幸せなヘルメット
私は今日、博士を殺す。理由なんて「嫌いだから」の一言で済む。
私と博士は仲が良かった。しかし、博士は最近、私をこき使い、金を使わせ、妻も子供もいなくなった。
だから今日、復讐に行くのだった。
しかし、人を殺す前は気分が良くない。朝食は喉を通らず、腹痛、吐き気もこみあげてきた。
『プルルルルルルル』
電話、博士からだ。
「博士、私です。」
『今すぐ来てくれ。 人生が変わるような発明だ。』
「なんです、それは」
『幸せになれるヘルメットだ。来てくれればすぐにわかる。ではまた。』
凄い興奮している様子だったが、これが博士の最後の発明になる。
私は覚悟を決めすぐ車に乗り、博士の元へ向かった。
「博士、来ましたよ。幸福な機械とはどこに。」
「おう、やっと来たか。そこに座っとれ。」
「残念ですが死んでもらいます。さようなら。」
私はカバンの中に入っていた銃をを持ち、博士の頭に撃った。
その瞬間、博士は幸せなヘルメットをかぶった。私は引き金を引くのを止めたかったがもう遅い。
幸せなヘルメットをかぶった博士は死なないし、私は警察に捕まるだろう。
ズガアアァァァァアアン
部屋に響く銃声。
博士は死んだ。
私は事の大きさに気づき、その場から逃げた。
次の日、その次の日もニュースで流れていた。
しかし、私は捕まらなかった。
博士はなぜ死んだのだろうか。
死ぬことが幸せなのだろうか。
それともヘルメットが壊れていたのだろうか。
今となっては誰にもわからない。
一つだけわかるのは、私が殺したということだけだ。
私が一番の幸せ者だったのだ。