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4−隠れてるんです!

「ふあ。」


いけね!俺はあわてて欠伸を両手で押さえ込む。


(諦めて早く出て行ってくれ〜。)


俺は今、小心者の子猫の如く部屋の隅にあった衣装棚と壁の隙間に寝巻きのピンクのナイトドレスを着て(寝ている間に着せられていた)震えながら身を隠している。

何故寝巻き姿で隠れているかと言うと……猛獣がいるんです……いや、猛獣の様に獲物を探しているこの国の第一皇女エリシャとその後ろにメイドさんが二人、エリシャとメイドさんの二人は両手にとてつもなく物騒なブツを持ってどこか楽しそうにだけど一瞬の隙も無いぐらい鋭く部屋の中を俺を見つけるために探し回っているんだ。


(見つかったら終わる。)


あのエリシャが持っているブツ、男の尊厳を完膚無きほど叩き潰し俺に女になったと嫌というほど自覚させるもの、全体的に薄いピンク色で袖口とスカートの部分に大量にあしらわれたフリルと胸元にじは赤い大きめのリボンが着いたドレスと猫耳(メイドさんも似たようなドレスを持ってます)……。


(だれでも良いからあの猛獣達から俺を助けてくれ!!)


そんな願いも虚しく確実に猛獣達の足音が近づいていた……。



〜〜〜1時間程前〜〜〜


「んっ。」


些かな眠気を残しつついつもと違う違和感を感じまだ重たい瞼を上げ目を覚ました。


「ここは、どこだ?」


目を覚まし最初に見たもの、薄いピンク色で向こう側が透けて見える天蓋……ファンタジー小説や一部のお金持ちのご令嬢等が使っていそうなお姫様ベッドに付属しているあの天蓋だ。


(ああそういえば、あの女神のせいで異世界に来ていたんだったな。)


異世界で何故に男の俺が女性が使うようなピンク色の天蓋付きベッドで寝ているのか変に思えたが、いつまでも寝ているのもあれだと思い起き上がることにした。


「痛っ!」


髪の毛を後ろからおもいっきり引っ張られ猛烈に痛かった。急いで髪の毛が引っ張られた原因を確かめようと髪に目を向けたんだが……予想に反して髪の毛真っ直ぐに背中に掛かりそのまま足の方まで伸びていた。


「何だ、俺自身が髪の上に乗っかっていただけか。 …………って!なんでこんなにも髪が伸びてるんだ!!」


一人でノリツッコミを入れつつ現状の再確認をすることにした。


(確か、女神に異世界に落とされて真っ暗な中落ちていって、光る出口が見えて出たと思ったら地面が近づいてきて……ええっと、あれ?その後どうなったんだっけ、2回ほど軟らかい物を蹴った感触と変な声を聞いた気がするんだが。)


落とし穴から出た後の記憶が非常に曖昧になっていたが、忘れたままだと気持ち悪いので必死に記憶を呼び起こす。


(ああそうだ、水の中に落ちたんだっけ。それで少し冷静になって周りを見てその光景に溜め息をついてその時水面に少女が写っていてその少女を母さんだと思って、だけど微妙に違っていたし何より自分の動きに合わせて水面の少女も動いて、そして写っているのが自分だと気づき慌てて自分の体を調べて自分が完全に女になっているのを確認したんだっけ。)


………。


「なんですとーーーー!!」


慌ててもう一度自分の今の姿を確認する。


(髪は漆黒に黒檀のような艶のある色で長さは足元ぐらいで前に確認したままだな、顔も恐らく水面で見たままだろうし……。)


そう言いつつ視線を胸元に持っていき、手で襟首を引っ張り中を確認。


(僅かに膨らみらしきものが見えるけど見事なまでにペッタンコだな。)


胸を確認後、次はそのまま手を下ろし服の上から男の象徴があった場所を触ろうとして。


(無い……。)


