞こえた。女性の声が怪間の耳に入り込む。しかしため息をついて思う。

 今の時代自分のことで手いっぱいだ。それに俺は孤児を殺さないほど優しくない。

 2階へ行き子どもを探していると敵兵がいた。発砲してきたがスティールで相手の武器を奪い取り射殺した。

「ふん……さてと」

 すると背後から小さな男の子 新田空が抱きついて来て言う。

「うぅ……ママとパパが……この人に……ママとパパを助けてよぉぉ」

「無駄だ。もう死んでる。大量の血を流してな……」この時代でコイツの居場所はない。コイツら一家の存在は我が国にとってそして俺の財布にとっても利がある。悪いが死んでくれ。

 しかしなぜか殺すことができずに空の頭を撫でた。そして2週間後に空を施設へと連れて行くが受付と揉めていた。

「コイツは親がいないんだぞ?それでもガキを守る養護施設の職員か?」

「申し訳ございません。今は戦争でどこも人手不足なんです。もうウチではこれ以上の子どもは……」

「チッ……もういい!」

 空を連れて外へと出る怪間は二人でベンチに座っていた。

「はぁ……」ガキなんて俺が育てられるわけないだろ?ただでさえ物価の高い世の中で……。

「おじさんは僕と一緒にいるのが嫌なの?」

「俺は一人がいいんだ。家族なんていらねぇ。傷つけられるだけだ」

 怪間は思い出していた。父親に自分が能力者だとバレて盗みを働かされていたことを逆らえば殴られ蹴られ脅され罵倒され、この世で信用できないものは家族と認識していたのだ。そしてある日をさかいにそれもなくなった。それは自分の父親の命を奪ったのだ。耐えられなかったのだ。


ある日 家に帰ると空が家におらず探しに行くことにした。


「たく。あのクソガキどこに行った?」

「やーい!化け物と一緒に暮らしてる変人!」

 子どもの声が聞こえて覗き見ると公園で空が他の子ども達と揉めていた。


 空のヤツ…何を揉めているんだ?

「おじさんは化け物じゃない!僕を助けてくれたヒーローなんだ!これ以上悪口を言うなら許さないぞ!」

 怪間はその言葉に呆れを感じるが子ども達と掴み合いになり止めに入った。

「ガキども…これ以上図に乗るなら化け物の俺が相手してやろうか?」

「ヤバ!逃げろぉ!!」

 子ども達は逃げ去り怪間は空に向かって言う。

「大丈夫か?」

「う、うん……おじさんは悔しくないの?化け物じゃないのに化け物って呼ばれて」

「相手はガキだ。一々相手にしていたらキリがない。無限王なら殺すだろうが、無益な殺しは俺は好まない」

「……やっぱりおじさんはいい人だ」

「……いい人じゃねぇよ」

 その後も怪間と空は共に暮らし4年半が経過した。

「空。朝飯ができたぞ」

「うん!」

 まるで親子のように暮らしていた。そんなある日のこと。空の身体のから血が出ていることに気が付き病院で検査をすることに。

「落ち着いてください。あなたの息子さんは血管変異です」

「け、何?」

 血管変異は一年前に発見された病で血管から新しい管が現れその管の行き先は口や鼻、耳、毛穴。穴という穴から血管を通じて血が流れる病気。世間ではエボラ出血熱より恐ろしいと言われるようになった。そしてこの病気には治療法がまだ発見されていない。

 大量の血を流して24時間体制で看護師達に付きっきりで看病されている。もちろん、医療費は莫大な金額であった。

「……金だ。もっと金がいる」

 彼は日本中からさまざまな物を盗んだ。美術品、企業の契約書、更には寺から仏像を盗み闇市場で売り捌き医療費に費やしていた。

 そんなある日怪間は空と話していた。

「空……苦しいか?」

「うん……でもまだ頑張れるよ……」

「そうか……」

「……おじさん……もし病気が治ったら……これからはお父さんって呼んでもいい?」

「……俺は……父親にはなれない」

「……それでも僕はおじさんがお父さんがいい」

 その言葉に空の右手を両手で握り言う。

「わかった……治ったらまた暮らそう」俺は……親父のようなクズにはならない!俺は俺の理想の父親になってみせる!そのためには空に生きていてほしい!何か……アイツしかいないか。

