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学園1





「じゃあ、話そうか」

光太郎は蓮也の過去について語り始めようとした

「おい、俺のことなのに俺が話さなくていいのか?」

蓮也は光太郎のおふざけで自分の過去が語られるのを阻止したかったが

それが自分の間違いだということに気が付いた

「だって、君は自分事だし話題が話題だからさ」

「ごもっともだな」

「じゃあ、気を取り直して話そうか」

光太郎がふざけていた時とは比べ物にならないくらいの真面目な顔になる。

「まず、蓮也君の家柄の話からかな、彼の家、西条家は四方位上家と呼ばれる 東、西、南、北、の文字が入った四つの家系の一つで、この四家は呪霊師の中でもトップの家柄なわけで、西条家は四方位上家の中のトップ、すなわち最強の家系って呼ばれてる家なんだよね」



ヒナは今光太郎が言った真実を知らなかった、

しかし蓮也が最強の家系ということに疑問は感じなかった

「それは、わかる、私蓮也と修行してて蓮也の凄さにいつも驚かされる」

「そうだろう? 蓮也君は大人を含めた呪霊師業界の中でも頭一つ、いや三つ以上も抜けている才能を持ってる、はっきり言って今の呪霊師業界で彼に勝てる人はそういないね」

「それならなんで、蓮也はめいかのはじって言われるの? 私だって蓮也と一緒に住み始めてから勉強がんばった、ちょっとの時間だったけど、めいかのはじっていうのが蓮也をバカにしてるのはわかる!」


ヒナの言葉にはかなりの怒りが詰まっていた

「まあまあ、これには複雑な事情が、いや、これは表面は単純だけど中身がなかなかドロドロしててね、簡単に表面だけ説明するけどいい?」

「ん、なっとくのいくせつめいをもとむ」

「………もう、俺の入る隙がない」


「簡単に言うとね、組合が蓮也君の実力を認めてないんだよね」

光太郎はバツが悪そうな顔をした


組合とは、このセグリチュアの呪霊師を統括する組織のことである。

ヒナはこの組合のことを蓮也に教えて貰っていた



「認めてないって、どういうこと?」

「組合の一部の連中が蓮也君のことを嫌っていてね、断固として蓮也君のことを認めようとしないんだよね、今は詳しい説明を省かせてもらっていいかな?」

光太郎の問にヒナは頷いた

「これによって蓮也君は世間に公表できる、いわゆる功績みたいなものを得ることが出来なかったんだよ、どれだけ凄いことをしても認められなかった、だから、最強の家系に生まれながら功績を残さない人間、名家の恥って呼ばれてしまってる訳なんだよ」

そして、光太郎は一回深呼吸をして、リフレッシュしたように言い始める

「ただこの学園に入ったら蓮也君の本当の実力もいずれは見れることになると思うし、その辺は楽しみにしているよ」

そう言って光太郎は蓮也とヒナに帰るように言った

「じゃあ、また次会う時にね」

「あぁ、わかった」

「ん、バイバイ」





「そうだ蓮也君、同居のことだけど君が西条だってことがバレにくくするために、僕と烈斗さんで考えたことだからね?」

「なるほど、確かに俺が実家に出入りしてたら嫌でもバレる可能性が高いからな、わかったよ」


この会話をしてる時にはもうヒナは少し先に行ってしまっていた

それを追いかけようとした時、光太郎がまた声をかけてきた


「蓮也君、お墓参り行ってないみたいだね」


この言葉で蓮也はなにを指しているのかすぐに分かった。

一つのことに執着しにくい蓮也がずっと執着しているもの、それを光太郎はその言葉の意味を分かっていながら口に出してきた。


「おい、あんたでも言っていいことと悪いことがあるんじゃないのか? まずあいつが死んだとも決まってないだろ、死体も上がって来ないのに勝手に俺の意見無視して死亡扱い、挙句の果てに墓まで立てて……これ以上俺を怒らせるなよ」

蓮也の声は静かだったものの、言葉に含まれた圧力に光太郎さえも少し寒気を感じていた

「すまない、確かにその通りだ、これ以上君を怒らせると大変なことになるからね」

蓮也は呆れたため息をついてその場を離れた。



蓮也とヒナは月曜日からこの学園に通うことになる

これが大きな人生の分かれ目になることも知らずに。


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