象徴を確認できなかった。瞬間、絶望が再び襲ってきて意識が飛びそうになってきた。


トントン


「はっはい!」


飛びそうになった意識を掴み直し、つい扉を叩く音に反射的に返事をしてしまった。


「失礼します。 勇者様どうかなされまし……。」


扉から入ってきたのはこれぞメイド服と言えそうな服を着た青い髪の女性でした。


「申し訳ありません。事の最中だったのですね。」


事の最中? 何を言ってるのか分からなかったがこちらを凝視?して言ってきたので自分の今の姿を見てみる。

ベッドの上で前かがみになり手を足の付け根の上に置いている、なるほど他から見たらこれはナニをしている最中とも取れるなと冷静に考え自分が今ナニをしている最中だと誤解されている事に気づいた。


「あっいや、これは違……!」


「少し用事がございますので、事が終わるまで外で待機していますので終わりましたらお呼びください。」


「……。」


なんら動じることなく誤解をしたまま外に出て行くメイドさん。

冷静に対応された俺は誤解を解くのを忘れしばらく呆然としていた。



(気まずいな。)


今は、あの後すぐに呼び誤解をなんとか解いた後メイドさんの用事を聞き廊下を移動中だ。なんでもこの国の第一皇女さんが王様に合わせる前に俺に会いたいんだそうだ。


「えっと、メイドさん俺寝巻きのままなんですけど。」


「イリス。」


「え?」


「私の名前。」


「ああ、イリスな。俺は佐藤雲母だ、雲母が名前だから好きに呼んでくれ。それでだ、さすがに寝巻きのままは恥ずかしいんだが。」


「大丈夫、着いた。」


他の部屋より大きめでちょっと凝った扉の前でイリスが立ち止まった。


トントン。


「イリスです。勇者様をお連れしました。」


「どうぞ。」


「失礼します。」


扉を開け中に入っていくイリスについて俺も中に入っていく。


「ようこそいらっしゃいました勇者様。」


中に入ったら自分と同じ年ぐらいのお姫様がいました、第一皇女さんに呼ばれてここに来たんだから今目の前にいるのが第一皇女さんなんだろうから姫さんで当たり前なんだがつい言わずにはいられないほどお姫様らしい(雲母ちゃんの中でのお姫様は金色の髪を背中にたらし青い瞳にかわいいとも綺麗ともとれる顔立ち)皇女さまでした。


「そんなに怯えなくてもいいわよ。そうね、まずは自己紹介からしましょうか。」


俺があまりにも想像道理すぎる姫さんの姿に呆けてる姿が、怯えてしまい話すことができないと誤解した姫さんが自己紹介を始めだした。


「私はこのアーシェリカ国の第一皇女エリシャ・アーシェリカよエリシャと呼んでくれていいわよろしくね。」


「あっ、俺は佐藤雲母で す、雲母が名前で すので雲母と呼んでください。」


目上の相手にたいしてなんだからと苦手な言葉づかいでなんとか返答した。


「あら?"俺"なんて女の子らしくない言葉遣いをするのね。」


やっぱり今の姿で俺なんてつかったら不自然すぎるか、このまま隠して女の子扱いされ続けるのも嫌だし正直に話すか。


「エリシャ俺がこれから言うことは全部本当の事だから聞いてほしい。」


俺は元は男でここに召喚されそうになった時に女神とちょっとしたやり取りをした結果女になってしまい今現在にいたる等掻い摘んで話した。(聖女のことは話していない)


「そう、ごめんなさいね私達の国が勇者を召喚する儀式で女の子になるなんて。でも、今の話だとあなたにも非がないわけではないはね女神相手に喧嘩を売るなんてね。」


「その、ついな。」


ちょっとバツが悪くてちょっと苦笑い気味にエリシャを見た。


「……かわいい。」


「ん?どうした?」


「いえ!!なんでもありませんわ。」


「そうか。」


少し気になることを言った気がしたがどうやら思い過ごしかと思っていたら。


「そういえば!いつまでも寝巻きのままじゃ可哀想ね、そうね今すぐこの服を着なさい。」


そう言っていつの間にか持っていたらしい服を目の前に広げてきた。


「……冗談だよね?。」


さっき俺が元は男だって説明もしたしきっとなにかの冗談に決まっている。


「冗談じゃないわよ?私が冗談を言う必要がないじゃない。」


「いやいやいや、今は女ですけど元々男なんですよそんな服着れないですって。」


「確かにあなたは男だったかもしれない、だけどね、この世界に来たときから女だったって事はこっちでは雲母は女の子なのよ、だから女物の服を着るのは当たり前なの。」


「それでも、俺の中身は男のままで……。」


妙に説得力のある言葉のせいで言い返ししきれなくなってきた。


「大丈夫よ、雲母はとってもかわいいんだから絶対にこの服とか似合うからね♪」


「そうです、雲母様にはもっとかわいくなって頂いて私たちのおもちゃ……もとい私たちを癒してくださる存在になっていただかないと♪」


エリシャの後ろに控えていたメイドさんAがエリシャを援護攻撃!