東京にあるタワーマンションにて ソファーに座りゲームをする全王は土下座をする怪間の話を聞いていた。

「だから頼む!アンタの言うことを聞くから俺の息子を!」

「……別にいいよ。ただし俺の期待を裏切ったらお前の息子を殺すか……病気を戻すからな?」

「もちろんだ!約束しよう!」

 怪間は五王の言うことを何でも聞いた。殺し盗み。略奪王になり国を支配することも。そして今回の試合も。

「俺に……戦争王を殺れと?」

「アレは殺害リストの5位の能力者でな。邪魔な存在だ。俺の下にいるヤツで『一人だけ裏切り者』がいることもわかっている。お前は違うよな?違うならヤツを殺せ。息子のためだと思ってな」

 そして今に至る。戦田は眉間を寄せて言う。

「息子?……なるほど、お前は息子を人質にとらているってわけか……だがなぁ……俺を殺しても元凶を殺さなきゃ意味ねぇだろ?同じことの繰り返しだ」

「黙れぇ!!」

「発動 フラッシュ!!」

「⁉︎」

 キーーーン

 すると戦田は目を瞑ると同時にスーツがスタングレネードのように光ったと同時に爆発のような音を出した。そのまま怪間を蹴り飛ばして戦田は拳銃を出し発砲する。

「チェンジ!」

「っ⁉︎」

 戦田の居場所とか怪間の居場所が入れ替わった。それと同時に2発の銃弾が戦田の背中に当たり、口から血を吐き出した。

《自分の居場所と交代したことで銃弾を回避しましたね。そして運がいいことに戦田は自分の弾に当たった》

《まさに狡い技だ!》

「クソ……」

〈リーダー!〉

「アレをここへ呼べ……コイツはとりあえず殺す。俺はどうしても無限野郎を殺さねばならない」

〈リーダー……了解。メンテナンスは済ませておいた!そちらへ向かわせる!〉

〈2分後に到着予定!〉

〈いつでも指示をくれ〉

「ナノボットを俺の元へ戻せ。」

 ナノボットが手元へ戻るとバット型へ変形した。

「ナノバット」

 戦田は接近戦へ持ち込み怪間を攻撃するもナイフで受け流し切り付けるも戦闘技術は戦田が上のため押され始める。

「バットは野球するためのもんだぜ!」

「今はできない。だから取り戻すんだ!」

 するとクラクションが鳴り響くと東門を破壊し一台の軍用車が現れた。

《乱入!?誰が乱入してきた!?》

《いや!中は無人だ!》

 戦田は攻撃するのをやめてナノボットは槍へと変形し、そのまま車のフロントガラスへ投げ刺しそのままフロントから運転席へと入りハンドルを持つ。

「アイアンメイデン!」

 すると車は変形し、四つの座席が一つの座席へと変わり、戦田の左側にレバー、足元にはクラッチ、ブレーキ、アクセルの三つ。その周りには鉄の輪っかが六つあった。

「ギア4!」

 すると輪っかが動き始めナノボットが鉄の隙間から現れ、四つのガトリングガンへと変形した。そのまま連射するも走り避ける怪間。しかし再びフック銃で真上へと飛んだ。

「ギア1!」

 さらに輪っかが動き出すと四つの大砲が現れた。怪間はそれを見て対空砲火だとわかり、地面へと瞬時に放った。そして素早く接近する。

「ギア2!」

 輪っかが動き始め、四つの大剣が右回転して近づかせようともさせなかった。

 コイツ!

