1−避けちゃったw
「ふぁ〜〜」
出だしからいきなりあくびをし、気の抜ける展開から始めやがったのは主人公Aもとい俺こと佐藤雲母。
「またダルそうに気の抜けるあくびだな雲母のは」
横からあくびに突っ込みを入れているのは親友Aこと鈴木司
「いつもの朝練か? 運動神経が俺と同じぐらい抜きん出てたってあんまり無理するなよな、ただでさえ女顔なうえ体もひょろいんだからな」
体調を気遣いつつ本人の気にしていることをさらりと言ってのける親友Bこと高橋八代
「いや、ただの寝不足だから」
(本当は夢で見た前世のせいで朝からダルいだけなんだがな)
俺こと佐藤雲母は曖昧だが前世の記憶を持ち聖女の魂も宿す転生者だ、この事は親友の二人はもちろん両親にも言っていない、前世の俺は聖女を守る騎士だったらしく夢で時々だが鮮明に見ることがある。聖女と騎士は幼馴染で両想いだったらしく、聖女の魂(なんとなくだが自分と混ざっているのが分かる)からなんとも言えない気持ちが込みあがってきてそれが前世の自分が抱いていたものに似ているから困る。
(夢を見た朝は自分に恋してるような複雑な気持ちが渦巻いて疲れるんだよな)
「なら、眠気覚ましがてらいつもの賭けをしようぜ!!」
賭けがなぜ眠気覚ましになるのかわけがわからんが、ただいつもの理由でやりたいだけなんだろう。
「またいつものあれか?八代もいい加減節約とかしたほうがいいんじゃないか。」
あきれつつ顔が笑ってるから司もすでにやる気のようだ。
(まあ、司にとっても魅力的な賭けだからな、正直あれが困るというのは世界中の男を敵に回すような考えなんだが。)
「いいじゃねぇか、俺は昼飯代が浮く可能性があるならそこに全てを賭けるぜ!!」
やっぱり今回も、毎月恒例の金欠状態のため昼飯さえ食べられないというしょうもない理由だったようだ。
(マッスルボディを維持するには飯が食えなくなるほどお金がかかるんだろうか?)と俺が考えていると、
「司だってこの賭けをすれば今日は女子たちが寄ってこないかもしれないんだからお互いに賭けをしないって手はないはずだぜ。」
そう、司にとってこの賭けをすることは女子たちとの問題が起こらなく済む確率を上げる事ができる唯一の方法なのだ。
(女子との問題ってほとんどが告白とかだしな、俺も八代も口にこそ出していないが少しどころかかなり腹が立つ)
「今回の賭けの内容も、司が女子に告白されるかだろ、司もやるきみたいだしさっさと決めないか。」
「うっし!ならいつもの通り俺は告白されるに全力投球だぜ!」
「(投球ってなんだそれ?)司は聞かなくても別にいいな。」
「ああ、俺もいつも通り告白されないほうにでいいよ。」
「雲母は今回はどうするんだ?できれば俺と同じで告白されるに賭けて欲しいんだがな。」
さて、俺もどちらかに賭けないといけないんだがこれがなかなか決まらない、今までの勝率から考えても五分五分の状態だし、プロフィールには無かったがこいつら二人共隠しスキルとして幸運なんてものを持ってるからな、賭け事をした場合わずかにでもうわまった方が勝ててる状態だ。
(今日はどちらの方が上かな?司の様子は昨日と変わらないようだし大きなブレは無いな、八代はよほどピンチなのか今日はいつにも増して気合が入ってるようだしここは。)
「そうだな、今回は・・・」
・
・
・
今考えればこの賭け事がいけなかったんだろうな。
二人が落ちたとつぜん開いた地面の穴を覗き込みながら俺はこの後どうするべきか考えつつ、今日あったことを思いだしていた。
キャラクターの感情や行動を書くのって難しいなと思い始めた作者の羊です。
今回の話でも雲母君は異世界召喚の定番を回避してしまい異世界へいけませんでした。
なかなか話が進みませんが次回ではなんとか行けるように雲母君を叩きますので次をお待ちいただけるとうれしいです。