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彼とは




同時刻学園長室で…………


光太郎と先程までいた教師二人が向かい合って話していた。

「学園長、彼に実力を隠してもらわなくていいんですか? 自分は彼の戦闘を見たことはありませんが、お世辞にも世間の評価がいいとはいえません、それに苗字を変えてまでこの学園に通わせてバレたら大変なことになりますよ!!」


片方の教師は今まで溜め込んできた不満を一気にぶつけるように言った


「大変なこととは具体的にどんなことだい?」

しかし、光太郎は落ち着いて答えを求めた

その態度をみて教師はすこし落ち着きをとりもどし説明を始める

「一番はまず、組合に目をつけられることです、この学園、いえ彼が入った学年には四方位上家の次期当主が三人います、彼が入ると次期当主が一つの学年に、いえ、この学園の方針は実力主義で運営してますので必然的に一つのクラスに四人が揃ってしまうという異例の事態になります! これが組合の耳に入ったらどんな圧力や武力行使でも使って彼を退学にさせるかわかりません、その時の学園の責任は重いですよ!」


最初の落ち着きがどこか言ってしまったように教師は怒鳴るようにいう


「確かに、この国の次の主戦力が集まっちゃうと誰も手出しできなくなっちゃうし、組合も顔負けしちゃうから何かしてくるかもしれない」

光太郎は落ち着いた表情で言葉を続ける

「その圧力や武力行使が成功すれば学園の責任は重いね」

この言葉に教師二人は理解が追い付かなかった。

「…成功すればってどういうことですか?」


この問に光太郎はうっすら笑みを浮かべた。

この時、教師二人は光太郎の後ろに悪魔がいるように見えた


「そうだね、今四方位上家の次期当主がこの学園の一つのクラスに全員揃った、これは確かに異例だ、それに、組合の連中が黙ってるとも限らない、そこには僕も同感だ、でも今この学園には僕と烈斗さんそれに蓮也君がいる、このことをもっとよく理解するんだね」

光太郎の説明に教師二人はまだ理解が追いついていないようだった。



「…それほど彼は強いのですか?」

教師二人は自分達が否定している答えを光太郎に投げかけた

「そうだね、僕を抜きにして学園の教師全員で蓮也君と戦っても彼を倒せないと思うよ、彼は最強とかそんなもので括れる人間じゃない」

その言葉に教師達は息を飲んだ。

今学園にはこの教師達のように蓮也を知っている人は少なく今の教師達のような考えの生徒がほとんどである。




時を同じくし闘技場では二年A組のほとんどの生徒が信じられないと口をパクパクさせていた。

その先の光景は、蓮也以外の七人の生徒が無様に倒れている光景だった。

「そんな、ありえない…………」

「うそ……………あれで勝てないなんて」


男子生徒七人は前衛三人で畳み掛け周りを四人で囲む様な陣形を組んでいた、三人の攻撃を凌いで大きく間をとれば周りの四人からの攻撃がくる、というものだったのだ。

蓮也は今の戦闘を思い出すため、顔を空へ向ける



幸子から開始の合図がでる、その瞬間相手三人は一気に走り出す

三人が畳み掛けると同時に蓮也も三人に向かって走りだした

三人は少し驚いた様子だったが一人が飛び上がると二人がかなりのスピードで蓮也にタックルしてきた、蓮也はその二人を危なげなしに避け一人は腹部に、一人は背中にかなり強い打撃を与えた

二人が倒れると同時に飛び上がっていた男子が飛び蹴りを入れようとしてくる、蓮也はそれを受け止めることもできたが、あえてギリギリで避け相手の足が地面につく寸前に蓮也の足が男子のみぞおちに入る



この攻防が一瞬で行われた



そして蓮也に畳み掛けた男子三人が倒れていることが数秒遅れて周りの四人の男子が気付く、

その隙を蓮也が見逃すはずもなく一人に的を絞って走り出す、

その的となった生徒は自分が狙われていることに気づかないまま頭に強い衝撃を与えられて倒れる、

しかし、後の三人は蓮也が一人倒している間に陣形を組み直し戦闘態勢に入っていた。


(思ったよりも形になっているな、さてどう崩そうか……真ん中にいるやつが右利き、その右にいるのが左利き、残ったのが右利きか…じゃあ右のやつから倒していくか)

蓮也は頭のなかでそう考え動き出すまでに二秒もかからなかった。


結果、その三人も少しは持ちこたえるかと思ったが、

蓮也の蹴りに耐えられず、他の四人と同じように一瞬で倒されてしまった。



そして観客席ではこの試合を見ている生徒のほとんどが度肝を抜かれ動けなくなっていた


しかし、ある男子生徒がゆっくり立ち上がり蓮也の方に向かって歩いていく


その男子生徒に周りは声をかけられなかった


そして蓮也がその男子生徒を目の端でとらえ蓮也がその男子生徒に顔を向けると、彼は笑った。



「よぉ、かなり派手に暴れたな、蓮也」

男子生徒がニヤッと笑う

「久しぶりだな、仁也」

それに続いて蓮也も彼に向けて挨拶をする

「また見ないうちに強くなりやがって、葛葉も驚いてたぜ?」

茶色い髪、左耳にはピアス、チャラい感じを出しているのは蓮也のもう一人の幼なじみ天野仁也であった。

そうして、ふと観客席の方を見ると葛葉とヒナがくっついておりその周りに女子たちが群がっていた。

「なるほど、お前は逃げてきたわけか、あの空気に耐えきれなかったんだな?」

「いやいや、人聞きの悪い、戦略的撤退だよ」

「それを逃げてきたというんだぞ?」


そんな話をしているうちに周りに倒れていた生徒達が起き上がってきた。

「おい、仁也、そいつと知り合いなのか?」

一人の生徒が聞く、蓮也はなんてこたえたものかと考えていると、

「まあ、昔にちょっとな、葛葉とも知り合いだぞ?」

仁也は、にっと歯を見せて笑う。

「勝負は俺の勝ちだ、実力に関しては申し分ないな?」

「あぁ、お前が十分強いことはわかった、今の試合は体術だけのものだったが武器をつかってもお前に勝てる気はしない」

そこは素直に実力を認めてくれるのだなと蓮也は少し驚いた。



Aクラスの実技優秀者七人が転入生一人に圧倒された

このことは瞬く間に全学年に知れ渡った。



そんなこんなしているうちに空はオレンジ色に染まり、半透明なカーテンが夕日と同じ色に変わり、すこし寂しい空気を醸し出している、そんな中帰りのホームルームが行われ先生から近々試験があるとだけ伝えられ学園生活1日目は終わった。



そして、試験が幕を開ける…




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