男の正体
(なんだこいつは……動く気配を感じなかったぞ?)
そんな蓮也の疑問に気づくことなどなく、男子生徒は元気よく話しかけてきた
「君が最上蓮也君だね!」
「あ、あぁ、そうだ」
男子生徒の勢いに押されて蓮也は驚きながら答えた
「そっか〜、すごいね、君強いね、それもかなり……
ねぇ、僕と戦わない?」
(おいおい、このクラスはなんですぐに戦おうとするんだ!?)
「あ、ごめんね?僕、東武尊」
(なるほど、こいつが…)
「あぁ、何となく知ってるよ」
「あ、ほんと?嬉しいなぁ」
武尊は常にニコニコしていた
「それで、戦ってくれる?」
「俺にメリットは?」
「ははっ、じゃあ僕が負けたら君の言うこと聞いてあげる
「「……!?」」
この言葉にクラスは騒然とした
「俺の言うことを聞く?」
「そうだよ、面白いじゃないか、ちなみに君は負けても何もないよ?」
「それ、不公平じゃないか?」
「いいの、僕は強い人とやりたいだけだから」
「諦めろ蓮也、こいつはそういう奴なんだ」
後ろから仁也がため息をつきながら呟いてきた
「俺も同じ状況にいたことがあるからわかる」
「お前もやったのか…」
「……まあな」
仁也は少し暗い顔で言った
「あー、仁也とやった時は面白かったねぇ」
「仁也……お前負けたのか?」
「あぁ、完膚なきまでにな」
「そうか……よし、その勝負受けよう」
蓮也がそう言い放った瞬間クラスの中にいる生徒全員が驚いた顔をした
「まじか、あいつ受けやがった」
「確かに最上もつよいけど、さすがに無理だろ」
「あぁなんたって、ここの全学年実力トップ、それに…」
『四方位上家 東家次期当主』