「ギア4!」

 再びガトリングガンへと変形し怪間に銃弾を放とうとする。

「その乗り物いいな!チェンジ!」

 怪間と戦田の居場所が入れ替わりアイアンメイデンに怪間が乗った。

「これで終わらせる!死ね!」

「そう簡単に鉄の処女をもらえると思ってんの?」

「は?」

 ピピッ ザン

 怪間が座っている座席から無数の太い棘が胴体に刺さる。

「ガッハッ!?」

「安心しろ……どうせ『俺たち』以外の能力者は生き返らせてくれるんだろ?」

 怪間は意識が薄れる中あることを思い出していた。それは1週間前のこと。病気の治った空と揉めていた。

「なんで!遊園地に行く約束は!?」

「……これから能力者が集まる大会に出なくちゃならなくなった。だから家に帰ったら行こう……俺は負けない。お前を置いて……五王の奴隷になんてならない」

「……絶対帰ってきてね……この約束だけは守ってよね!」

 怪間はその約束に対して笑顔で言う。

「ああ……もちろんだ!王は…約束を破らない!」

 そして怪間は意識がなくなる寸前に思う。

 ごめん……約束……守れなかった……。

 怪間は動かなくなる。

《勝者 戦争王 戦田紡選手》


第2試合 勝者 戦田紡


試合時間 11分36秒


決め手 アイアンメイデン


「……悪く思うな。怪間」

 そう言い残してアイアンメイデンに近づき後片付けをしようとする中、二人の男が観客席で話し合う。

Cブロック 悪魔王 七宮七尾

「壊染のおかげで第2試合からの参戦になれたけど……本当に『アイツ』の言葉を信用するのか?仮にもアイツは……」

「大丈夫……アレは味方です。彼の心は誰よりも優しい……私はそれを知っている」

Bブロック 聖人王 仏田誠

「私は控室へ帰ります」

「……絶対勝てよ。特にお前は機械王とぶつかる」

「全員いずれ五王とぶつかります。我々の目的は『優勝ではない』CとDにいる彼らに託すことです」

「だな……俺は悪魔と対峙しなくてはならない。気をつけろよ」

「心配は無用です」

 五王VIP席では殺魔が顎に指を置いて言う。

「戦田は言いましたね。俺たち……と」

 全王は言う。

「知っているな。殺害リストのことをやはり裏切り者がいる……狂井と道酷はともかく……やはり出場者8人の中にいる」

 するとノックの音が聞こえ扉を開けると黒と赤の混じった髪に褐色で赤い瞳の男が現れた。

「お前はBブロックの参加者だろ?憎怒」

Bブロック 憎悪王 憎怒楓

「3が対戦相手を食っていいかってなぜか俺の部屋へ乱入してきた」

「なんて答えた?」

「骨の髄まで食えと言いました。細末も人間のために戦う害虫なので」

「相変わらず俺より人間嫌いだよな……この前だって人間を身分がわからないまでに切り刻んでたし」

「女は嫌いです」

「ああそういやそうだったな」

「すみませんが第8試合が終わるまでここにいても?」

「ああもちろんだ」

 そう言って憎怒は全王の席の隣に立った。すると殺魔は言う。

「あの……何で彼は同じ十戦士のことを数字と呼ぶのです?」

「自分より弱い能力者は全員数字で呼ぶんだよ。まぁコイツの強さは折り紙付きだから仕方がない」

 十戦士 それは五王に忠誠を誓い。自ら下僕となることを選び五王のために戦う存在。後に彼らは互いに戦いランク付けをした。

 そして憎怒楓はその中でもトップ No.1の実力を持っているのだ。

 憎怒は突然裏切り者の話をふった。

「……それと裏切り者がいるそうですね……怪しいというか信用のできないヤツが一人おります。9です」

「ああ……確かに俺はともかくお前や他の五王が狙いって可能性も高いな」

「やなこと言わないでくださいよ。まぁ『絶望しなきゃ』いいんでしょ?」

「油断はするな。俺もアイツのことが信用ならん」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