「雲母様あきらめてください。あなた様のそのかわいらしさが私たちを狂わせたんですからね♪」


メイドさんAと一緒にいたメイドさんBがちょっと危険な援護攻撃!


「さあ雲母、この子達もこう言っていますし観念してこの服を着てくださいね♪」


目が血走ってるし!それに呼吸も荒くじりじりと服を持って近づいてくる3人。


(怖ええ!!さっきまで綺麗でお姫様らしかったのに、今じゃ獲物を狙う猛獣だ!!)


何とかこの猛獣達を抑えられる方法はないかと周りに視線をやると部屋の隅に青い髪のメイド、イリスが見えた。


「イリスー!!エリシャ達を止めてくれー!!」


イリスは俺の声が聞こえたのかこっちに"何か"を持って寄ってきた。


「エリシャ様。」


「なによ?イリス邪魔をするの?」


「雲母にはこれも着けて。」


そう言ってエリシャに渡すイリス。


「あら、これって"猫耳"じゃないの。」


「似合うと思う。」


少し顔を赤らめて言うイリス。


(ちょっとかわいいかも? って!!猫耳!!)


「そうね、良いかもしれないわね。」


「待て、待ってくれ。まさかその猫耳……。」


「うん♪着けてもらうからね♪」


こういうことには興味が無さそうだったイリスのまさかの裏切り。


(ここには味方はいないのか……。)


こうなると残る手段はただ一つ。


「絶対に……嫌だーーーーーー!!」


回れ右に180度回転しそのまま勢いよく開いていた扉から部屋の外に脱出そのまま廊下を走って自分の居た部屋に逃げ込んだ。


「あなたたち二人はマスターキーを一応借りてきておきなさい、イリスあなたは……。」



〜〜〜冒頭に戻ります〜〜〜


(………ブルブルブル。)


「おかしいわね、鍵も掛かっていたし確かにこの部屋にいると思ったのですけど。」


「エリシャ様〜、こっちにはいません〜。」


「エリシャ様こちらもいません。」


「仕方ないわね、別の部屋を探しにいくわよ。」


遠ざかっていく足音に俺は安堵のため息をついた。


(もうそろそろ出ても大丈夫か。)


完全に足音が聞こえなくなってから隙間から這い出る。


「ふ〜〜、なんとかなっ(見つけた。)……え?」


上から降ってくる黒い影、あまりの不意打ちに対応することもできずイリスにあっさり捕まった。

後で聞いた話だがイリスはエリシャの専属護衛でいつも気配を消して護衛しているらしく気配を消す技術はかなりのものなんだそうだ。そんなの分かるわけねぇよ……。



「ふふふ、さあ雲母もう逃げられないわよ♪」


「さあ雲母様♪」


「おいしそう♪」


「……ドキドキ♪」


上から3番目のメイドBおいしそうってなんだよ!!


「さあ、まずはこの服からね♪」


服を着せ替えるために伸びてくる4組の手と今にも襲い掛かってきそうな笑顔の4人。


「たすけ……。」


その日の朝、嫌がる俺の声と楽しそうなエリシャ達の声が城中に響き渡っていたそうだ。






エピローグ……


「かわいかったですわ♪」


「次はもっとすごいのいきましょうよ♪」


「肌スベスベ、髪も柔らかくて気持ちよかった♪」


「……猫耳♪」




「………穢された………グスッ………。」

今回は暴走皇女様と雲母ちゃんの始めてのお着替えの回をさせてもらいました羊です。

遅々としてお話が進まずなんだか寄り道ばかりしていますががんばって面白いお話を書いていきたいと思いますので次回もよろしくお願いします。

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